このOrigami(折り紙)を開いていると、開くにつれて思い出がおぼろ(Vague)になってきます。数々の橋の下を水は流れたのです。(注3) 「ミラボー橋の下、というのはそういう含みがあるのですね」 森之宮が言うと、マダム・ロレーヌはアンジェのように大きい孫がいるおばあさんとは思えないようなつやの肌に少しだけしわを寄せて、Sous le pont Mirabeau coule la Seine.(ミラボー橋の下、セーヌは流れる)アポリネールも知っているのですね、と笑って褒めてくれた。そうなのです、月日は流れ、わたしは残る(Les jours s'en vont je demeure.ミラボー橋の詩の続き)のです。さあ、そろそろロップスの美術館も開館時間です、あなたはここに残ることなく、お行きなさい。