星の海と月の港

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カテゴリ: 出来事



最近は女性が一人で吉野家に入る事も珍しくなくなっているとのことですが、本日はそれなりに混雑はしていたものの女性の姿は無く、ワイシャツ姿の会社員、普段着のおじさん、学生風の若者などばかりでした。いろんな層の人が集まるのもこんなお店の特徴でもありましょう。

お目当てのカレー牛どんをオーダーし「早い」のふれこみの通り、すぐに出てきていただき始めました。
それなりの「安い」価格なのに「おいしく」、十分満足で、一人楽しんでおりますと、
私のとなりに若い学生風の男の子が来店し座ったのです。

少しばかりまだ垢抜けていない感じの彼は、メニューを吟味することなく、すかさず「牛丼並」をオーダーし出てきた水を美味しそうに飲み干した後、おもむろに小銭入れを取り出して、その中身を見たかと想えば、一瞬凍り付いたような空気が漂ってきたのです。

そのただならぬ雰囲気はとなりにいる私には余す事無く伝わり、次に何が起こるか戦々恐々としておりましたなら、彼は店員を呼び止め、

「あの、まだキャンセルできますか?」

と小さな声で質問し、店員が驚きながらも「はい」と答えるとそさくさと彼は立ち上がり、お店を出て行ったのです。

店員は何事も無かったのようにそのグラスを片付けました。

おそらく彼は小銭入れの中に牛どん並の「380円」が残っていると思ってお店に入ったのでしょう。ところが残金が無い事に気がつきこのような事態に。

私は出てゆく彼の後ろ姿を見つめながら、心の中で激励せざるを得ませんでした。
負けるな。この屈辱を忘れなければいつかきっといくらでも美味しいものを食べられるようになるからと。

かくゆう私も学生時代、バイト代が入る前などに手元のお金がなく小銭入れにある残金で間に合うものだけをオーダーしたことが幾度もあり、たとえば町の中華料理店で餃子一皿だけを頼んだりしたことも。
そんな時はもちろん彼女を見つけてデートをする資金などあろうはずがなく。

「愛さえあればお金なんて。」との美文句もありますが、それは彼女が出来てからの話しであって、お金がなければ彼女も出来ないなあ、と当時思ったこともありました。

しかし今思えば、学生の分際でいくらでも使えるお金がある男の方がむしろ問題で、そんな苦労や屈辱を味わったことがある男のほうが、将来きっとお金と女性を大切にする精神が宿るものと考えます。

その彼の良き将来を祈って、私はカレー牛どんをお味噌汁付きで最後まで頂いてしまいました。

そんな自分の学生時代のほろ苦い記憶を思い出させてくれた彼に感謝。

日本社会がいろんな面で病んでいる昨今。





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Last updated  2011.08.03 21:18:58 コメントを書く
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