SAROMAN BLUE 鈴木健司

SAROMAN BLUE 鈴木健司

甲州街道215キロ完走記~第1章~

いよいよこの日がやってきた!甲州夢街道215キロラン&ウォーク遠足!
甲州街道スタート甲州街道スタート2
1年前からこの大会を目標にすることを宣言し、練習に取り組み、週1~2回の帰宅ランを2~3回に増やし、月間走行距離を最低でも200キロに設定。

3月には初チャレンジ お台場24時間走 で、139.5キロを走破!ダメージ少なく終わる。

4月の 富士五湖では111キロ に挑戦!100キロを12時間40分の走力を意識して走り、ギリギリながらも111キロ完走!

6月恒例の サロマ湖 では3分前と相変わらずの走りで12回目のゴール。後半雨に打たれながらも保温対策を学んだ。

7月には次女ペコちゃん誕生を迎え、HANAの里帰りを理由に 御徒町~日本橋~高尾深夜マラニック8時間 2回!

8月には楽天ランナーの神奈川県藤沢オフ会に参加し、 藤沢~さいたま深夜帰宅ラン75キロ12時間!

9月には引っ越しもあり、御徒町から30キロ新居ラン2回。暑い時間帯に5時間掛けて走り、暑さ対策を学んだ。

想像もつかない215キロという距離。コースは下諏訪の甲州街道と中仙道の分岐点から東京の日本橋まで。

4月に車で下諏訪~八王子間を下見。笹子峠は冬期期間中と言うことで通行止めだった。翌週に甲斐大和駅まで電車で向かい、第2エイド86キロから大月までの32キロを試走した。コースの走り易さや歩道の確認、またコンビニの位置確認の為でもある。実際この4ヵ月でなくなっていたコンビニがあった。この下見により、全コースが頭の中に入る。地図を浮かべることができ、あとはそれに自分の走るタイムを当てはめていくことが必要だった。

甲州街道を目標にしてやってきたことは基本的にこの内容だけだ。あとはウルトラマラソン歴16年目の経験でカバーするしかない!

まずはウエアリングから記しておこう。

9月中旬には残暑の厳しい条件だったが、月末に掛けては秋らしい天候になるとの予報となっていた。

週間天気は目まぐるしく変わり、実際レース前日金曜日時点での予報と日曜日の天気は完全に外れていた。

今回、雨はないにしても30時間を超える長丁場。夜に入ってからはカラダが温まることはないとわかっているので、前半は薄手の半袖ベースに、後半は寒さ対策に決めた。

まず直前になって変更したのはCW-Xロングタイツ!とにかく冷えない方が良いと言うのがあったので、秋冬モデルで入荷したばかりのスタビライクスHOTを購入した!

これは3月のお台場24時間走でテスト走行したアイテムで、3月で夜17℃の気温の時にもオーバーパンツを履くことは全く無かったし、暑過ぎることもなく快適だった!お腹から膝上までの前面に防風・撥水素材を使っているのだ。

シャツに関しては兎虎BBQシャツを着るのは当然だが、中に何を着るかが問題だった。

通常スタート時はX-FITライトに肩バランスアップアンダーだが、今回はアシックスさんのご協力により、来春発売の肩バランスのメッシュタイプを用意して頂けた。(Mサイズだったので少し大きかったが)

これを着ない手はないので、前半は肩バランスと兎虎シャツのみにした。そして深夜ランをやっていて、ザックを背負っているからだろう手の浮腫みが必ず出てくるので、SKINSのパワースリーブを着用した。
(一部他店リンク)

これで前半は乗り切ろう!スタート時はどんより曇り空。いつ雨が落ちてきてもおかしくない状況。

天気予報では山梨県内は夜まで雨、東京も日曜日の朝晩に雨が残ると言っていた。

元気なうちに雨に打たれるのは気にならない!降りっぱなしになるようならばモンベルのULジャケットを羽織ればいいさ。雨は大好きだし、濡れて困るものもないから安心していた。

スタート地点には209名のランナーが集まった。たくさんのお客さんもいて挨拶を交わす。こういった和やかな雰囲気も100キロ以上に緩い感じだ。
お客さんお客さん

いよいよ午前6時のスタート!

いきなり国道20号線には向かわずに、旧道の細い道を5キロほど上諏訪駅まで進んでから、合流となる。

諏訪大社の前を通るランナーをパチリ!
諏訪大社前1諏訪大社前2

雨は5キロも進まないうちに辺りは暗くなり本降りになってきた。軒下に入り雨具を着る人も多い。こちらは雨を楽しみながらいつもの調子で濡れながら走る。

国道20号と言っても、片側1車線の小さな道。歩道の幅も狭く、この辺りは右の歩道を使って走るランナーの列ができていた。

前半はキロ7分から8分。決して無理しないで、ゆっくり楽なペースで走る予定。明確な距離表示はない。東京まであと何キロの表示を見ても何キロ進んだのかはわからない。

いつもの感覚に自信があったので気にせずに走った。しかし心拍数は重要だ。カラダに対する負担を数字で表してくれる。するとどうだろう、大体70~75で推移している。
(アート鈴木使用アイテムはS610)

普通に走ってこの数字はありえない。しかしかなり抑えて走っている。呼吸も荒くない。最近は練習で心拍数を取っていなかったので、これだけ自分がバージョンアップしたのだと感じた。坂道では80まで上がってくるので、動いていることは確かだ!

1時間毎に写真で通過点を記しておくことにした。ラップタイムを取ってもどこで押したのかわからないのでは困る。デジカメ画像には時間も入るので管理しやすい。
1時間経過・四賀中神戸2時間経過・矢ノ口

上諏訪から茅野の辺りまでは基本的に平坦ながら下っている。前半のピークは20キロ過ぎの富士見峠!急ではないが、茅野市内を抜けて、高架の下をくぐるとダラダラと続く坂道が始まる。
気温11℃ドラクエの様なパーティを形成

雨は昇降状態になっている。ランナーの列もかなり疎らになってきた。時間的にそろそろ20キロを迎えるところだ。20キロ過ぎには富士見峠前の最終コンビニがある。

このローソンには必ず立ち寄る予定だった。この後31キロの道の駅蔦木宿まで、休憩ポイントがないからだ。

トイレ大を済ませ、ここではサンドウィッチとおにぎり1つと水を買った。水はスペシャル用だ。いつものホエイプロテインとグリコーゲンリキッドをシェイカーに混ぜて、水を加える。やっぱりこれがないと!

(フィードバックプロテインは日比谷店にて取り扱い開始!)

スペシャルを飲み干し、シェイカーをしまったら、なるべく歩きながら食べる!止まらないことが先決だ。サンドウィッチは口にくわえ、ペットボトルは手のひらに引っ掛けて歩きだした。

登り坂だが峠までたいした距離ではなかった。あっという間に長い下り坂に入っていく。
3時間経過・富士見峠

下見で気になっていたのは、この長い下り坂。飛ばし過ぎてしまってはダメージが心配だ。甲府辺りの平坦が辛くなってしまう。気を付けて走らなければ!

雨も少し降り続く中、足元に注意して走る。下りに入ると心拍数は平常時と変わらない。無理なく走れているようだ。
富士見峠後の下り道の駅信州蔦木宿

道の駅信州蔦木宿は31キロ。到着時間は3時間50分と予定より早い感じだ。しかし千代田走友会のOさんに会って昨年との比較を聞くと20分遅いようだ。室内の休憩場所もあり、ウエアを着替えたりしている人や、ご飯を食べていたりと様々な過ごし方をしている。自分は次の休憩を39キロ道の駅白州に決めていたので、ここはスペシャルとトイレ休憩とした。

雨も一段落した感じになってきているので、これからは少し暖かくなるのかな?最高気温は21℃となっていたので、そのくらいまでなってくれれば走り易いと思った。

この辺りの景色は閑かだ。何もない、コンビニはないことはないが、滅多にない。あるのはウィスキー工場や野菜ジュースの工場などで、水が美味しいからかななのかな?
道の駅白州40キロ付近

次の道の駅白州では名水の水場があり、観光客などもペットボトルに入れて帰っている。自分も手持ちのペットボトルに入れて、トイレを済まし走りだした。約10キロごとの休憩でスペシャル効果もあり、白州では水だけにして食べ物は摂らなかった。

次のコンビニの位置を距離表に付けていたので、50キロくらいに左側ある所まで我慢して走ることにした。時間的にランチタイムを楽しみたいと思っていた!先程のローソンにも肉まんは売っていた。一度涼しくなった時期があったので、都心でもすでに登場しているが今シーズン初肉まんとなるので、どこの肉まんか気になるところだった。

本当にこの辺りは何もない状態で、下りベースの道を無理なく走っていく。
長い下り坂

見えてきたのは『デイリーヤマザキ』だった。立ち寄ろうか迷ったが、次のコンビニまでの距離が少し空きそうだったので、寄ることにした。

まずはザックに付けたナンバーカードが取れかけていたので、取り付けつつスペシャルドリンクの用意もした。お腹を満たすだけではいけないのだ。しっかりケアをしないと!

ここでは水と肉まんとグルメ豚まんを買った。コンビニの袋をぶら下げながら肉まんを頬張る!1つ目はグルメ豚まんだった。


どうでもいい話だが、豚まんよりも肉まんが大好き!豚まんは具が固まりで中心にあり、周りの皮に旨味が移っていないのだ。皮だけが存在感を示している。一方肉まんは、ほぐれている具から旨味が染み出し皮が包み込んでいる。皮まで美味しく食べられるのだ!

と言うことで、豚まんは期待していなかったのだが、このグルメ豚まんは美味しかった!逆に期待して食べた肉まんはいまいちだった・・・残念!うまいコンビニ、そうじゃないコンビニ色々あるさ、ちなみに大好きなのは中村屋の肉まんで扱いはセブンイレブンです(笑)

とにかくスペシャルと肉まんでお腹を満たし、61キロの第1エイドを目指した。

韮崎市

この付近は中央本線で言うと韮崎付近。周りの山々は低い雲に覆われて雨は降っていない。道路もバイパスのような形になっているので、信号も少なく基本的に走れるコースだ。その分コンビニや自販機も少ない。脚に関してもさほど無理はしていない状態で来ているので、至って順調だ!

バイパス?この先第1エイド

61キロのエイドは高速の高架付近と聞いていたので、徐々に近づいてくる高架を目安にしていた。右車線を走っていたランナーは本来歩道に沿って立体交差をくぐる形で左側に行かなくてはいけないのだが、車の通りも少ないので皆中央を横切って渡ってしまった。

無事に左側渡り、登り坂を少し行くと第1エイドだ。ここは61キロ。1口うどんにおにぎり、豚汁とジュースを頂き、イスに少し腰掛けて休憩する。

第1エイド豚汁!

一緒に走ってきたランナーを含め10人前後が休憩している。どのくらい休むのか決めていなかったが、お腹を満たしちょうど10分を経過しようとしていたので、『ごちそうさま!』とスタートした。

時間は7時間50分。ここからはほぼ1人旅。勝沼を抜けるまで85キロ過ぎまでの約25キロはバイパスを走る。このバイパスでの休憩は75キロ地点のセブンイレブンと決めていた。途中、自動販売機でのドリンク購入やインターチェンジでの迂回などがあった。

街中はバイパスで交通量も多い!甲府市

また、千代田走友会のお客さんが私設エイドを出してくれて、遠くからカルピスとコーラを高く掲げて応援してくれた。もちろんコーラを頂きスタート!次は笹子峠のトンネルに居てくれると言う。ありがたい。

70キロ地点

次の目印であった『東京まで135キロ』の表示。スタートから70キロポイントだ。経過時間は9時間と意外に早い!サロマ湖での70キロ関門は8時間45分。毎年8時間30分くらいで進んでいるが、30分しか変わらないのだ!これはいくらなんでも早過ぎやしないか?

でもカラダ的にはまったく異常なし!下り勾配だったからまあこんなもんでしょ!順調順調!

しかし100キロに換算して考えてしまうのはいけないことに気が付いた。

次の東京まで~キロの表示がとても気になってしまうのだ。いかん、いかん!これはあくまでも215キロのマラニックなんだから、距離や時間は気にするべきではないんだ!

数キロは早いかな?遅いかな?と迷いがあったが、75キロまでの間に気持ちを切り替えることができた!
先の山まで行きます

そして予定通り75キロ付近のセブンイレブンに到着した。ここにはあまりランナーの姿はなく、トイレも空いていた。後からも誰も来ている様子がなかったので、レモシステムを貼ったりゆっくりと座って過ごした。

さらに60キロ以降食べていなかったので、しっかりと腹拵え!

みたらし団子におにぎりとプリンを食べて、ゆっくりストレッチ。

前を通り過ぎるランナーの数はまばらだ。やはりこのコンビニに立ち寄る人は少ない。

さてザックを背負い、さあ次は86キロの第2エイドだ!とウエストベルトを締めて、チェストに手を掛けると・・・ない!チェストベルトの右側がない!あれ?到着の時はあったよな?トイレで落ちたか?

少し歩き出していたが、コンビニまで戻ってチェックするが、やはりない。

先日の練習でザックのその付近にヘッドライトを付けるようにした時に、緩めてしまっていた気がする。しかしこれが今取れなくても・・・(涙)かといって探している暇はないし、ウエストベルトだけでも安定感は抜群なので、走りだした。多少の違和感があるものの、気になって仕方ないほどではなかった。その内にないことすら忘れてしまっていた。

次のエイドまではぶどうの郷勝沼を横断する。パイパス沿いにたくさんのぶどう園が立ち並び、食べ放題の看板が並ぶ。個人的にはぶどうはあまり好きな方ではないので、桃の方に興味があった。たまに試食の看板を見つけると、寄ったら食べさせてくれるかなぁと横目で通り抜けた。時間はすでに夕方で段々と薄暗くなって来ている。

インターチェンジの迂回路もちょっと複雑になっていて迷う人もいた。そして遠くに見えていた山並みが迫ってくると、徐々に登り坂が始まってきた。

勝沼勝沼町

ここで83キロ付近のコンビニに立ち寄る。笹子峠を越えるまでは最後になるだろう。食べたい物を食べた方が良いとアドバイスもあったので、シュークリームとコーヒーでひと休み。でも立ち止まらずに歩きながら食べる。

ほとんど1人旅を続けてきたが、ここでナンバーカード122番の方と一緒になった。この方は昨年初参加。大月でリタイアしてしまったらしい。ここまでの昨年とのタイム差を伺うと、やはり涼しいせいもあり1時間くらい早いと言う。

昨年は甲府の辺りではかなり暑くなったようで、コンビニでアイス休憩が多かったようである。今年はその点では恵まれていた。

勝沼に別れを告げる大橋を渡りきり、信号を渡れば第2エイドだ!


第2エイドは86キロ。水上葡萄園さんの家族が場所を提供し、子供達が声援を送る!
ここでも温かい食べ物が用意されている。自分は腹ペコではなかったが、笹子峠を越える時間を考えるとガス欠は禁物なので、おにぎりやバナナを少しだけ食べた。

第2エイド応援団!

到着する寸前まではまだ薄明るかったのが、10分ほどの休憩で真っ暗になった。ザックからヘッドライトを取出し手持ちに、ザックには赤いテールランプを3つ付けて後ろへの安全に備えた。

雨も少し降り出し、この後笹子峠のトンネル付近では本格的な雨が予想された。しかし自分は時間がまだ18時と言うことで、これからが冷え込むので敢えて濡れても良い格好のまま進むことにした。歩きや休憩が増えれば、保温する必要があるがまだまだ元気なうちは問題ないだろう。

第2エイドを出る時は1人だった。笹子峠の入口までの4キロは走ろうと決めていた。そして立会川の橋で自販機を利用して笹子峠分として補給する予定だ。



ヘッドライトは予定のショルダーベルトに装着したが、チェストベルトがないので、足元を向かず外側になってしまう。また固定もしきれないので落ちてしまうこともあったので、手に持って行くことにした。

車の通りは思ったよりも少なく、街灯も少ないので当然真っ暗だ。少し慣れてくれば足元だけは薄ら見えてくる。基本はヘッドライトを頼りに照らしながら進むしかない。走っていると言っても速くはないので、前の人を抜かすこともない。立会川の自販機で水を買ってまた走りだした。すでに分岐のENEOSは見えている。

到着しました!笹子峠入口!昼間はこんな景色。

笹子峠入口ENEOS笹子峠入口

ここからは長い登りが続く。ランナーの数も多く、これならば1人旅になってしまうこともないだろう。できる限り走りたかったが、結局民家もあるうちに歩きだした。こうなれば早歩きも走りも変わらない!後半の体力温存作戦として、早歩きで登り切ろうと決めた。民家が終わり、街灯が終わり、すべての景色が闇に包まれた。

前方のランナーのテールランプが見えたり、後ろを振り返ると強いLEDライトの光が眩しい。もし1人だったら、かなり明るめのライトの方が安心だ。まったく知らないとかなり不安になるだろう。昼間の試走を行ったことはかなり活かされていた。

途中から134番の方と2人になった。数人を抜き、前を行くランナーもいなくなる。この方も初参加と言うことだったが、まだまだ元気!会話をしながら進んでいく。

距離にして9キロ。歩けば2時間くらいは掛かるだろうと考えていたが、やはり長い。雨も時折強く降り、上の方に差し掛かると霧雨になり、視界を遮ってしまう。寒さに関しては予想通りあまり厳しくなく、ほんのり汗ばむくらいだ。

ここで心拍数を確認すると、かなり呼吸も上がっているのにまだ80前後だった。ここに来てやっと、電池が弱くなって不具合が出てしまっていたのだと認識した!(遅っ!)

今回約100キロ近くを勘違いしていたこと自体は呆れたことだが、この心拍数の間違いは、良い方向に作用していたと考えられた。一種の暗示のようなものだろうが、それだけカラダに負担が掛からない状態で13時間動けている!とまだまだ元気だぞ!と感じられたのだ。

それはウルトラにとってとても重要なこと!気分的に参ってしまっては集中力も続かず、走り続けられないことも多い。夜中の藤沢マラニックなどでも心拍数が落ちてきたことで歩きっぱなしになることがあった。

間違いを認識してからも実際にカラダは疲れを感じてもいなかったし、違和感のある部分もなかった。

笹子峠の登りが始まってどのくらいの時間が経過したかは確認していない。試走をした時の景色を思い出しながら、あと少しだ!と認識していた。霧雨に煙るカーブの先にぼんやりと明るい光が見えてきた。その光は強さを増して笹子峠の頂上『笹子随道』を照らしている。それは千代田走友会の私設エイドだった!

千代田走友会の皆様笹子隧道

こんな薄暗い淋しい所に居てくれるなんて感謝です!さらにお味噌汁のサービスまで!立ち止まると少し汗が冷えてくる。カラダの芯まで暖まらせてもらいました!ありがとうございます!

さあ『笹子随道』だ!250メートルしかないこのトンネル。試走の昼間はライトも持たずに行ったので、足元を掬われるような恐怖でたまらなかった。

しかし今回は車のヘッドライトにより明るく照らしだされている。恐怖という不安はなかった。それよりもこの細いトンネルを冷たい風が吹き抜くてくるのだ!まさに濡れたカラダには冷風!マイナス20℃体験室にいるような感覚だ!距離は短いので、ピッチを上げて腕を振り駆け抜けた。

外気温が温かく感じる。さあここからは下り坂だ。登りよりは距離は短い。登りながら『下りになったら皆走って下るのかなぁ?平坦になってからが辛そうだし、どうしよう?』と考えていた。まったく走らずではロスもあるし、走れないようは急勾配ではない。歩幅を小さく、ちょこまかと動いてみよう。先はまだ長いんだから急いでも仕方ないさ。

並走していた方はスムーズな走りで先行していく。段々とコーナを曲がるたびにテールランプが小さくなっていった。1人旅になるが、しばらくすると走ってきたランナーに追い抜かれた。かなりのスピードで駈け下りていく。下りに強い人はいいなぁ。ここで遅れをカバーできるもんなぁ。

国道20号線までの距離表示がある。3.7キロから1キロごとにあるのは知っていたが、気が付くと1.7キロ地点だった。このペースならばあと15分は掛からないな。もうすぐ第3エイドだ。

工事現場の資材置場が見えてきて、最初の街灯がある。やっと下界に下りてきた感じだ。峠を下るに従って、雨は止んできたようだ。ここまでの時間は約15時間。ウエアリングの作戦も今のところうまくいっている。しかし午後9時を過ぎるにあたっては、寒さ対策を強化するべきと考えた。

最後のコーナーを曲がり、前方にスタッフの方が見えて手を振ってくれている!こちらも高々と手を挙げて応える!

到着しました第3エイド!ここは103.8キロだ。

第3エイド第3エイド
カレーライス・カレーうどん・おにぎり・豚汁・カップラーメン・おでん・クラムチャウダーなどなど十分に補給できる。海宝さんは『ここに長く居る人は電車に乗っちゃいますよ!長居は禁物ですよ!』と言っている(笑)自分はカレーライスとカップラーメンにおでんを戴いた。食べる量は腹八分目に抑えた。

後半に向けてアンダーに着ていたX-FITをオールシーズンからHOTに変更、SKINSのパワースリーブは素肌に付けたまま重ね着をした。やはり浮腫みにはSKINSだ!肩バランスアップアンダーはX-FITの上に重ねて、最後は兎虎BBQシャツで完成となる!モンベルのULウインドジャケットは雨も止んできたのでまだ羽織らずにいた。

(一部他店リンク)

この辺りでお腹の調子があまり良くない。トイレを聞くと20号線を渡った駐車場に『危ないから落ちないようにね!』と海宝さん。行ってみると水洗ではないトイレでポッカリと穴が開いていた。今すぐにの状況ではなかったので、試走の時に寄った隣のファミリーマートに行くか考えて歩いていくと・・・。

なんと潰れてる!これがコースマップ上にコンビニ印をなくした理由か!!まさに半年も経たないうちになくなりそうもない、笹子トンネル手前のファミリーマートがなくなるのだ。この状況だとあればラッキーなんだなと改めて感じた。

次にあるコンビニは把握していた。次はなくなっていることはないだろう。それは初狩駅前のコンビニだったので安心はしていたのだが。

笹子峠を越える旧道に別れを告げ、再び国道20号線に合流した。この辺りはなだらかな下り坂になっている。試走の時も抑えて走ってもキロ7分で走れるところだ。週末の雨のせいか思ったよりもトラックなどの通りは少ない。一部歩道のない道も気にせずに走ることができた。

まず笹子駅を通過し、次の初狩駅前のコンビニを目標に走る。次の駅と言っても距離は長い。その途中右足の膝内側に違和感を感じてきたので、道路脇の凹んだ座れるブロック塀を見つけた。

CW-Xを履いていたので、コンビニのトイレか、明かりの少ない外でないと、タイツを膝下まで下げられないじゃないですか!(笑)やっと見つけた絶好のポジションだった。用意していたレモシステムを膝の下と上に貼った。内側の筋肉ではなくスジだったので、さらに内転筋にもXLサイズを貼った。



やはりレモシステムの効果はすぐに感じられた。走り始めだけは気になったが、その後の痛みが出てきたのはかなり後半になってからだった。

前後を走るランナーは立ち止まると何人かいるが、顔ブレは大体決まってきた感じだ。予定の初狩駅前のコンビニの前にローソンを見つけたので、トイレ休憩とした。先着していた同じ年くらいのランナー2人はカップラーメンなどで腹拵えと言う雰囲気だった。自分はトイレを済ませ、定番の肉まんを2つ購入して歩きながら食べた。

まもなくすると初狩駅を通過。その先に東京まで100キロの標識がある。あと100キロだ。ここまで115キロ走ってきたことになる。

笹子を降りて東京まで100キロ

時間は22時40分。次の目標は大月駅となる。気温は12℃。雨が昇降状態なので、寒さは感じない。そして暑過ぎることもなく快適だ。コンビニで休憩も多くなるが、ここでどうしてもアイスが食べたくなったので、チョコジャンボモナカを購入!(笑)美味しかった~!



大月まではほぼフラットな感覚で走れるコースだ。汗は掻かないにしても、水分補給は大切だ。コンビニだけでなく、足りなくなれば自販機を利用していく。基本はミネラルウォーターだ。スポーツドリンクではしつこいし、パワージェルなどを使えば、糖分は補給できる。

この辺りは淡々と距離を刻む。走る歩道を変えたりしながらだったが、集中して走れていた。大月インターをパスして、富士急行を渡れば、もうすぐ大月駅となる。

大月駅には立ち寄ろうか考えていたが、まもなく時間は24時。売店も開いていないし、コンビニのトイレが綺麗なので、無理に寄る必要はなかった。試走の時に食べたカレーライスが食べられたら良かったけど、営業時間に辿り着くことなどとてもできなかった。駅前のデイリーストアはパスして、次のコンビニを探す。しばらく行くとセブンイレブンがあったので、トイレ休憩だけ済ませた。
夜中ルート

この後は猿橋・鳥沢・四方津・上野原と下りだけではなく、登り坂も出てくる辺りだ。補給のコンビニは鳥沢と決めていたので、先を急いだ。ここからは自転車で走ったことがある。また上野原から大月までもランで経験済みだったので、ある程度の予測がついた。

心配なのは睡魔だ!スタートしてから18時間。疲れてはいないが、さすがにカラダが一杯になってくるであろう。その対策としては、暖かい格好にならないこと。少しでも外気を取り入れカラダを寒くはない涼しい状態に保つことで、睡魔を寄せ付けないようにしたのだ。よく車で眠くなるとそうしているので活用した。今のところジャケットはザックの中だ。

日付は9月30日になり、中央線の下り電車もそろそろ終わりとなるだろう。たまに見える電車の明かりが、世間は普通に動いているのだと認識させる。1人ぼっちでいると、自分だけではないかと少し不安にもなった。

猿橋を過ぎ、桂川パークを過ぎると登り坂となる。この先に鳥沢駅近くのセブンイレブンがあるはずだ!登りは無理せず歩き、呼吸を整えて平坦を走る。あ~お腹空いたなぁ。

予定の鳥沢駅近くのセブンイレブンはなくなっていなかった。初狩駅の肉まん以外はしばらく口にしていないので、しっかり食べたいところだが、そこは八王子・藤沢からのマラニックで学んだことだ。腹一杯に食べると眠くなってしまう。こまめに食べるように!

メールを送っていたマークさんからも夜は冷え込むから温かいものを食べるようにアドバイスも頂いた。

かと言って肉まんばかりでは味気ないので、今回はエネルギー重視でパスタサラダを食べることに!コンパクトサイズだが、今食べるにはちょうど良かった。

パスタサラダ

駐車場にしゃがんで食べていると配達のおじさんが話し掛けてきた。『どこまで走るの?』『東京の日本橋ですよ!』『笹子からずっといて、大月辺りでいなくなるかと思ったら、まだいるからどこまで行くのかと思ったよ!色々いるね、仕事したり、走ったり・・・頑張ってね!』『ありがとうございます!』

夜中 時の会話だった。そりゃ驚かれますわ(笑)パスタを食べて出発。配達のおじさんは抜き際にクラクションでエールを送ってくれた!ありがとうございます!

この辺りの国道20号線は田舎の道路と言った感じで国道らしくない。平行する中央線の無人の駅舎には明りがついていて、仮眠を取るランナーもいるようだ。今回は休むつもりはない。眠くなった時にどうするか、考えるとしよう。

1度コンビニでトイレ休憩をとり、梁川・四方津駅を通過し、長い下りに入る。ここは以前逆走した時には落石防護トンネルの工事中で、辺りの風景は様変わりしていた。さらに途中雷雨で雨宿りしたお店の自販機を見つけた。ここは街灯も少なく、淋しい雰囲気はそのままだったが、順調に走れているのでパスした。

坂の上からは懐かしい景色が見えるようになってきた。坂を下りて20号を離れると上野原駅となる。この場所は大学時代バレーボール同好会でリーグ戦を行った時に、遥々やって来た『帝京科学大学』がある。毎週末にリーグ戦の為にここまで来なくてはいけなくて、1度ではなく、2度こちらでの開催となった。あの大学が見えてくれば、下りは一段落の目印となる。逆にここから上野原市役所までの厳しい登りの始まりとなる。

さらに止んでいた雨がポツリポツリと降りだしてきた。前を行くランナー2人組が見える。さすがに歩いているようだが、早歩きのペースの違いで追い付くことができた。鳥沢駅前で休んでいた2人のおじさんランナーだ。『もう先に行っちゃったと思ってたよ!』恐らく、コンビニで抜かれたのだろう。3人で登りを上がりきると、セブンイレブンに到着した!

時間は夜中の3時。コンビニに入ると1度だけあくびがでる。そろそろ睡魔が来てもおかしくないな。みたらし団子を買って、駐車場の車止めに座って食べた。

雨が多少気になるが、土砂降りにならなければ大丈夫だ!

ここでも10分は休まずにスタートする。マークさんからのアドバイスも忘れない。とにかく前進することだ!

今は山の上にいる感じ。上野原市役所をあとにして、少しずつ下る道を行く。しばらく進むと、勾配も急になりカーブの多い道になってきた。藤野駅は国道20号が線路の上を通ってから通過する。山の中から出てくる感じなので、この下りの先に駅があると考えた。

しかし1度下りきってからも再び緩やかな登りが始まる。木の影から街の明かりが見え隠れするので、まもなく藤野駅かな?と思うがまた山の中へとカーブを曲がる。いくつかのカーブを抜けてやっと思い描いた道に出てきた。

藤野駅通過!距離は142.6キロ!

次の目印になるポイントは相模湖インター入口くらいだ。そこまでは下りと緩やかな登りの繰り返しだ。相模湖畔の『まずいラーメン屋』まで登って、今度は相模湖駅を目指す。

雨足が段々と強まってきた!前後にランナーの姿も増えてきているのは、休憩や歩きにより、間隔が狭まっているのだろう。皆、雨ガッパを着始めている。

自分は極力涼しく、冷えない程度に体温を保つことで眠気をカバーした。気温は恐らく10℃前後だろう。SKINSパワースリーブ&X-FITHOT&スタビライクスHOTの組み合わせによりまったく冷えは感じなかった。

甲州街道215キロ完走記~第2章~


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