★ 真夜中の独り言 ★

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2020.03.26
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​          ★ 鉄橋 ★

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               特急列車 はるか彼方
           今 多摩川の上を走る

           久し振りに
           老いた母に会いに行く人
             ふるさとの
           同窓会に向かう人
           待ちわびる
           恋人のもとへ向かう人
           危篤の知らせに
           最愛の人の床へ向かう人

           つらい恋を 終わらせたいと
           初めてのお産に
           苦しむ妻を 励ましたいと
           今度こそ
           親父に謝りたいと---
           それぞれが
           それぞれの想いで
               車窓に向かう

            皆が
            ひとつの箱の中
            皆が
            ひとつのレールの上で
            ひとり ひとりが
            それぞれの

            それぞれの一生懸命を
            生きている

             多くの想いを包み込み
           一連の列車は
           今
             多摩川の上を 渡る






                          By.星原女瑪.(2013.9.01) 2020.3.26.

                                                 再掲です (注意・詩の転載を禁ずる)  


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​             ★ 詩に寄せて ★​

              最近は再掲が多くなり、大変に恐縮しております。

              新しい詩を産み出すことは、詩を完成させるのは、

              実に難しいです。

              何度も推敲を繰り返し、出来上がります。

              それでも満足な詩は、 なかなか書けません。

              多分、私の力不足なのでしょう。

              さて今回は、【鉄橋】を再掲してみました。

                詩を作品として放つことには、 勇気が要ります。

              詩人、萩原朔太郎は、

              【詩は、言葉以上の言葉】 と言っています。

               その様なものが、簡単に出来る筈もなく

               もちろん作為では出来ません。

               拙い詩ですが、

                     読んで下さり、誠に有り難うございました。

【後藤純男】 「富士」 版画(リトグラフ) 6号大  額装 【書画肆しみづ】.jpg




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  【 倒れた御婦人 ~】(完)​​​


       3月19日スーパー銭湯での話です。


   午後から行ったスーパー銭湯は、

  コロナウィルスの所為でガラガラの空き様でした。
  何時ものように時間を掛けてシャンプーしたり、
  ゆっくりとクレンジング。
  そして温泉で何度か温まり、
  歯磨きを済ませて脱衣場へ上がりました。
​
   さてさて今日も丁寧にお肌の手入れを...(*'▽')

  そんなことを思いながら、
  半袖ロンTで化粧台に座りました。
  先ずは美容液を付けて、ドライヤーにスイッチオン。
  鏡を見ながら気持ちよく髪を乾かしていると、
  とんでもない光景が、鏡に映って来ました。 ​

   アッ...御婦人が後ろ向きに倒れる姿が映ってました。

  倒れ方は、バーンと言うよりは、
  ゆっくりな感じでした。
  直ぐに起き上がると思いきや、
  そのまま動きません。
  これは、大変だぁ...。
  私はドライヤーを止めて、
  立ち上がりました。

   振り向きざま5mほど走ると、

  御婦人の頭の方へ、しゃがみ込んだ。
  その時には、既に3~4人が集まっていました。
     (注釈・ここは女湯ですので、全て女性です)
  アッ、頭が床についている。何とかしなければ...。
  タオルだ!思い付いて化粧台へ走った。
  私は大好きなミニーちゃんのタオルを取り上げて、
  再びシャガミ込み、頭の下に入れて遣った。
  その時、
  『タオル、タオルはないの』

  大きな声がした。
  この場を仕切っているらしい、
  元気そうな老婦人の声だった。
  アッ、そうだ。
  私はロッカーに戻り、
  濡れたガーゼタオルを手にして戻った。
  私は、ボンノクボを冷やしてあげたかった。
  『ダメダメ、湯当たりは首の頸動脈』
  仕切り屋さんは言うなり、
  洗面器の水にガーゼタオルを浸けた。
  私が何時も、湯上りに顔とボンノクボを冷やすタオル。
  『アッ、そのタオルも貸して』
  仕切り屋さんは、
  ピンクのミニーちゃんも濡らし始めた。
  あぁ、私のミニーちゃんと、一瞬つぶやいた。
  『タオルは無いのですか』私の声に、
  『スタッフさんが持ってくると、思います』
  すぐ傍の婦人が応えてくれた。
  『じゃあ、フロントには連絡して下さったのですね』
  気掛かりだった事を、私は口にした。
  『ええ、だいぶ前に...』
  そうだったのかと、思っていると、
  『吐き気がするって言ってますよ』
  また別の婦人が言った。
  『洗面器を、持ってきますね』
  私は言うなり、浴場へ走った。
  『これを置いておきましょう』
  何時の間にか、私は仕切り屋さんに話し掛けていた。

   そうです...。こういう時には、

  ある程度知識の有る仕切り屋さんが、必要な気がした。
  すると、
  『水、水を飲ませなければ。湯当たりには水を』
  仕切り屋さんが叫んだ。
  私は、化粧台のペットボトルに目を遣った。
  私が何時も飲む、麦茶だった。
  『あれなら有るのだけれど、今はコロナがね』
  『そうそう、駄目よね』
  また別の婦人が同調してくれた。

   そうか、ある事に気付いて、

  私はロッカーへ走った。
  小銭入れを手にして、
  仕切り屋さんの向こうの販売機の前に立った。
  あぁ、何にしようか。アルプスの天然水を...。
  500円玉だったから、何でも買える状態だった。
  ボタンを押そうと思った瞬間、仕切り屋さんが叫んだ。
  『下の段の左のイオン水』
  ああ、これね。
  私は、ペットボトルを差し出した。

   すると、

  『ストロー、ストローがなければ』
  また、仕切り屋さんの声がした。
  そうか、ストローがないと飲ませられないよね。
  『スタッフさんが、持ってくるそうです』
  その時、誰かの声がした。
  それにしても、
  フロントへの電話から、だいぶ時が経っていた。
  30分は、掛かっていた。
  その内に、誰が持ってきたのか、
  仕切り屋さんが、ペットボトルの水を飲ませ始めた。
  それを見届けた私は、連れの事を思った。

   それでロンTにソックス姿で、

  小走りに女湯の入り口の内に立った。
  連れが見えたので、
  暖簾越しに患者が出たことを告げ、
  少し遅くなるから待って呉れる様にと、頼んだ。
  私はロッカーへ引き返し、
  UVファンデを軽くはたき終えて、
  また患者さんの元に戻った。
​​
   なんと、洗面器に吐いた跡が見えた。

  『吐いたのですか...』
  『そうなの、脱水症ではなかったみたい』
  仕切り屋さんが、直ぐに答えてくれた。
  患者さんの唇はに、ほんのり赤味が有った。
  顔色は、頬骨当りに薄っすらと赤みが差していた。
  私は変だなぁと、思った。
  それで、ある病気の事を思い始めた。


 【 つづき 】


   その頃になってスタッフが二人、

  タオルを抱えて漸く現れた。
  私はタオルを奪う様に取ると、
  厚めに折って、患者さんの頭の下に差し込んだ。
  傍の婦人が手伝って呉れたので、
  頭はそうっと持ち上げたのだった。
  その時には、
  沢山のバスタオルが、患者さんに掛けられていた。
  私は患者さんの顔の近くにシャガミ込んで、
  『ねえ、足の先は動かせますか』
  聞いてみると、患者さんは小さな声で、
  『はい』と答えてくれた。
  『じゃあ、足の先を動かしてみて』
  私はタオルからはみ出した、
  患者さんの足先に目を凝らした。
  足首から先が、左右均等に動くのが見えた。
   なるほど・・・私は胸の内で溜息を付いた。
  これは、心筋や脳梗塞ではないな...。
  となると、
  私が疑っていた脳卒中に一番近いと思った。
  顔色が蒼白でなく、吐き気を訴えている。
  もう大分経つのに、座る事も出来ない。
  元より、私は湯当たりや貧血は排除していた。
  『血圧を、すぐに測ってください』
  スタッフに告げると、
  『血圧計は、無いんです』
  『はぁ、無いんですか...』
  私が呆気に取られていると、
  周りの婦人たちも、怪訝な顔つきだった。
  『早く救急車を呼んだらどうですか』
  私が訊くと、
  『お連れの男性が、外で待っていますのでー』
  いつか、仕切り屋さんの姿は消えていた。
  『一刻を争う時ですよ。早く呼ばないと』
  『患者さんが、呼びたくないと言っています』
   私は落胆と、憤りを感じ始めた。
  『本人の意向に、構っている時ではないのですよ』
  スタッフは、私の言葉に応じなかった。
  私はシャガミ込んで、患者さんに話し掛けた。
  『ねえ、待っている人は旦那さんなの』
  患者さんは首を小さく振って、
  『違います。友達です』
  ...そうか、これが邪魔してたのね。
   そこえ、
  『担当の者が、来ました』
  スタッフの声がした。
  柔道でもしていた様に体格の良いスタッフが、
  黙ったまま現れた。
  かれこれ40分は経っていた。
  担当者は、血圧計を持ってはいなかった。
  その頃になると、
  私の傍に仕切り屋さんが立っていた。
  私は患者さんから少し離れて、
  仕切り屋さんに言った。
  『どうして救急車を呼ばないのでしょうね』
  仕切り屋さんが応えないので、
  『もし脳卒中や梗塞だったら、一刻を争いますよ』
  『患者さんが、救急車を断ってるって...』
  『患者さんの意向など、聞いてる場合では無いでしょ』
  しかし仕切り屋さんは、答えなかった。
  よく見ると、ジャケットを羽織り化粧も済ませていた。
  ・・・うーん、器用で要領のいい人がいるんだな...。
   私はシャガミ込んで、患者さんに言った。
  『早く救急車を呼んで貰った方がいいですよ』
  患者さんは、答えなかった。
  『重病だったら、遅すぎますよ。
   何でもなけば、それに越した事はないのですから』
  『はあ......』患者さんは曖昧な返事をした。
  その時、
  『患者さんの事は、私達が看ますので』
  スタッフの声がした。
  『だったら、早く救急車を呼んで下さい』
  私は執拗に、同じ言葉を放った。
  『それでしたら、店長と相談していますので』
  ヘッ...。今頃相談とは......。
  何だか私は呆れて来て、ロッカーへ足を向けた。
   鍵を開けて、身繕いを始めた。
  眉だけチョット描いて、終わり。
  丁寧に化粧をする気になどなれなかった...。
  どうせコロナでマスクを掛けるんだから、
  これで...。
  私は荷物もまとめ、バッグを肩に掛けた。
  ロッカーの中が空になっているのを確認して、
  もう一度だけ、患者さんの基にシャガミ込んだ。
  『ねえ、もう1時間も経ってるのよ』
  『ええぇ、一時間も経つんですか』
  患者さんは、初めて驚いた様に反応した。
  『1時間経っても、動けないんでしょう。
   救急車を呼ぶか呼ばないのか、早く決断してね』
  私は言い聞かせる様に言って、立ち上がった。
   見ると、少し離れた所に仕切り屋さんがいた。
  『すみません、看護師さんですか』
  私の問いかけに、
  『はい、そうです』
  応えて呉れて、
  『あなたは、』と、訊いて来た。
  『名乗る程ではないですが、教授は大方が医師でした』
  『そうですか...』
  仕切り屋さんが返事をしたので、
  私は少ししてから、その場を離れた。
   私は女湯を出て、連れの待つ出口に向かった。
  愛人なんかサッサと帰して、救急車に乗ればいいのに。
  私は帰りの車の中で、呟いた。
  そして、
  ・一人では来るベカラズ!
  ・愛人とは来るベカラズ!(残念ながら、いない)
  この言葉を、肝に銘じた。


    【おわり】
​     読んで下さった皆様に、
    心よりお礼申し上げます。
    有り難うございました。m(__)m


​​​              小サイズ・2016.3.01..jpg
                母の和ちゃんです。


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最終更新日  2020.03.26 14:41:41
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 中学生の時に亀井勝一郎の、
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【邂逅】という言葉が好きになりました。



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