鏡の国のアリス

April 9, 2009
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カテゴリ: 小説
「おい! アリス!」
子供達の居る部屋じゃない場所で、珍しくソイツが居た。
だから気になって、声をかけた。
コードナンバーが分からなかったので、とりあえずそう呼んだ。
そんな話をしていたのを思い出して。
「何、エイト」
振り返ったアリスが、そう言った。
名前など付けられた事も無く、心が震えた。嬉しかった。

「何でエイトなんだ?」


俺の問いかけに、アリスがそう言う。
聞いた事も無い言葉だった。

「……古いコトバでそう言うの」
「へぇ、博識だな」

俺の言葉に、「何年も生きてるから」と言ってふいと俺から視線を外す。

「それで、私に何の用?」
「ああ、オマエに相談がある」

アリスの言葉に、俺は周りを見渡すと誰もいないのを確認して声を潜めた。

この軍から逃げよう。そして、この軍を壊そう。この狂ったセカイを

そう、言った。
みんな乗ってくれた。やろう、といりきたった。

「何で?」
そう、問うてきた。

「な……?」
「私にはどうでもいいもの。頑張って」

唖然としている俺に向かって、アリスは薄く笑ってそう言った。

「な、んでだよ! こんな所にずっと居たくないだろ!!」
慌てて声を荒げる俺に、アリスは口端を吊り上げて、嗤った。
多分、彼女が見せた史上最高の意地の悪い笑み。
誰かの真似をしたような、いつもの笑顔よりも完璧な嗤いだった。
「じゃあ、エイトに聞くわ」
その笑顔のままで、アリスはそう言う。

「此処から出て、貴方達は何処に行くの? 何処で生きるの?
狭い檻から出ても、エサはもう出てこないのに。何を望むの?」

問いかけに、俺は一切答えられなかった。
ただ、ここから出れば地獄から解放される。そうすれば幸せになると信じていた。
現実を見たくなかったから、そう思い込んだ。

「でも、もう俺はこんな所には……」
「だから、止めてない。言ったでしょ? 『頑張って』って……」

俯く俺にそう言って、アリスはゆっくりとその場から去って行った。





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Last updated  April 9, 2009 06:07:43 AM
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