闇の中で
思わず眼鏡をかけた
午前三時だった
昨夜 読み始めた文庫本の
四十八~四十九ページあたりの郊外を
マープルオバさんが歩いていた
そして
静かな殺人死体
それから
彼女がどうしたのか
思い出せなかったが 今日は休日で
ホッとしていいのに
眠れないので
虫を聴いて
書斎へ
団地の街頭が並んで墓地のようにみえ
九月の裏山で
ヒガンバナをたくさん採ったことを思い出した
最近 近所に野良犬が住みついた
ジッとみる
逃げもしないが
近寄ってもこない
こういう関係が私は好きだ
枯れ草の眠りを眠っていて呻いていたことはあるが
ついぞ
吠えた声はきかない
誰かから
すべての核酸には
あらかじめ死の因子が組みこまれているという話を
きいたような気がするけど
あれは生存への餞けだろうか
(ほぼ) とか (だいたい)
という経緯がどこかに在るのかもしれない
そろそろ 夜明けだ
ウイスキーは早朝が一番うまい
やがて
古代紫の果実を連ねた
庭のムラサキシキブもみえてくるだろう
死ぬ時は
やはり
苦しみにのたうつのだろうな