運剣士に閃光を

運剣士に閃光を

アイデア:花のお姫様・修正版



紅いワンピースを纏った少女が駆け寄っていき、しゃがみ込む。

背中に広がった艶やかな漆黒の髪。この暗闇の中でも太陽のように輝いていた。

穢れを知らないであろうその瞳は、じっとその芽を見つめと、芽が恥らうように風に揺れる。それを見て少女が、ヒナギクのような笑顔をこぼした。純粋ゆえに、見せる事ができる、少女特有の表情。

「おおきくなぁ~れ」

少女は、手に持った小さな如雨露から水を散らした。

その声と青い雫に呼応するかのように、真紅の花弁に深緑の棘のドレスを身に纏い、花を咲かせた。

それを見て、少女の微笑みが輝きを増していく。

「あ! あっちにも~」

そう言って、トテトテとたどたどしい足取りで暗闇の中にある芽に向かって走りだす。

その近くで、白く気高き花と、黄色く芯の太い花が、様子を見つめていた。

そして、少女は、その芽にまた、

「おおきくなぁ~れ」

と、まじないのように声をかけ、生命の雨を降らせる。

その芽もすぐに、紫の花を咲かせた。

そして、少女はまた別の芽へと……。

少女はこの紫の花の意味を知っているのだろうか?

シランと呼ばれるこの花の意味を。

――少女は暗闇へと消えていった。どこへ向かっているのかは分からないが、目印に花を残していく。

ずっと自分は追いかけている。

まだ、十にも満たないであろう少女に魅了された自分は、ふと自分の立っている場所の事を思い出した。

生気の無くなった街。高層ビルの波。

その至る所から少女が咲かせたであろう花が咲いている。

コンクリートで舗装された歩道の真ん中、高層ビルの壁、車のボンネット。

対照的に作られたこの<世界>。

ふらりと一歩踏み出す。

次は自分が何なのかを思い出した。

もう一歩踏み出す。

次は、自分の立場を思い出した。

一歩踏み出す度に頭に浮かぶ、<自分>という存在。

この花達のように気付いてもらえない、小さな存在。

でも、それでも一歩踏み出す。

何がしたいのか、それを思い出す為と、少女の跡を追う為に。

花のお姫様――それが少女の呼び名だと言う事を、暗闇から抜け出す直前の一歩で思い出した

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