小村和也の建築家日記

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カテゴリ: カテゴリ未分類
サンフラワープロジェクト

いよいよ日本初の複合福祉施設が実現の運びとなった。入札が終わり施工
業者も決定し総事業費が確定した。

日本初とは、概念・・理念そのものが日本初ということだろう。数多くの
福祉施設を訪ねてみたが、どこも我々がもとめるものとは程遠いものばか
りであった。

社会福祉法人の経営する福祉施設であっても、民間法人の経営する福祉施
設であっても、私から見ると、まったく同じ概念のものであった。
それらはあくまで「病院」であった。病院的管理が行われている施設であ

いものであるはずであり、本来見えてこなければいけない理念が見えてこ
ない。どこもそうだ。形や大きさが違っても、全国一律金太郎飴のような
状況だ。

どうも、手段でしかないビジョン、つまり絵柄にばかりこだわっている。
建築家が「カッコイイ」空間を創造する。それはそれで結構なことだ。
では、なぜそうなのか?・・・とお聞きすると、施設の方々は・・・「よ
く分からない。」とおっしゃる。

その施設の設計を任された建築家の、建築芸術的な考察であったり、癖の
ようなものしか見えてこない。私には、その施設のとなりに建っている何
の変哲もない病院と同じに見えて仕方がない。

施設長に「この施設の理念は?」と聞くと、「自然を取り込んで、そして


「ビジョンは分かりました。理念は?」と再度聞きなおすと、それ以上の
答えが帰ってこなかった。どこの施設でも同じであった。ビジョンの違い
はあるだろう。洋風か?和風か?という違いはあるだろう。しかし、それ
は絵柄(手段)であって理念ではない。

私はくどく、「だから理念は?」と聞く。その答えはついぞ見えてこなか


どこを訪問しても、どんなに田舎作りになってよりよい空間がつくってあ
ろうが、見えてこない。まるで、舞台装置の上で芝居を演じる役者のよう
な有様だ。あるいは、高齢者はまるで患者であり、その施設は病院のようだ。
どこも例外なくそうであった。

私たちが求めるものは存在していないのではないのか。

私たちが創り上げなければならないのは病院ではない。病人のためのもの
であれば病院をつくらなければならないだろう。 年寄りは病人ではない。
歳をとって身体の自由は若いときほどは利かないかもしれないが、年寄り
は決して病人ではない。

真に求めるものは、年寄りが年寄りとして立派に生きていける環境を創り
上げることなのだ。そのような環境が、日本のどこにあるというのだ。

その環境のことをコミュニティというのだ。コミュニティ・・・つまり街
を創り上げなければならないのだ。

私たちの理念は、コミュニティを創り上げること。年寄りと、お世話をす
るスタッフがそこの住民であり、その住民が、共生と互助の環境を自らが
自らの知恵で創り上げていける環境を提供することなのだ。

それは、建築的なハード面ももちろんあるだろう。運営のノウハウも、病
院的管理手法の概念ではなく、街で一緒に暮らし、ともに活動していく
プログラムでなければならないだろう。

街で暮らす住民は、いつしかNPOを立ち上げ、地域の周辺産業を底支え
するようになるかもしれない。例えば、耕作しなくなった畑を施設で借り
て、有機無農薬の野菜を作って、自らがいただいたり、あるいは地域に
安価で安く提供するかもしれない。

年寄りはもはや儲けなくてよいのだ。子育ても、子供の教育費もかかる
わけではない。日々の生活を支えることのできる費用があればよいのだ。
わずかであっても年金はある。そういうことからすると、年寄り中心の
NPOの必要経費はほんとうにわずかでよい。そうなると結構面白いもの
となる。サンフラワーの理念のもとでは、それが成立するのだ。

サンフラワーは社会貢献も果たす。社会を底支えする。老人福祉施設が
社会を底支えする!・・・こんな発想ができる施設がほかにあるのか?

これが、このサンフラワープロジェクトの真骨頂なのだ!

寝たきりでも、腕一本動かせれば社会貢献ができる。寝たきりの年寄り
でも、ベッドごと畑に連れて行ってあげれば、左手だけでも草むしりくら
いできる。この年寄りは、意欲さえあれば、草むしりという立派な社会
貢献を果たすのだ。


私たちの求めるこのようなコミュニティ・・・これこそが、社会全体が
見失ったものではないのか。



   写真は、サンフラワープロジェクト 実施案模型






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Last updated  2007/11/16 02:53:30 PM
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