彼はとても声が大きいし、
僕はいつも緊張してその無愛想な顔を見ていた。
あの大きな声で意見なんてされたらかなわないと思って。
だから、ようするにいつも。
彼のことを見ていたのだ。
自分でもどの時点から好きだったのか覚えてない。
彼とする事務的な会話は、
冷たく感じるほどたんたんとしていた。
なのに、ある時急に見せた一回の笑顔で、
僕はすべてを理解してしまう。
彼の冷たさはただ、真面目なだけなのかもしれない。
本当は不器用なところがある彼は、
真剣に仕事をこなそうと集中しているだけなんだ。
そう思って見ていると、
普通以上にドンくさい部分も発見したりして。
懸命に作業する彼に、
「お上手ですね。」
なんて言っちゃったけど失礼かな。
ドキドキしながら次の言葉を待っていると、
彼は穏やかに笑ってくれた。
「・・・そうかな・・。」
照れてる顔なんてはじめて見た。
僕にだけ見せてくれたのだと思うと、
もうそれだけで駄目だ。
もっと彼のことわかりたい。
目をこらしてよく見るから。
どうか、あなたのことを
勝手に好きでいることくらいは許してください。
ずっとこの気持ち、言わないで黙ってるから。
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