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SAROMAN BLUE 鈴木健司
11チャレンジ富士五湖112キロ完走記第3章
本栖湖到着は手元の時計で8時間09分。
地元のコアスポーツ皆さんが迎えてくれた。
『うちのメンバーはどうですか?』の問い掛けに、志村さん・渡辺さんの状況を伝えた。
『鈴木さん的には何時にここを出発すれば大丈夫ですか?』の問いには『8時間40分でも良いんですが、早いに越したことはないですね!』とアドバイス。
これはサロマ湖でも70キロ関門は8時間45分だからだ。100キロ14時間に対しては十分過ぎるほどの貯金だが、皆112キロだ。これからの落ち込みと最後の坂を考えると、貯金を作りたい。
僕は話ながら上半身裸になり、まずはファイントラックノースリーブを着用。そしてまた赤のノースリーブを重ねた。あれ?長袖は?と思う方も多いだろう。XFITロングスリーブとモンベルULジャケットは用意していたが、今回はアームウォーマー継続を選択!
このタイミングの気象条件を考えれば、確実に薄着だ。風も強く、雲も広がり始めている。しかし、脚の残り具合や汗の掻き方から暑くなり過ぎないスタイルを選んだ。結果として、どうだったかと言えば『大成功!』とは言えないが、間違った選択ではなかった。
着替えはその程度だったので時間は掛からなかったが、スペシャルドリンクの調合に少し手間取った。
2回目のスペシャルは
サバスアクアホエイプロテインにCCDリキッドピーチ!
これに水を入れてシェイクするのだが、
100mlだけ入れてプロテインを先に混ぜたら、団子ができた!(大汗)
水が少な過ぎたのだ。再び水を入れてCCDと一緒に高速シェイクで問題なかった。味的にはバッチリ!グレープフルーツ&ピーチでかなり美味しかった。
しかし1回目同様に水の量がいつもよりも多く感じた。
余裕があったら更新しようと置いてあった携帯からブログ更新!
石橋くん・渡辺さん・志村さんも到着し、引き続き42分くらいでの5キロラップで大丈夫なことを伝えた。
最後にトイレに行きたかったので、石橋くんには先に行ってもらう。最終的にトイレ込みで8時間30分の出発となり、本栖湖を後にした。
この本栖湖ではたくさんのランナーが僕を見つけてくれるので、ご挨拶。
中にはこちらに余裕がなく、無愛想になっていたかも(苦笑)。
またCEPをはじめウエアリングが快適であることをクリニックに参加して頂いた方から報告頂いた。
『この時間で折り返せれば大丈夫です!余裕がありますよ!』
コアスポーツの応援団に別れを告げ、ナンバーカードにチェックを入れて周回に入る。70キロがすぐ先に見えた。
70キロ 8時間31分55秒 55分52秒 Av.130
休憩&補給&トイレに20分使ってしまった。せっかく今まで順調だったのに、と思う反面、まだまだ先は長いからしっかり休めたと考えることで、75キロのラップで判断しようと思った。これから1.5キロ平坦1.5登り坂があって、逆さ富士の見える駐車場へ到着する。
陽射しはまだあるが風の勢いがかなり増してきた。この辺りはまだ穏やかな場所。奥まで行けばいつもウインドサーフィンの人がたくさん駐車している。
前方に渡辺さんを発見!先程よりは走れているみたい。
平坦を並走すると、大体キロ7分で走っている。
『さっきより良くなってます。鈴木さんと並走したりで気分転換できているのかもしれません。』
またまたトイレに行きたくなった僕は、登り坂の手前で『先に行きますね!』と、カラダが動く範囲で坂を登っていった。駐車場付近でさすがに息も上がり、失速。
カメラを片手に動画でこの風の強さを伝えるために撮影していると、『撮りましょうか?』の声が!もちろん『動画撮りましょうか?映ります?』ではなく『写真撮りましょうか?』だった(苦笑)お客さんだったこともあり、すぐにお願いした。
まだまだ元気な笑顔で本栖湖のピークをクリア。少し先のトイレに向けて走り出した。このトイレは穴場。112キロランナーしか来ないから空いていて当然なのだが、観光客に会う確率の方が高い。本栖湖駐車場では、トイレ大が空いていなかったのでパスしていた。ここでも2分くらい使った。
トイレを出ると渡辺さんもトイレへ。この先は下りと平坦が続くので、稼がないと後々厳しくなる。75キロまでの3キロで登り坂はクリアしたので、勢いでパスしたいところだ。
急な下りを走りいよいよ風が本格的になってきた。横殴りだったり、前からだったり、カラダを前傾させながら進む。渡辺さんとの距離は下りでは広がらなかったが、平坦になると徐々に遅れてしまう。次のエイドで待とう。
75キロ 9時間08分48秒 36分53秒 Av.137
この5キロのラップも予想よりも速かった。登り・トイレとあったが、前半の平坦なところで稼いだ感じだ。このまま行けば、80キロ10時間に対しても貯金ができる。しかしこの先のエイドは遥か彼方に見えるテントだ。
もっと前から見えているのに辿り着かないエイド。
本栖湖を出発してから約7キロ離れたエイドはかなり遠く感じた。
ようやく到着したエイドでは、地元のおばちゃんが『あなた去年もいたわよね?』と覚えていてくれた。『なんだか変なのたくさん飲んで!』と怪しげに見えるフラスクを指差して言っていた。
『いや~これがないとダメなんですよ。去年は最後の関門で引っ掛かっちゃったので、今年は余裕ですよ!今のところは・・・。』
ストレッチをしながら後続の渡辺さんを待つ。
渡辺さんのペースはどんどんと下がってしまっている。エイドまで到着したが、表情も厳しそうだ。
もう一度タイムの確認をしてスタートした。これからしばらくエイドはない。
この先渡辺さんを待つとすれば、本栖湖駐車場だ。そこである程度の時間差で付いてきてくれればまだ望みはある。
僕は自分のペースを貫いた。この先の80キロ通過タイムが僕の目安だ。なるべく貯金をしたかった。
コースは風の影響を受けない競り出した木々の中を進む。視界も狭くなるので集中した走りができるが、距離的に80キロが近づいているので体力的に段々とキツくなってきた。
徐々に歩く回数が増えてきて集中力が落ちてくる。それでも走り慣れたコースであとどのくらいで本栖湖駐車場に到着するかもわかる。
いつもよりも80キロは早めに出てくるはずだ。時計に目をやると34分のラップを刻んでいた。あと少しだ。
木々の中を抜けるとキャンプ場や公園が広がっている。そこに80キロがあった。
80キロ 9時間45分24秒 36分35秒 Av.133
来た!80キロ!10時間の計画に対して15分の貯金!うどんと本栖湖のエイドを覗けばほぼキロ7分でラップを刻んでいる。このタイムでの80キロは久しぶりだ。
2回目の本栖湖駐車場で貯金を使うことになるが、かなり余裕が持てている。しかしあと少しで駐車場の手前で再びトイレへ・・・。この1時間で3回は多いなあ。駐車場のトイレが混んでいるかもしれないので、しっかりと済ませた。
そして重たくなり始めたカラダをなんとか前に押し出しながら、最後の坂道を登り、駐車場へ戻ってきた。時計は10時間を経過しようとしている。
14時30分は本栖湖駐車場到着の関門時間だ。ダッシュで関門を目指すものの、ナンバーカードを外すように言われてしまうランナーの脇をすり抜けて行った。
この関門は112キロのランナーは往路では関係があるが、2回目の到着は無関係だ。しかしながら関門時間ギリギリと考えると、この先大丈夫?と感じてしまう人もいる。
残り約30キロで4時間30分あると考えれば、十分に間に合う時間だ。キロ9分でピッタリだが、プラスαの距離と坂を加えなければいけない。走って到着していないと厳しいことには変わりはない。
最低でも10時間10分では出発したいところだ。
ここではNさんのご主人にあった。奥様は72キロに参加しニコニコで折り返していった。ご主人は脚の状態が思わしくない様子だったが、『諦めないで頑張りましょう!後で追い付くので先に行っていてください!』と送り出した。
また石橋くんにも『100キロは12時間40分で残りにキロ10分残せるから、とにかくそこを目標に頑張れ!!』と、先着していたので待たずに先へ行くように促した。
エイドでゼリーを貰いお腹に溜める。2回目の時点ではカステラはなくなっていた。次のエイドは樹海大橋の上。その先はうどん。うどんまでは約8キロあるので、この間の補給をしっかりしないと!
本栖湖到着時にもアドバイスしたYさんが『間に合いますか?大丈夫ですか?鈴木さん!』と不安そうに近づいてきた。『まだ大丈夫です!とにかくキロ8分5キロ40分でにらめっこしてくださいね!』
時間となったので、リタイアを決めた方や、コアスポーツの応援団の皆さんに挨拶をして本栖湖駐車場を後にした。
この本栖湖駐車場が何キロか明確ではなかったが、10分休んでいたので次の85キロラップは50分以内に刻めることは予想できた。その通過でペースの落ち込みをチェックしよう。
まだまだ関門に向かうランナーとすれ違う一方で、本栖湖を周回してくる坂道を登るランナーを見てみたが、知っているランナーの姿はなかった。
そして関門を目指す中に先程スタートしていったNさんのご主人を見つけた。
『鈴木さん、ダメだわ。無理無理!戻るわ。』と脚を大きく引き摺っている。笑顔の中にも悔しさが伺える。
『絶対ゴールしますから!』がっちりと握手を交わして、地下道を抜ける。
今度は歩く前田くんがやって来た。『ダメでした~。本栖湖まで行きます!』ともうすぐの関門まで歩を進めた。
こちらは赤池交差点までの下り基調の道に入る。
エイドで話したYさんが追い付いてきた。少し並走しペースを確認。ラップの話をすると、ストップウォッチは動いていないらしい。トータル時間もわからない状態に。
それではいかんとアドバイス。
『次の85キロの表示があったらスタートさせてください。次の90キロのラップで40分以内ならばまったく問題ないです。うどんとか食べてはみ出してもいいので、また次の5キロで40分とにらめっこしてくださいね。43分以内でも大丈夫ですから。』
今の時点でYさんはキロ7分で刻めているので、心配なさそうだ。
次に姿が見えてきたのはコアスポーツの志村さん!
てっきり後ろかと思ったのに、しっかり走っている。
大会に向けた走り込みの成果が出ている。
しかしペースは7分30秒から7分45秒くらいがやっとのようだ。
志村さんには『今のままで大丈夫です!このペースをずっと維持すればいいですよ!また見える位置で来てくださいね!』
他にもクリニックに参加して頂いた女性の方にも同様に伝える。
この先樹海大橋も控えているので、維持するのも難しいかもしれないが、追い掛ける気持ちを持ってもらった方が良いと思った。
精進湖の出口を通り過ぎる時にエイドでリタイアし、バスを待っているランナーが5人くらい居た。風も強くなり毛布にくるまれうつむいた姿が印象的だった。リタイアしてしまったランナーの分も頑張るぞ!
85キロ 10時間32分44秒 47分19秒 Av.126
ラップは予想通りの展開。10時間で80キロを越えたと想定しても、8分の貯金となっている。この後の登りをクリアして西湖入口を曲がれば、うどんエイドまでは再び下り坂になる。ここは正念場だ。
青木ヶ原樹海大橋に差し掛かり、まずは走り続ける。この時の意識も骨盤の前傾だ。上半身は前屈みにならずに、骨盤だけ前方に倒す。こうすることで体重移動だけで坂を登ることができる。長い坂道なのですべて走るのは大変だが、半分以上は走り、それ以降はラン&ウォークを繰り返した。
再びYさんに追い付くとちょうどショッツを摂っていた。『次のエイドには食べ物がないので、そういったものをこまめに食べてくださいね!その次はうどんです。』エイドで僕もショッツを摂取し、先にスタート。また並走し西湖入口からの下り坂の旨を伝えると、良い走りで姿が小さくなっていった。
僕はというと、まもなく90キロが近づいてきているのをラップで確認しながらも、ペースが落ちてきていることを自覚し始めた。西湖入口までの平坦に近い登りで歩くことが増えてきた。
少しリズムを作らないとまずいと感じたので、なるべく走り、歩くにしても15秒程度と決めて前に進んだ。しかしなかなかリズムは戻らず、西湖へ向けての下りになっても、勢いだけでは走れなくなってきた。
正直足元に違和感が出てきた。左足首甲側の付け根だ。お客さんの応援団の前では歩くわけにはいかないと、走り出すが長くは続かない。ようやくという表現がこの90キロまでの5キロにはピッタリだろう。2回目のうどんエイド、野鳥の森公園に到着した。
90キロ 11時間16分15秒 43分31秒 Av.124
(ポラール心拍計:以前のデータを消し忘れていて90キロまでしか記録できず・・・。)
心拍数のアベレージがペースダウンを物語っている。
本栖湖エイドを除き初の40分オーバーとなった。
いよいよいつものパターンになってきたかな・・・?
うどんエイドではとにかくうどん!そして縁石に座る。
左足の違和感をなくすには、足首の患部ではなくスネ部分の軽擦で緩和できる!
とリハビリ時に学んだので、食べながらも擦ってケアをする。
(この部分)
石橋くんにも追い付きひと休みという感じになった。昨年と同じ状況ではない。時間的には余裕がある。といっても、100キロ12時間40分に対しては4分程度だ。このうどんで貯金はなくなった。
それでも目標は100キロ12時間40分に変わりはない。それで抜けなければ、後々にシワ寄せが来る。この先は少し下ってから西湖の周回道路になる。そこから西湖公民館までは登り坂だ。
少しでも貯金を作るにはこの下り坂!石橋くんと昨年の再現のように勢い良く走り出す。
まわりのランナーよりも明らかに早いピッチで走り出す。それも1キロ足らずなので、できることだ。予定通り西湖周回道路の入口を曲がり歩き出した。
今回はこの辺りから余裕がなかったのが伺える。
それはいつもやっている『西湖周回のスタート地点でタイムを確認すること』だ。
スタート表示でまったく気が付かず、1周してきてからの10キロ表示を見て、『はっ!』と我に返った。仕方ない、2キロ表示から確認しよう。
登り坂だからといって歩いてはいられない。歩く坂と走る坂の見極めはできている。
コウモリ穴を過ぎればまもなく登りは終わり。
西湖公民館が近づいている。公民館までは走ろうと平坦になった道を走る。
西湖公民館は93キロ地点。ふとあと7キロだと勘違い!
いやいや100キロの部でも81.2キロなので、あと約20キロなわけだ。
トイレにも行きたいが、行っている余裕がなくなってきた。
エイドでも固形物を食べようとバナナを頂く。
次のエイドは西浜小学校までない。この先は西湖のいりくんだ湖岸を進む。
距離にして5キロくらいだろう。
河口湖に出てからは平坦と登り坂しかないので、走れる今が貯金の時だ!
石橋くんともにペースをアップさせて後半のゆとりに繋げたい。
すると後ろ姿に見覚えが!抜き際に顔を覗き込むと本店の西田さんだ!
初のウルトラ!フルマラソンもまだ走ったことはないのに72キロに参加!
『どう大丈夫か?』と聞くと『ツライです~!』しかしこのペースでは間に合わない。
歩くことも多くなっているようだったので、ペースを併せた。石橋くんには先へ行ってもらい自分のペースを優先させる。
『ここまで来たんだから完走しないと!』『完走したいです~!』『じゃあ今頑張って、あとで楽をしよう!』とラン&ウォークで進ませる。なんとか完走までもっていきたいが、どこまで維持できるか?と、95キロをパス!
95キロ 12時間02分36秒 46分21秒
ここでポラールのラップが計測されていないことに気が付く。オートラップは解除し、ある程度の履歴は消したのだが、メモリが足りなかった・・・。なので、データは90キロまで。この先はデジカメで通過時間の記録をしよう。
とりあえず、うどんを含み46分。タイムは12時間を経過している。この先の5キロを38分でカバーしないと、100キロ12時間40分は厳しい。が、この状況では・・・?
西田さんとの並走を再び続け、歩くことのないようにプレッシャーを知らず知らずに掛けてしまっていたかもしれない。
するとアートスポーツのイベントで利用する西の海キャンプ場が見えてきた!アートスポーツのランクルもある。この週末はマウンテンバイクのチームの合宿をやっていると聞いていた。松井さんと社長もいるはず!
西田さんを残して西の海へ!外には姿がなく、宿の方に
『アートスポーツのものですが、松井さんか社長はいませんか?』
『あれ?外にいないかな?松井さ~ん!』すると2階から
『お~健!頑張ってるか!』と松井さん。
『西田さんも一緒で頑張ってるんで、応援してください!』
『おう!わかった!』その間西田さんが西の海キャンプ場の前を通り過ぎる。
『先に行って!』
松井さんが来ないかと、後ろを確認しながら西田さんを追い掛ける。100メートル以上離れてから、松井さんがマウンテンバイクに乗って追ってくるのが見えた。
こちらは先行する西田さんを捕らえ並走する。『大丈夫かぁ~!西田!完走するぞ!どうだ?健?間に合うか?』『なんとか走っていればですね、このまま。ギリギリはギリギリですね。』
西の海キャンプ場を過ぎれば、西湖はまもなく終了する。河口湖へ向けての交差点まで松井さんは着いてきてくれて、応援してくれた。2人で完走するぞ!
そして西湖を背にしてトンネルを抜ければ眼下に河口湖が見えてくる。ここから西浜小学校までの下り坂。飛ばしてもあとの平坦がキツくなる。小学校で休憩する余裕はあまりないが、トイレにも行きたい西田さん。
とりあえず小学校まで!
こちらはさすがに座りたくなり、西田さんのトイレ待ちの間にパイプ椅子に座って一息ついた。まだまだ続く下り坂。
ショッツを流し込み、西田さんを先に下らせた。
下りで勢い良く下れないのもあったし、まずは本人がどれだけのペースで維持できるかを確認したかった。
時間が迫っているのを察してか、下りでみるみる姿が小さくなっている。
一方、左足の違和感が大きくなるなか河口湖湖畔まで戻ってきた。
富士五湖の中で一番苦手なのは河口湖。特に復路の時は、河口湖大橋まで近いはずなのに、ペースダウンからなかなか辿り着かないもどかしさが苛立ちに変わる。
西田さんの背中を追い掛けて、歩いては走り歩いては走り。少しずつその距離は縮まっていく。そしてようやく、100キロを通過した。
100キロ 12時間45分26秒 42分50秒
予定の12時間40分よりも5分オーバー!遂に貯金から借金に。そしてラスト12キロに何時間残っているかを計算した。
14時間までは1時間15分・・・!待てよ!残り12キロを1時間15分で走れって?キロ6分じゃん!!これって・・・無理?だよね?
を含めて西田さんに報告!『健さん行ってください!間に合わないじゃダメですよ!』と激励をしてもらった。『諦めずに走るんだぞ!行けるところまで頑張れよ!』と声を掛けてギアチェンジ!
ちょうど道の駅に差し掛かるところで、スーツ姿のKさんを発見!『ギリギリですね!』『あれ?そうですか?』『あと1時間ちょっとで12キロですから・・・。』と300メートルぐらいキロ5分くらいで走りながら喋っていると・・・。
なんか変だな。あっ!112キロは14時間30分の制限時間だった!
『あっ、Kさんごめんなさい!30分勘違いしてました!もう少しゆっくりで大丈夫です!』
『そうですよね!でもこのまま行っちゃいま~す!』とスーツ姿なのに軽快な足取りでキープしていった。
僕は後方を見やり、西田さんを探すがなかなか見えてこない。ここまで頑張り過ぎちゃったかな?
一緒にいたから歩きたくても歩けなかったのかもしれない。
このままでは本当の制限時間に対してもギリギリになってしまうので、先を急ぐことにした。
道の駅を越えてしばらくするとエイドがある。
距離にして約102キロ。エイドの係員から
『あと10キロだよ!走って行けば間に合うよ!さあ頑張って!』
時間は13時間を過ぎたところだった。単純に5キロ45分×2で90分ピッタリだ。
サロマ湖で言うワッカ原生花園のラスト10キロと同じタイム。
しかし最後に4キロ近くの登り坂があることが、まだまだ気を抜けない最大のポイントとなる。
このエイドでも西浜小学校に続いて、イスを探して座ってしまった。
集中力が切れてしまっているようだ。
座りながらも、走ればキロ7分では走れる。
歩きを混ぜながらでもキロ9分は掛からないが、今こうやっていたら間に合わなくなる。
行かなくちゃ!と、腰を上げた。
まだまだ苦手な河口湖湖畔が残っている。次に目指すは河口湖大橋の通り!
また昨年関門で止められたステラシアターの時間も気にしなくてはならない。
距離表示は2.5キロごとなので、自らの走るペース感覚が頼りだ。
湖畔に建つホテルの横を抜けて、ようやく大橋の信号に出る登り坂に差し掛かる。右手に富士山が見えてくるポイントだ。
すでに陽は周りの山々に隠れようとしている。昼と夜の境目を、富士北麓公園を目指して走っている。
スタートは夜と朝の境目の4時30分だった。あれから丸1日太陽が西の山に沈む。
僕のペースも太陽のように下降線を辿る。下を向くことが増えてきた。
辿り着いた河口湖大橋の大通り。しばらく急な斜面が立ち塞がる。
ここを少しだけ我慢すればまた平坦だ。
信号待ちは嬉しいが、また間に合わなくなるのでは?のドキドキと裏腹。
その時、後ろからオレンジのシャツを着た女性が勢い良く走って行く。
次の信号待ちで『もしかして鈴木さんですか?』
『はい!そうですよ!』
『わたし・・・姫です!』
『あ~~!いつもお世話になってます!?いや、初めましてですね。』
『間に合いますか?』
『(そのペースで行けば)まだ余裕ですよ!頑張ってください!』と見送った。
姫さんの完走記を拝見するとかなり大変な112キロだったことがわかった。
その中で『鈴木さんより前に居れば大丈夫!』とあり、これには嬉しかった。
NEWTONにピンクのCEPにバンダナ姿でもしかしたら?と思ったららしい。
まだまだこのスタイルは変えられなさそうだ。
姫さんに遅れまいと、背中を追って走るが離されてしまった。
あの走りならば間に合うなと、こちらはペースダウン。105キロを迎える。
105キロ 13時間29分36秒 44分10秒
そしてなんとか国道139号に掛かる信号が見えてきた。昨年はここでの信号待ちが大きかったか?
なんとか100メートルぐらい離れた位置から猛ダッシュして、辛くも信号をパスした。
反動は大きく、先に見えるステラシアターの緑の屋根が近づいて来ない。
関門時間は13時間50分だ。時計は13時間40分を過ぎたところだ。
『あ~~!走らないと!』痛み出してきた左足を少しかばいながら、100メートル走っては10メートル歩く。ようやく近づいて来たステラシアター。関門場所とエイドは信号を右折してからだ。
その手前で壁の上に立つ男性の下に、関門時間を記す看板が。
(写真は昨年の場所)
『あと5.4キロ!走れば間に合うぞ!』
信号に向かうと『渡ってください!』と言われ、『えっ!?関門は?』
どうやら今年はステラシアターから変更になったらしく、
先程の男性のいた看板が関門だったようだ。
またエイドのテントも見えなかったが、
看板を右に入れば補給もトイレもあったという。
待てよ・・・と時計に目を移すと、13時間45分を過ぎたところだった。あと5.4キロで45分ってことは・・・まずくないか?
ここまでのラップで見ると5キロで46分くらいは掛かっている。
これからましてや登り坂になる。これは切り換えないとヤバイぞ!
昨年は35分あればクリアできる自信を持って到着したら、関門時間オーバー。
今年はその余裕はない。
しかし、ここまで来て間に合わないわけにはいかない!
『そりゃ!』と気合いを入れて坂道を走り出した。
この坂は長い!しかし5.4キロの中で1.5キロくらいは下りだ。
実質4キロを我慢すればいいのだ!
そしてダッシュ&ウォークで走る際、キロ6分の瞬発力を100メートル維持して、10秒だけ歩く。そうすれば1キロ8分以内には進めるのだ。
初めは坂の緩やかさもあり、なるべくダッシュを維持する。
300メートルくらいは維持できただろう。
呼吸も上がりハァハァとなるが、あの電柱からと決めて走り出す。
皆さんに僕よりも前にいてくださいね、と伝えるのはこのように最後の方は、間に合わなくなる部分を『ゆっくり長く』ではなく『速く短く』でリカバリーしている。
同じ筋肉で動かすよりも今までとは違う筋肉を使う感触だ。
登りの意識も先程までのうつむき加減から、骨盤を立たせて肩甲骨を寄せて、上体だけを傾けて体重移動させる。あとは倒れないように足をフラットに着地して、真下に下ろす。
最後に腕はカラダに沿って後ろに引くイメージだ。
こうすることで、無理なく坂を登ることができる。
坂の終わりは見えないが、確実に走れているので距離は短くなっている。
再び先行していた姫さんに追い付き、今度は『間に合わないかも!』と言うと
『引っ張ってください!』の反応!
2回ぐらいは後ろに着いていたが、そのまま前に走り出し置いていかれてしまった!やはり脚力の差が出たかな?
途中にホットミルクティを出してくれているエイドがあり、お客さんだった!
これは本当に助かった!芯から温まるのが良かった!
『大丈夫!鈴木さんなら間に合いますよ!』と言って頂き
『ありがとうございます!ごちそうさまでした!』と、また走り出す。
電柱2~3本分を頑張り、1本分を歩くスタイルは変わらない。
知り合いの背中を追い越していくので、『あ~鈴木さんが行っちゃった!』的な反応もあった。
僕の姿が見える位置で追い掛けて欲しい!
坂がまもなく終わることを示してくれるT字路が先に見えてきた。
このT字路を右折してキツい坂を登れば、あとは下りだ!
キツい坂を歩く為にT字路までは頑張って走る!
辺りは街灯もほとんどないので真っ暗になり、空だけが辛うじて明るかった。
110キロ 14時間12分03秒 42分27秒
さあ、あと2キロだ!
手元の時計は14時間12分だったが、後日届いた公式記録では14時間19分19秒。さすがにラストスパートだからと言って2キロを9分24秒では走りきれないさ!やっぱり距離は短いかな?
ラスト2キロで18分残せた。まもなく登りは終了する。
競技場のトラックを回るとしてもキロ9分あれば大丈夫だ!またしてもギリギリだな。
最後の登りを歩いて下りに入る。今度は左折するとラストのエイドがある。
ここは今までゴールまで1.5キロ地点だった。スバルラインの交差点までは平坦になるが、その先も下り坂だ。
その交差点で『あっ!鈴木さんだ~!またギリギリかい!』とお客さんに突っ込まれた!(笑)『すいませ~ん!今度御徒町に居るんでよろしくお願いしま~す!』と宣伝で返した。
周囲は真っ暗。辛うじて空の明るさだけで進む。
下りの先に北麓公園の看板と明かりが見えてきた。スタート直後の坂道に戻ってきた。
左折して勢い良く下っていく!最後になると、左足の痛みは感じない。
右側の歩道に入り右手前方に競技場の明かりを確認した!
競技場入口を右折すると『間に合うぞ!完走おめでとう!おかえりなさ~い!』の声が飛び交う。
『来た~~~!鈴木さ~~~ん!おかえりなさい!』
と皆さんから声が掛かり、競技場が近づくにつれて途切れない声援になる。
この瞬間が気持ちい~~い!皆さんの作る通路の中をハイタッチしながら、競技場正面を右折。
『あと2分~~!』の高瀬みどりさんの声に、完走を確信した!
前後のランナーとの間隔をとってゴール写真に備えたが競技場入口で前と詰まったので、
えいっ!とダッシュして交わして前へ出た。
そして2年振り3回目となる112キロのゴールを切ることができた!
112キロ 14時間28分43秒 16分40秒
タイムは制限時間1分17秒前。
前回の完走タイムよりも遅い結果となったが、年末の剥離骨折から考えれば十分な結果だった。
ゴールではコアスポーツの皆さん、姫さんやどららさん、本栖湖からご一緒したYさん、Nさんなどクリニックに参加頂いた方にも声を掛けて頂いた。その中には『やっぱりギリギリには帰って来るんだよな~!』の声も。皆さんの声援のおかげで走れました。ありがとうございます!
先行していた石橋くんも自分に追い付かれることもなく、5分前にゴール!2年振りに2回目の完走を果たした。一緒に参加した仁野くんは西浜小学校まで、逢坂さんは昨年と同じ本栖湖の70キロ地点でリタイアとなってしまった。またアートスポーツ本店の西田さんは、別れてから歩きが増えてしまい最終関門の手前で収容されてしまった。しかし自分で諦めることなく前に進んだ姿勢は素晴らしい!来年はリベンジしてね!
体育館に戻り着替えを済ませたが、寒さから徐々に力石モードに・・・ホットコーヒーを貰ったが、すぐに戻してしまう状態だった。こうなった時には、僕の場合胃に入っている物をすべて出してしまった方が楽になる。そして胃から出す方法も身に付けているので、少しトイレに籠り対処した。
10分も掛からず回復!まずは談合坂SAを目指そう!20時半過ぎに北麓公園を出発した。社内では石橋くんが胃が痛み出したらしく元気がない。談合坂でもトイレに籠りぱなしになってしまった。
一方僕は談合坂に着くとカレーライス大盛りに生卵!と、30分も経たずに回復!ガッツリ食べることができたので、翌日の回復も早かった。
高速も混んでいたので新宿に23時半予定になってしまったので、横浜・船橋・東村山の3人は上野原駅で降ろして、確実な電車で帰ってもらった。
逢坂さんと僕は都内を抜けたが、あまりにも眠気に襲われたので西永福のPで小休止。結局帰宅は午前1時となった。
いつもならば風呂の中で寝てしまうのだが、今年は興奮しているからなのかまったく問題なかった。翌日の仕事にも支障なくダメージは3日ですっかり抜けた。
2011チャレンジ富士五湖112キロ完走記~総評~
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