芦田晋作の三文レビュー

"週刊ユネスコ世界遺産No.72自由の女神像"

"MESSI"リオネル・メッシ

背が伸びないことは死を意味した。 サッカーができなくなるだけでなく家族の人生まで背負っていた。 死から逃がれるように相手を抜き次々とゴールを決めた。

"羊たちの沈黙"ジョディー・フォスター

"LUPIN THE ⅢRD 血煙の石川五ェ門"モンキー・パンチ

斬るために斬らなかった。 五感を封じ「最速の五感」を手に入れるために。 命より大事なものを取り返すために。

"原発　決めるのは誰か"吉岡斉、寿楽浩太、宮台真司、杉田敦

"機動戦士ガンダムF91"富野由悠季

少年も戦いに加わることで大人になるしかないのか。 大人も戦いに加わることで少年でなくなったのか。 少年たちはただ自分たちにできることを探す。

"SWITCH 2017.7"Comme des garçon

"ふたりのJTリロイ"ローラ・ダーン

演じることと欺くことの違いを考えていなかった。 木に登った猫は下りる時のことを考えていなかった。 なりすますのをやめる時のことを考えておけばよかった。

"誕生日"シャガール

"LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘"モンキー・パンチ

子どもでも騙す。 殺し屋でも騙す。 その嘘の上で踊りたがる男たちがいる限り。

"オールド・ノリタケと日本の美"大賀弓子

"攻殻機動隊　ARISE"むらた雅彦

光学迷彩で肉体を消してもGhost（魂）まで消えるわけではない。 消すのは新しく仲間になる者たちの脳内データだ。 忌まわしい過去には上書きで消えてもらう。

"cafict コーヒーと暮らす"くぼたまりこ

"パターソン"ジム・ジャームッシュ

小さな悲劇を含めて日常という。 積み重ねたものが崩れ落ちた夜も次の新しい朝に繋がっていた。 雨は一粒ずつ落ち、日常は一日ずつ作られ、詩は一語ずつ完成されていく。

"最初に夜を手ばなした"椿冬華

"BとIとRとD"酒井駒子

いつか誰にも見えない誰かと話せていた時代が終わる。  鳥と言葉が通じないことにも気がついてしまう時が来る。 少女は幼児だったことも忘れてしまう。

"梅樹下草模様小袖"酒井抱一

"天才たちの頭の中"ハーマン・ヴァスケ

気が弱くて、優しくて、傷ついて犯罪者になる者と創造者になる者とに分かれる。 権力にも弱く、世界の諸問題も解決しない。  それでも創造的であらざるを得ない者たちが今日も机に向かいペンを握る。

"ローマ法皇の言葉"

"機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争"富野由悠季

大人になるにつれて戦争はポケットに入らなくなっていく。 身近な人々を失って戦争が見えてくる。 憎しみもなく殺し合うモビルスーツたちの悲しみはポケットには入らない。

"ベートーヴェン　テンペスト　第三楽章"フジコ・ヘミング

"3月のライオン"羽海野チカ

将棋だけが心の通う会話だった。 会話のない世界には馴染めなかった。 将棋の家を生き延びてからも誰かと話をしていたかった。

"おじいちゃんがおばけになったわけ"キム・フォップス・オーカソン

"無敵の天才たち"ダグ・メネズ

敵はいなかった。 世界のルールを変えていく無名の男たちの前に古い巨人はなすすべもなくただ倒れていくだけであった。 時勢に乗った者たちの強さに敵う者は無い。

"読書する少女たち"渋谷漠

"Midvikudags"Bjork

話はいつから歌になるのか。 旋律がなくても伝えられることなら話して伝えればいい。 囁きより大きな声と叫びになる前の声とがリズムのない荒野でメロディを探し出した。

"クロフネ　開放の使者"

"銀河鉄道999"松本零士

幸せは終着駅にあるとは限らなかった。 駅に停車するたびに迷いが生じるようになった。 機械の体を手に入れた人々が幸せそうに見えなくなってきたのだ。

"2001:キューブリック、クラーク"マイケル・ベンソン

"9.11 ユナイテッド93便 最後の瞬間"

飛行機がホワイトハウスに墜落するのを防いだのは勇敢な乗客たちだった。 その力はついにコクピットのドアを突き破るに至りテロリストたちと操縦桿の奪い合いになった。 10時3分10秒、時速900kmで地面に激突し、地下12mにまで埋まってしまうまで。

"東京人　井の頭公園とジブリ美術館"

"まばたき"穂村弘　酒井駒子

全てはまばたきする間に起きたこと。  そうは思えなくても。 その間をどう生きるか。

"ニケ像（レプリカ）"作者不詳