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2003年12月01日
夜中につらつら考えて。
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(今日の日記はとっても長いので、お時間がない方は後からでもごゆっくりと)
今日の仕事はいたって軽く。
請求書を届けに行くのと、書店での資料購入と、
内部的にはほぼ決定済みの案件について確認打ち合わせ。
仕事がやっと落ち着いてきた今、なんだか感謝の気持ちでいっぱいです。
自分でもよく続けられてるなーって。
「なんでコピーライターになりたいって思ったの?」
よく聞かれるんですが、
ひとことで言うと「こんな仕事があるんだぁ!って驚きが続いてる」
ただそれだけ。
“夢”なんて、そんな大げさなものでも何でもない。
そんな感じがします。
“こんな仕事”の存在を知ったのは、
まったく畑違いな理系の高等専門学校に通ってた19歳頃のこと。
(この仕事を知れば知るほど、理系の思考が大切なことにも気付かされるんですけど…)
「コピーライター」の文字が、とにかく気になって気になって。
それからは通信教育の資料を取り寄せてみたり、
コピーライターの方が書かれた本を読みあさってみたり。
そこでまず感じたのが、
「活躍してるコピーライターの人は、共通してやさしい視点を持っている」
皆やさしく、人として、あたたかい。
あくまで知識としてだけど、コピーライター(広告制作)って仕事は
「広く浅く、いろんなことを学べる仕事」だとも感じたぼくは、
「あー、こーゆー人になりたい。少しでも近づきたい」。
そのことで頭がいっぱいになったんですね。
それで、今思うと若気のいたりとしかいいようがないんですけど、
とりあえず退学し、熊本から福岡へ。
その7年後の26歳でやっと制作プロダクションに就職が決まり、
コピーライターとして晴れて名刺を持つことに。
そこで3年あまり勤務したのち、とりあえず今は一人でやっています。
それで。
「仕事はコピーライターです」なんて言うと、
「うまい文章を書く」「口がうまい(笑)」
と思われることがやっぱり多いんですね。
ぼくなんか、すっごい口ベタですけど!(って、ダイジョブかいな?)
ともかく、「コピーライター=文章がうまい」という図式ができあがってて。
もちろん最終的なアウトプットの段階では“技術”がどうしても不可欠なので、
まったく違うとも言い切れないんですけど、言い得てはないんです。
「うまい文章が書きたければ作家にでもなりなさい」。
コピーライターのタマゴが最初に教わること。
ちょっとおもしろいでしょ?
実際、そうなんです。
うまく書こう(どう書くか)よりも、何を伝えなきゃいけないか(何を書くか)
のほうが大切。というかまず先にありき、なんですね。
クライアントのために、商品のために、そして、生活者のために、何を伝えるべきか。
まずは、これに尽きると思います。
さっきのコピーライターの「やさしい視点」
の話につながるんですが、
クライアントまたは商品と生活者の間に立って、双方を見つめ、もっとも幸福な関係を見つける。
それがコピーライターの役割なんだと思います。
ちょっとキレイごとみたいですけど。
ぼくはそう信じてたいし、
それがまだまだできていないなぁ、足りてないよなぁって実感してるから、
この仕事、やめられないのかもしれません。
商品をより広く知らせるため、購買意欲を高めるため、
企業イメージをアップするため、などなど。
目的は違っても、広告はビジネス。経済活動の一環です。
音楽や映画のように、人の心を強く揺さぶるような芸術ではない。
街にはビルボードが立ち並び、電車やバスに乗れば交通広告が視界に飛び込み、
テレビやラジオからはCMがあふれ出してくる。
「広告なんてなくてもいいのに」。
それでもなかには、ちょっと楽しい気分にさせてくれる、ほっとさせてくれる、
勇気づけてくれる、
そんな広告だってありますよね。
純然たる経済活動であるはずの広告が、情報提供としての意味だけでなく、
ときには人の背中をポンと押してくれたり、励ましてくれることもある。
大げさに言えば広告の不思議さ、マジックだなーと思うんです。
そして、このマジックが生まれてる広告には必ずと言っていいほど、
携わった制作者の、クライアント(商品)と生活者双方へのやさしい視点があるように感じます。
それも、経済活動としての機能を果たしながら、制作者のパーソナルな部分がにじみ出すように。
好きな広告をあげるとキリがないんですけど、例をあげてみます。
JR東海の「そうだ京都、行こう」キャンペーン
あまりにも有名なキャンペーンなんで、あれこれ分かったようなこと言うのもはばかれるんですが、
「そうだ京都、行こう」の“そうだ”がポイントだと言われていたと思います。
東海や関東地方の人にむけて、地理的に、そうだハワイ、ってわけにも行かないし、
沖縄もちょっと遠い。
“ほっとしたいんだよね”や“なんだか大切なものを見落としてる気がする”などなど、
生活者が無意識のうちに感じているところに、
“それなら京都がありますよ”“思い立ったら、電車にのればすぐ近くに。ほら♪”
という、心配りのある提案。
「修学旅行の定番。退屈なんだよね」っていう京都のイメージを
軽やかにひっくり返す新鮮なささやき。
京都観光誘致による電車利用の促進という経済的な目的を果たしながら、
見る人に心地よい。
幸せな関係を生み出した広告の好例だなーと、自分のレベルを棚にあげて思います(笑)。
手元の資料を見ただけでも、
『銀じゃなくても…。銀じゃないから…。私は、好きです。 銀閣寺【左京区】』
『「春はあけぼの…」という彼女の意見に、私も一票、投じます。 渡月橋【嵐山】』
(ともに1994 雑誌広告)
『(春・毘沙門堂)
いま、励ましを必要とする人がいたら、
「がんばれ」「元気出せ」なんて言うよりも
私なら、こういう場所に連れてきてあげたい、と、思います。
春が、こんなにもきっちり訪れる国で、よかった。』
(1999 TVCM30")
と、素敵な広告が長きにわたって展開されています。
こんな広告なら、ずって見ていたいって思いますよね♪
ひとつ書き添えておきたいのは、
なんでも、やさしい口調で伝えればいい、ってことでは決してないこと。
誰にむけて(メインターゲットは若い女性だと思います)話しているのか、
どんなふうに(京都=気軽にでかえけられる場所)伝えるべきか、の結果が、
こんなやさしい語り口になっているんですね。
ここは、ぼくも注意したいとこです。
すっかり長くなってしまいましたけど、もうひとつだけ。
名和昆虫博物館という博物館のポスター広告なんですが、
『害虫と決めたのは人間。
益虫と決めたのも人間。
勝手なんだから。』
のキャッチフレーズと、
ちいさな虫のアップの写真で構成されています。
名前は知らないけど愛嬌たっぷりの表情の虫の写真に目を奪われ、
このキャッチフレーズが目に飛び込んできたときの衝撃。
まったくそうだよなーと、うなづくしかない説得力。
続くコピーは
『虫の気持ちがわかる、名和昆虫博物館。』。
そう、この博物館は
『世界の虫、何百種を一斉に展示!!』でも『日本ではここだけ!!』
といった博物館ではなく、
『虫の気持ちがわかる』博物館なんです。
人間の側から見てるだけでは、ぜったいに発見できない視点だし、
同時に、人と虫の双方、もしくは関係性へのあたたかなまなざしがなければ、
やはり発見できないと思うんです。
こういう仕事を見ると、つくづく、生き方が問われるなぁーと、
うれしいような、今の自分と照らし合わせて情けないような気持ちにもなったり。
いやいや、あきらめませんけどね♪
このコピーを書かれたのは仲畑貴志さんというコピーライターの方で、
TOTOウォシュレットの「おしりだって、洗ってほしい。」のキャッチフレーズをはじめ、
SONYウォークマンの猿がヘッドホンをつけて熟考してるようなTVCM(「哲学する猿」)、
九州では岩田屋百貨店の広告も有名ですが、
とにかく代表作となると枚挙にいとまがありません。
この仲畑さんがコピーについて語ったもので、ずっと忘れられない言葉があるんです。
『生き方以上のコピーは書けません』
仕事が重なってめげそうなときや、
気分がどうしてものらないとき、
いつも頭に浮かんできて、励まし、支えてくれる言葉です。
厳しいように聞こえて、ぼくには「まだまだこれから」とも響くんですよね。
だって、まだなんとか生きていけてるから。
ほんとに身勝手な甘い解釈ですけど(笑)。
同じように大切にしている言葉がもうひとつあって、
「コピーライターの勉強法は?」との問いに対する糸井重里さんの答えなのですが、
『毎日一生懸命生きていることじゃないですか』
という言葉。
言葉は違うけど、そこに含まれるものは同じように感じます。
これから自分がどうなるのか、どこまでやれるのか分からないけど、
いまはとにかく行けるとこまで続けていきたいな、と思っています。
努力も足りず、目標に達してないうちに30歳になってしまったけど、
こんな自分でも、仕事を依頼してくれる人たちがいてくれること。
言い尽くせないほど感謝の気持ちでいっぱいです。
あきらめず、なんとか仕事を続けていけているのも、
「少しでもこたえなきゃ」って気持ちにさせてくれる周りの人がいてくれるからこそ。
こうやって、自分の仕事についてつらつら書き連ねることができるのも、
(内容はともかく)
幸せなことだなーなんて、つくづく。ね。
はじめのほうで、
この仕事をすることは“夢”とか大げさなものじゃなかったって書いたけど、
ほんとうにそうなんですね。
ただ続いてる、続けさせてもらってるだけで。
今日の日記に書こうと思ったのは、じつのところ
「続けられるうちは、自分であきらめないでほしいな」
ってことだったんです。
それこそ、「夢だったんだろ?」とか大げさなものでなく。
何かに興味や関心が湧いて、はじめてみる。
経済的な理由や、どうしようもない理由で続けることがむずかしければ、
それは仕方ないと思うんだけど、
そうでない限りは続けていてもいいんじゃないかなーと思って。
興味を失っていないうちは、ね。
ま、結果は後からついてくるもんでしょ。
ってことにして、お互いに励んでいきませんか?? それぞれのこと。
ことごとく楽しようとするこんな自分でも、なんとかやれてるんだから、
きっとみんな、大抵のことはダイジョブだよ。
って、楽観的すぎるかなー?(笑)
いい機会かな、なんて思いつつ、
ずいぶん脱線しながら広告のことについてエラソに書いてしまいました。
稚拙な説明で申し訳ないです。
せっかく場所(HP)があるから、「広告っておもろいよー」ってこと、
書いていきたいなーと思ってはいたんですけどね。
ちょっとクドかったですね。反省。
「春はあけぼの~」と虫くんの広告。見えるかな?
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最終更新日 2003年12月02日 09時00分55秒
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