February 22, 2008
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テーマ: 幸せを探して(9)



『……だめみたいです……



 私、Sさんがめちゃくちゃ好きです………

 全部解かってても、ちゃんと知ってても、めちゃくちゃ好きです………!』




止まらない。

言葉が。想いが。止まらない。


困ったように微笑んで、Sさんが言った。


『……じゃあ……嫌われるように仕向けなきゃな、意地悪しないと。』


『…そんなことで…嫌いになれません………

 もっといじめて…って…言っちゃいます……』




勝手に、言葉が、歌うみたいに、こぼれてく。

まだ、せつないゆずの後味が、残ってる。


だから、きっと、まだ酔いが醒めてないのかもしれないよ………。




泣きたいわけじゃないのに、瞳が、勝手に、薄い涙の雫で覆われてる。



『………………』



なんとも言えない表情になって、あなたが、言葉を止めた。

だから、見上げた。

勝手に、瞳だけうるむ。

せつない。


『ん…?』


何か言いたげなあなたに、そっと聞いた。



『………いや………


 …最初から…嫌いになれたら…こんな風に誘わないよ………』




横顔を見てたら、余計にせつなくなってきた。



『解かってるんです。いけないことだ…って…

 でも……お願い……

 もう少しだけ…Sさんを…好きでいさせて下さい……………』




何か、あなたが、言った。

でも、聞き取れなかった。



『触れたいって…何度も思ったの…』


もう、頭の中が、ふわふわ。

でも、自分でしっかり歩けるほどのふわふわ加減で、おかしな感じだった。



ずっとこの時間が続いてほしかったの……………。



『……こうやって?』



ふざけて、あなたが、私のコートの袖をひっぱった。

私、うなずくことしか出来なかった。



駅の近くまで差し掛かったとき、

歩道が、学生らしき集団で群がってて、なかなか通り抜け出来なかった。


『ほら』




『触れたい』が、現実になってしまった。



あなたが、私の手を、そっと引いた。



たまらなくなった。



好き。

だめ、もう、自分の気持ちに、嘘はつけない。




小さな一瞬 居心地いいね 誰かの優しい Whitekey欲しい…






…しあわせな夜。

どーして、こんなに好きになったのが、あなたなんだろ……………








朝。

余韻が、残ってた。


そっと、プレゼントのフレーバーティーを開けて、お湯を入れた。


ふわっと紅茶の香りがして、なんだか、私、

せつないはずなのに、苦しいはずなのに、あなたに逢えて良かったって、思った。



会社に電話がかかってきた。


『はい、*****社です』

『…○○○○ですけど、おつかれさまです…』



………あ………。


電話の内容は、たいしたことのない内容だったの。

でもね、たぶん、私も、あなたも、軽く…昨日の夜を引きずったままなの。

だから、あなたの声が…あまい響きで、耳に残ってしまって、ドキドキした。




好きよ。好きよ。好きよ…大好きよ、Sさん…。



今日の帰りは、Aさんとお茶して帰ったけれど、

帰り道、ケータイを開けたら、あなたからメールが来てた。


ね、返事、夜中まで待って…?



あなたがひとりで起きてる時間に、メールすることにするから………。






小さな一瞬 居心地いいね 誰かの優しい Whitekey欲しい…




【鈴木あみ/White key より】







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最終更新日  February 22, 2008 11:59:03 PM
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