鏡の国のアリス

April 22, 2009
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カテゴリ: 小説
何年もの月日が流れた。
子供は成長を忘れたかのようにその姿のまま、けれど意識してみればほんの少しずつ成長していた。
「軍は俺等の事忘れてんじゃねぇのか?」
40年経った頃、エイトがそう言い出した。

「いや、視線も気配も感じる。“音”も聴こえる……。だから逃げれば、殺されるか捕まるか」
「俺等は時が来るまでは絶対死なない存在じゃねぇのか?」

アリスの言葉に、エイトが眉を顰める。
けれどアリスは、あっさりと首を横に振ってそれを否定した。
「ナイフで喉を掻いても死なないし、心臓部に突き立てても死なないのは、核が壊れていないから。ナイフじゃ核の埋め込まれた部分には届かない。機関も考えてる」


「そう、か。じゃあ長銃持った相手には俺等は不利じゃねぇか」
「不利? 違う、歯向かえないようにしてるの」

そんな会話を繰り広げていたら、一人の少女が息を切らして走ってきた。
「どうしたの?」
アリスがその少女に目線を合わせて問いかける。
こうなると、会話は打ち切り。アリスは何よりも、小さな子供を優先させる。
「いっちゃんが……いっちゃんが」
焦ったままそう繰り返す少女に、アリスが目を細める。
アリスは呼びにくいから、という理由であんな沢山いた子供達全員に名前を付けていた。
考えるのだけでも面倒になりそうなのに、一人一人丁寧に。
「斎ちゃんね、家にいる?」

「やれやれ……」
一人残されたエイトも、肩を竦めて戻った。
皆が家と呼ぶ場所。
捨てられて無気力だった皆を横目に、アリスが何やらせっせと作っていたもの。
この草木も無い場所で、一体何でつくったのだかわから無いが、それは立派に家と呼べるものだった。





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Last updated  April 22, 2009 05:46:41 AM
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