10月は黄昏の国

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2006.09.14
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 フジTVのF1中継が始まった87年、初代アナウンサーはフリーになったばかりの古館一郎だった。古館は、「燃える闘魂アントニオ猪木」全盛期のプロレス中継で名をはせ、その手法をそのままF1に持ち込んだ。例えば…

・「音速の貴公子」 アイルトン・セナ…(当時は未だ若く、線の細いちょっとした美青年だった)
・「荒法師」 ナイジェル・マンセル…(豪快で有無を言わせぬ速さと風貌から)
・「ターミネーター」 ミハエル・シューマッハ…(見た目そのままと、機械的なまでの強さから)
・「妖怪通せんぼジジイ」 ルネ・アルヌー…(晩年は周回遅れになっても意地でも抜かせなかった)
・「納豆走法」 中嶋悟 (その粘りのある走法から。本人は嫌だったとか)

…等、「燃える闘魂」方式のニックネームを付けたり、長時間の中継を強引に盛り上げる為、やたらと意味不明のフレーズを絶叫しまくるそのスタイルで、一部のF1ファンから不興を買った。

 古館がプロレス中継から降りたのは、中継していたTV朝日を退社した事もあるが、視聴率30%を超えるという異常なまでのプロレスブームが、下火になっていったという理由もあった。
そこで独立と同時に、新たな活躍の場として選んだのが、F1だった。


 F1の全戦中継は国内初めての事でもあり、何も知らない視聴者にも、なんとか親しみを持たせようという、TV局と古館の戦略はまんまと当たった。
一部のモータースポーツマニア以外、今まで誰も聞いたこともなかった「セナ」「中嶋」は全国区となり、バブル景気と相まって全国にキャンギャルがあふれ、日本のF2・F3000にも客があふれ、中嶋はCDまで出した。(ちなみに私もその「悲しき水中翼船」を持っているのは内緒だ)
思えばちょっと異常な時代だったのだ。
F1は、バブル崩壊とセナの死をもってブームの終焉を迎え、古館も中継を離れた。

 その後のモータースポーツをめぐる状況はどうなったろう?

中継アナは、一部で相変わらず「古館式」を意識しているが、所詮はニセモノ、ただウルサイだけ。国内F3000はFポンに変わったが「日本一速い男・星野一義」や「国さん・高橋国光」「天才・長谷見昌弘」など、長くレース界を支えた男達が去り、唯のF1の下端に成り下がった。
F1を含め、現在(あえて言うが)残ったドライバーの名前など、世間一般の誰が知っているというのか?山田優や永井大を出せばそれで視聴者が食いつくとでも言うのか?

 「キャラが立つ」とは、漫画の世界で「生き生きとした登場人物が存在し、動き回る」事を言う。キャラが立っていれば、物語は自然と動き出し、うまくすれば長期連載>アニメ化するフラグが立つのだ。ひるがえって、今のモータースポーツの世界で、どれだけキャラが立っているだろうか?

 実を言うと「キャラが立った」ドライバー、チーム等はそこに厳然と現存するのだ。
 「ターミネーター」は今年一杯だが、「超新星」や「F1の遺伝子を継ぐ者」、「何代目かのポチ」「ただ存在するだけなのが、逆に個性的」とか「超貧乏で4年前のお下がりを使うチーム」「オロナミンCの紛い物で儲けた金満チーム」等、よくよく考えてみれば、特徴は色々あるはずなのだ。
 ところが今は、深夜放送で録画中継されるのがせいぜいで、普通の人々はその存在すら認識していないのが現状だ。


古館に再登板しろというのでは無い。何も知らない人々に、その面白さを伝えようとする知恵を今一度絞ってみよう、という事なのだ。

 日本におけるモータースポーツを盛り上げるには、まず古館にならい、ニックネームを付けてみる事から始めてみないか?





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Last updated  2006.09.15 13:16:15
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