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2009年09月23日
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カテゴリ: 日記
最近連日テレビに出てくる群馬・八ッ場(やんば)ダム中止の問題だが、他のダムの問題と違う点を考える必要がある。地元の住民が中止に反対してるのである。

ダム建設工事は大金が動くので、その恩恵にあやかれる人は賛成する。ダムを造って得するのは、やはりその建設のかかわる建設土木関係の会社とそれらの会社と関係がある政治家だろう。

一方反対するのは、そのダムで家や畑やお店など生活の基盤となる土地を奪われる人たちだ。奪われると言っても、何の補償もなく追い出されるわけではなく、それに十分に見合った補償を受け取り移転する事になるが、この「十分」と言うのは、主に行政側が勝手に決めた「十分」であり、住民側から見れば「不当に安い金額」と言う事もめずらしくない。このように一般的には、工事会社・政治家・行政が賛成、地元住民は反対、と言うのがよくある話だ。

しかし、今回の八ッ場ダムの中止に反対してる人たちは、このような話とはまったく違う。立ち退きの対象になってる地元住民が中止に反対と言ってるのである。なぜそんな事になってるのか。

八ッ場ダムは、ダム本体こそ工事が始まってないが、ダム建設に伴ういろいろな工事がかなり完成に近づいている。重要な事は、既に引っ越して新しい土地で生活をしてる人もいる点である。新しい土地に引っ越した人は、まだ鉄道が山の上の方に通ってないので、電車が来るまでは従来より不便を強いられる。道路も鉄道も近いうちに山の上を通るようになる予定である。

今ダムが中止になっても、もう戻れる土地は工事でなくなってしまい、今では見ても元の場所がどこだかもよくわからなくなってる所もある。山の上に新築住宅を建てたばかりで、いまさら谷(地形的には谷であるが、この谷が長年普通に生活してた普通の場所)に戻る事もできない。戻れる場所はない。

一方まだ引っ越してない人は、ダムが中止になったら、わざわざ住み慣れた土地を離れ、山の上に引っ越す理由はない。無駄な費用をかけてわざわざ今から山の上に新築の家を建てる事はない。

そうすると、谷と山と両方に人々の生活の場がこれからずっと分断されたままの状態になってしまう。地図や空から見れば一見近いように見える所もあるが、かなりの高低差があり、日常生活で何度も行き来するのは現実的ではない。近所相手の商売は、ある程度以上の人口のまとまりがないと、商売として成り立たなくなってしまう。やはり谷か山かどちらかに人が集まらないと社会が成り立たない。

ダム建設をすると儲(もう)かる会社が中止に反対してるのではなく、元は反対だった住民が、「ここまで来てしまったから、やめられたら困る」と言ってるのである。

民主党は「補償する」と言うが、この状況に対してどのような補償をするのだろうか。従来の生活の利便性を、費用をまったく無視して考えるなら、谷と山と両方に鉄道を運行し、両方に道路を整備し、さらに谷と山をつなぐ交通機関(エスカレーター・ケーブルカー)を随所に作らなければならない。当然あり得ない話だろう。

私は無駄なダムは反対だし、今の民主党の考え全般は基本的に支持する。しかし、ここまで工事や引っ越しが進んでしまい、生活の場が分断した状況で、ダムを中止するのはとても支持できない。今から前言を撤回し、中止する事をやめても、その内容をよく説明すれば、誰も「公約違反だ」とは非難しないだろう。むしろ「公約だから」と言って、地元の状況を無視して、名目だけの公約実行を推し進めるようなら、その方がかえって非難される事になる。

何かひとつの事業を目立たせて政権の実行力の象徴にするのはよくある手段だが、そのためにその地の人の生活を犠牲にするような事があれば、それこそ本末転倒である。生活を重視する党ならば、今まさに生活がかかってる人の声を聞いて正しい選択をしてもらいたい。





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最終更新日  2009年09月23日 12時44分27秒
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