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カテゴリ: Tomoest
今日は『Tomoest』だけupしておきます。

それではまた…。




『Tomoest』 その25



「と言うわけで情報料としてこれはいただきや。」


いったい何の情報料なのよ? そんな疑問を抱きながら理紗を見ていた。


プシューッと溜め込んだ炭酸を吐き出した最後のビールがグラスに注がれる。

さらにもう一つのグラスにも…。


あれ? もう一つって? 


「えぇーーっ!?」


 雛ちゃんとは半分こするのに、私とはせーへんの? 」


ああ、そういうことなんだ。なぁーんだ理紗ったらわかってるじゃないの。

理紗は注いだばかりのグラスを私に渡した。


「もちろんよ。ありがとう。」


そう言ってグラスを受け取る。ご満悦とばかりにニッコリと微笑んだ。

「そしたら、最後の乾杯で終わろか。
 第25回ビアパーティー イン 玉出、これにて閉会でーす。」


いつの間に25回なのかわからないけど、それぐらいはやってるのよね。

でも…、イン 玉出って、普通そういう時はtomoe's roomとか言わない?

地名を出されても、ここは私の家だし…。うーん…、突っ込むのは止めておこう。


「か、乾杯!?」




…って、最後はやっぱり一気なの!?

続けて私も飲み干す。最後の余韻もあったもんじゃない。


「はぁー、良かった、良かった。やっぱり夏はビールやんなぁ。」

「確かに…。ビールオンリーってのは意外といいものよねー。」


理紗が空のグラスを見つめてつぶやく横で、私も手にしたグラスを見つめて答える。




窓から流れる夜風はまだ真夏の熱風にはなっておらず、肌に気持ちいい。

ここ数日、梅雨空から開放された空気が嫌な湿り気を失っているから余計にうれしい。


もうすぐ大阪で過ごす4度目の夏が来る。いやもう来ているんだっけ。7月だもんね。

今年は雛苺と一緒に過ごす初めての夏なんだ。それが一番嬉しい。

夏季休暇をとったらどこに遊びに行こうかな?

山でも海でも、遊園地や動物園…。

子供の頃にずっと夢を見ていた。雛苺と一緒にいろんなところに遊びに行くこと。

私は大人になっちゃったけど、別にいいんだ。そのほうが自由に行ける。

思い切って海外なんてのもいいかもしれない。

そうよね、パリ郊外のミリーおばさんとこならきっと雛苺を可愛がってもらえるわ。

あーでも飛行機に乗ってる間は雛苺はトランクの中かなぁ。それは可哀想な気がするな。

案外、nのフィールドから行けたりして…。そうよね、それなら最初から飛行機代が浮くってものよ。

すごい、本物のどこでもドアみたい。これは試す価値ありだわ。

でもビザはどうしよう…。入国審査は? 現実的な問題がたくさんあるような気がする。

魔法みたいなやつでここに来ましたじゃ通用しないのよね。うーん無理か…。


そんな感じで妄想の海でバタ足で泳いでいる気分でいると、理紗は立ち上がってこう言った。


「巴、今日は泊まっていってもええやろ?」


最初からそのつもりだと思っていた。珍しく気をつかってるのかな?

そんなの気にしなくてもいいのに。


「まぁ明日はお仕事お休みだからいいけど。理紗は大丈夫なの?」


一応、聞いてみる。社交辞令のつもりだ。


「もう朝から準備万端! いつでもOK! 」


やっぱり…。でもその気合の入った返事はどういう意味なのかしら?


「もしかして…。2次会でもするの!? 」

「まぁそういうのもアリやな。でも今日はビールの余韻を残したいんやけど。」


答えに迷う。ビールはもう無いんだけど…。ワインならまだあるから大丈夫。

ああそうか、理紗は…。


「あーっ! 眠いんだ。そうなんだ。私を放って置いて眠る気なんだ。」

「うん。実はもう眠くて眠くて…。だって今日、忙しかってんもん。けっこう重労働してるんやで。」

「はいはい、お疲れ様です。じゃあ先にシャワーでも浴びてきたら?」

「そうするわ。さっぱりして寝たいからなぁ。」


そう言って、理紗は鞄を持って部屋を出て行った。


あの鞄はそういう意味なんだ。旅行じゃないにしろ、小さめよね。

着替えは足りるのかな? 夏だからあんなものなの?


まぁ余計なおせっかいはしてもしょうがないから、とりあえずここを片付けておこうかな。

洗い物は明日に持ち越すとしても、テーブルの上は綺麗にしておきたいしね。


立ち上がろうとしてかなり酔っている自分に気がついた。

そりゃそうだわ…。何リットル飲んでいるか計算するのが怖いくらいだもの。


なんとか残った皿を流しまで持っていく。

洗うのは危険なのでやめておくのが吉だとおみくじに出ていることにする。

それより、理紗が戻ってくるまでに布団でも敷いてあげるほうがいいよね。

それとも今日はソファで寝るのかな。理紗に聞いておくんだった。


ヨタヨタと寝室に行き、押入れから布団を出してベッドの横に並べて敷いた。

以前に、ベッドを乗っ取られた経験があるので距離を離して…っと。


いっそのこと、図書室に敷いてやろうかなと悪いことを考えた。

怖い本がいっぱいあるから、脅かすには最適だしね。

そんなことをすれば理紗なら恐怖で眠れないかもね。

女の子らしいと言えばそうなんだろうけど、そういう可愛いところがあるのって羨ましい(笑)。


私なんか無理。似合わないし、かわいくないもの。


少し自己嫌悪になったところで悲鳴が聞こえた。

「何だろ、あれ?」




                          …つづく。





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最終更新日  2006/09/26 02:38:11 AM
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