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その16 ~ 人工精霊3 ~




地面から行きおいよく伸びていく生命樹の枝がレンピカを襲う。

レンピカの腕の太さぐらいあるものが5・6本からまりながら、レンピカ目がけて伸びる。

その数は実に100はあるだろう。

間髪いれずに次々と地面から生えていき、レンピカを貫くのが目的とばかりに鋭く襲い掛かる。

レンピカはふわりと空中に飛び上がり、襲い掛かる速さにまったく動揺することなくかわしていく。


そしてスローモーションでも見ているような緩慢な動作で鎌を振り上げては下ろしていった。


「この庭師の鎌は草を刈るためのものですから。」


もはや当然とばかりにフッと笑って、襲い掛かる枝を左右にかわしては鎌を振り下ろした。




たちまちレンピカの足元に刈り取られた枝が山を作っていったからだ。


つまりレンピカの動きが速過ぎて残像でしか見れないわけなのであった。


「でも…、さすが翠星石様ですね。これほどの攻撃をなさるとは。
 やはりシスターの姉上だけのことはございます。
 それに一分の狂いも無く私(わたくし)の胸をお狙いになる。
 こうしてかわしていても矛先は見事に変化していますし、まったく無駄がございません。
 もっとも、私(わたくし)のほうが速いのですから、誠に残念ではございますが。」


「だったら当たりやがれですぅ!」

翠星石は歯を食いしばってレンピカをにらみつけた。


「申し訳ございませんが、そうはできないでしょう。それに…。」


レンピカに襲い掛かるのとは別の一群が蒼星石のほうへ伸びていった。



蒼星石は鋏を手にした様子は無い。不敵に笑いながら腕を組んでただ立っているだけであった。

その蒼星石の手前、枝の分かれたその中心にレンピカが鎌を真っ直ぐ正面に向けて構えている。


「こういうこともございますのでね。」


レンピカがにっこりと微笑み、翠星石へウインクした。

庭師の鎌は通常の道具としての鎌とは異質な点として両刃である。




翠星石が庭師の鎌を忌み嫌うのはそういう理由であった。これでは道具でなく武器だからだ。


「ちぃっ! そこまで見てやがったかですぅ。」

翠星石は舌打ちをした。くやしそうに顔をゆがめる。


「もちろんでございますよ。シスターをお守りし戦うのがこの私(わたくし)のお役目なのですから。」


だが翠星石の攻撃は休まらない。左右から挟むように枝が襲い掛かる。


「そんなこたぁ最初からわかってるですぅ。この時を待ってたですぅ。一緒にくたばりやがれですぅ!」


翠星石は大きく如雨露を振り回した。

飛ばされた生命の水が地面に落ちると共に一瞬で枝が生えていく。

かなり計算された動きなのか、それらは広大な布のようにまとまって二人に向かって伸びていく。

あたかも獰猛な動物の群れが襲い掛かるようでもあった。


「レンピカ、お遊びはそろそろ満足だろう。そのへんで止めなきゃ、姉さんが可哀想だよ。」

蒼星石はまったく気にしない様子でレンピカに優しく言った。


「そうですね、シスター。お待たせいたしまして申し訳ございません。
 では翠星石様、短いお時間でしたが楽しませていただきましてありがとうございました。
 それではさようなら…。」




                           …つづく。






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最終更新日  2006/10/10 03:38:59 AM
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