ピアニスト 丹生谷秋子のブログ

ピアニスト 丹生谷秋子のブログ

July 9, 2006
XML
カテゴリ: 音楽

体験レッスン受講の対象は、はジャズピアノに興味がある人。
こういった方々は、クラシックで、譜面は鍛えられているが応用力は発展途上という場合が多い。ビートやリズムパターンにはそれほど詳しくなかったりする。
そこで、まず講師自体が、いろいろなジャンルに対応する力をつけなければいけない。
うちのピアノ講師は私の生徒でもある。
2年前は基本形しかできなかった彼女達も、だいぶテンションコードやアドリブになれてきた。
音大では習わなかった、ロックやジャズのアンサンブル。
本来は、実践で覚えてもらいたいが、そういう機会がなかなかない彼女達。

私は父親の死後 受けるつもりだった音大をあきらめて、フリーターになり
あらゆるジャンルのバンドライブをしながら、コードワークやアレンジやアドリブを体で覚えた。
バイト先はいつも最先端の洋楽がBGMである洋服屋や、古着屋、雑貨屋。
バイト代の半分はレコードに消え、レゲエのイベントやパーティーやクラブ(おじさんが行くクラブじゃないよ)で、とにかく音楽にどっぷりとつかっていた。
テレビは見ず、本ばかり読んでいた。絵もよく見ていた。
映画も前衛的なものを好んでみていた。思考が偏っていて、独特の感性が育っていった。

音大に行かなかったのがトラウマになり、その後ずーっと夢にでてきていて、
長いことそれに悩まされていた。
苦しかった。もう、ピアノは二度と弾けないと、思っていた。(シンセはひけても)
20代後半、ふとしたきっかけでものすごい強い引力が私を、ピアノに引き戻し、いまこうやって、
演奏してギャラをもらい、教えて月謝をもらい、音大卒の講師に指導の方法を教えて、所属講師たちの指導料の一部で、教室を運営している。

多感な時期の4年間の葛藤と苦しみの中で築いたあらゆるジャンルと人生の経験を、味方につけたのだ。いまでも私の奏法と指導法の模索は続いている。
しかし、今日説明した指導法は、指導というより、たとえば中国の治療が自然治癒力をひきだすように「その人が本来持っているまだ未知の力を引き出してあげる。自分の知らない自分を、ピアノを演奏することによって導く」と、いうものだ。「カウンセリングみたい」と、講師のひとりがつぶやいた。

そう、ピアノを弾くって、自分を見つめて向かい合うことなのかもしれない。
弱い自分、傲慢な自分。汚い自分。繊細で美しい自分。それを、表現するために、技法を獲得する、そうすることで、初めて心が、自由になる、そんな気がする。

指導法の講習が終わった後もうひとりの講師が練習したい、とスタジオをレンタルした。
二時間練習するらしい。

彼女もまた、弾きながら自分自身と対話をしているのだろうか。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 9, 2006 05:24:07 PM
コメント(4) | コメントを書く
[音楽] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: