京都の街中にこんな建物があるんですか
日常の生活、社会活動の傍らに、歴史的遺産が同居しているというのも、京都らしいですね

高士吟嘨弾琴図にふと目がとまりました
こんな屏風を横に置いて、友と静かに酒を酌み交わす・・・
そんなことが出来たら良いなと思います (2022.08.29 08:22:30)

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2022.08.29
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カテゴリ: 観照 & 探訪

今回は、 八幡山所蔵の屏風 がこの八竹庵で 「屏風祭」として特別展示 されていました。


前回ご紹介した八竹庵の平面図にA~Dの記号を追記しました。
主屋1階の4つの部屋で屏風祭の展示がありました。

A室の展示品から順に鑑賞 して参りましょう。

座敷の北側、襖障子の手前に、 海北友雪筆「紙本金地着色祇園祭礼図屏風」一隻 (せき) 友雪(1598~1677)は海北友松の一子 です。明暦年間(1655~1658)頃の作品。
17世紀半ば頃の祇園祭の状況を伝える貴重な作品 です。
京都市指定有形文化財 に登録されているそうです。尚、ここには、デジタル複製品が展示されていました。
第1扇
第2扇
第3扇
第4扇
第5扇
第6扇
屏風の各扇の 上段は四条通での祇園祭後祭の山鉾巡行 下段は三条通で、神輿三基の還幸 三条通に面した町家では屏風や幔幕 がしつらえられていて、祭を祝い楽しむ雰囲気が溢れています。

屏風は普通六曲一双ですので、今は無き他隻には、祇園祭前祭の光景が描かれていたものと推測されているそうです。


A室の南側には、 岡本豊彦筆「高士吟嘨弾琴図」屏風 が置かれています。

岡本豊彦(1773~1845)は江戸時代後期の四条派の絵師 です。

向かって右の白い衣を着た高士は琴を弾き

              右の高士は琴の音に合わせて詩歌を吟じているようです。
こちらの高士の衣は黒色で対比されています。さらに、敷物も逆転させて黒白で対比されています。

岡本豊彦は「倉敷の旧家の出身で、十代半ばで絵師を志した。まず大坂で南画を学び、ついで京に出て四条派の祖の呉春に学び、頭角を表した。同門の松村景文と並び称され、文政年間(1818~1830)の京都画壇の中心的な存在として活躍した。門下から塩川文鱗、孫弟子として幸野楳嶺、竹内栖鳳を輩出している。」 (説明文より転記)

右隣には、

「摺物貼交屏風」 (作者不詳)が置かれています。摺物を幾つか抽出してみましょう。









B室 には、北側の違い棚の前に、 三井家旧蔵の「長刀鉾」の精巧なミニチュア が置かれています。





​北東側からの全景​
南側には 円山応挙筆「光琳百花図」屏風 (六曲一双)が燦然と輝いています。

北西側、B室の西側の廊下から撮った全景 です。
まずは、 右隻から拝見 しましょう。




左隻 が東方向に続きます​




一部、図を切り出してみます。






C室の南側 に展示されていた 「太宰府宮小路康文謹書屏風」 です。

菅神博覧古言云   菅原道真公は広い知識をもっていて、古言に云う
主聖        支配者が知徳に優れていて

臣賢 天下盛    家臣が賢ければ天下は富栄える

君明臣 直国之   君主が賢明で、家臣が実直で有れば国は

福也        幸いである
父慈子       父が慈悲深く、子が

孝夫信 妻貞家   孝を就くし、夫が誠実で、妻が貞淑であれば、家は

之福也       幸いである。
明治30年5月 太宰府宮小路康文謹書


C室の北側 には、これらの屏風が置かれています。 「福禄寿」 と吉祥句が揮毫されています。
「福録」
無踰分求事而不費材    分を超えて求めることなく、財を費やさず
積陰徳者自得福焉     陰徳を積む者は、自ら福を得んや
思君親之恩而慎行碩    君親の恩を思いて、慎んで優れた行いをなせ
守天命者自得禄焉     天命を守る者は禄を得んや
「寿」
禁飽食大酒而遠色欲    飽食大酒を禁じて、色欲を遠ざけ
養気血者自得寿焉     気血を養う者は、自ら寿を得んや
明治三十年卯月初七日書
太宰府 古梅

上掲二種の屏風は ともに宮小路康文の書で、浩潮・古梅と号しました

両方の説明文末尾に次の説明が付記されています。
「宮小路浩潮は嘉永年間、比叡山で天台を修め、権大僧正となって帰郷し、空海の書法を究めた名筆家として知られた書家。平安遷都千百年記念祭には下命によって、平安神宮応天門の扁額を揮毫・・・・などの作品が有名」 (転記。判読不詳部分割愛)


こちらは D室の南側 に展示された 屏風 です。

それでは、西側の中庭とその西に建つ蔵を巡りましょう。

つづく

参照資料
*屏風の展示に添えられた説明文等
*当日入手のリーフレット 「京都市指定有形文化財 八竹庵」

補遺
​​ 海北友雪 ​ :ウィキペディア
海北友雪 ​ :「コトバンク」
花鳥図屏風 海北友雪 ​ :「文化遺産オンライン」
海北友雪筆(かいほうゆうせつひつ)麟祥院本堂障壁画 ​  :「住友財団」
岡本豊彦 ​  :ウィキペディア
四条派 ​   :ウィキペディア
円山応挙 ​  :「コトバンク」
円山四条派 ​ :「コトバンク」
浩潮宮小路康文、行書五絶 ​ ギャラリー解説:「黄虎洞 The Wonderland od Chinology」
横綱力士碑(東京 江東) ​ :「国内旅行観光ガイド『名勝・史跡★百景』」

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Last updated  2022.08.31 09:25:21
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Re:スポット探訪&観照 京都・中京 旧川崎家住宅 くろちく「八竹庵」細見 -2(08/29)  
Jobim さん

Re[1]:スポット探訪&観照 京都・中京 旧川崎家住宅 くろちく「八竹庵」細見 -2(08/29)  
茲愉有人  さん
Jobimさんへ

この川崎家住宅が不動産会社の手に渡り、壊されて更地になる話が出ていたのを今頃知り、驚いています。
八竹庵として維持存続が行われたのは何よりです。

市内には、有形文化財に指定登録された町家がいくつかあります。そのうちの2箇所は以前に見学したことがあります。

維持運営するのも大変でしょうけれど、歴史的文化遺産として残していってほしいものです。

高士の交わり、そんな関係で一献を傾けられれば、本当にいいでしょうね・・・・・。
(2022.08.29 10:57:17)

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