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その17 ~ 人工精霊4 ~


レンピカは左右を確認してから生命樹の枝の右側の群れに向かって飛び出していった。

蒼星石は面倒くさそうにそれを見てつぶやいた。

「いい加減、疲れたなぁ。早くしてくれないとこっちの力が持たないや…。
 まったく何がシスターをお守りしますだ。勝手に自分が楽しんでんじゃないのか。
 まあ、初めての戦闘だから仕方ないにしてもだ。これはちょっと考えないとな。
 庭師の鎌だって使いにくそうだし…。違う道具の方がよかったかな?
 ちぇっ、今の僕じゃ贅沢はいえないか。これは練習だから仕方ない、そう思わなきゃ。
 姉さんを倒せたら、次は…やはり水銀燈だな。百倍にして恨みを返さないとね。

 それまでに僕もマスターを探さないといけないみたいだし…。
 今度のマスターはレベルの高い人間にしよう。そのほうがレンピカに頼らなくてもいいしね。
 あっ、レンピカの奴、また遊んでるな。まったく…。役に立たないんなら引っ込めるか。」


どういった理由でレンピカが右側に出たかはわからない。

左右から蒼星石たちは挟まれているはずなのに片側だけ攻めるということはおかしい。

蒼星石は左側の枝の群れをちらりと見てうんざりした顔をした。


「これを僕にまかせるってわけか? レンピカの奴…。」


けだるそうに左手を肩の高さでかざして蒼星石はレンピカの名を唱えた。

たちまち庭師の鋏が実体化して左手に握られた。


「まぁ、大目に見てやるか…。こういった場合の修練も必要だしね。」


そういって蒼星石が構えた時、蒼星石の目の前で魔法陣が浮かび上がった。



円の中心部分は空白でその周りを3重に円が取り囲み、さらにその周囲を六芒星が囲んでいる。

やがて文字らしきものが染みのように一つ、また一つと六芒星上に徐々に浮かび始める。

次第に浮かび上がる速度を増していき円の周囲は文字や幾何学模様で埋め尽くされるようになった。

色を変え、形を変えて浮かび上がるので点滅しているようにも見える。


「何これ? 魔法陣? いったい…。」




「シスター、お待ち下さい。ただ今、双方向支援の魔法でそちら側をお守りいたします。
 その目の前に見える魔法陣は私(わたくし)の異種同位体でございます。
 ですのでシスターはそこでお休みいただければ結構です。
 翠星石様の手の内はすでに見切ってございますから、後は私(わたくし)にお任せ下さい。
 それと誠に申し訳ないのですが、シスターの鋏をその魔法陣に投げ入れてください。
 そちらの私(わたくし)には武器がございませんので…。」


蒼星石は言われるままに庭師の鋏を魔法陣に向かって投げた。

緩やかな弧を描いて鋏が魔法陣に近づいた時、円の何も無いはずの中央から白い手が出てきた。

その手は魔法陣が発する光に照らされて不気味に見える。

そして鋏が魔方陣と接触する瞬間、その手は鋏を捕らえた。



                           …つづく。





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最終更新日  2006/10/14 03:37:10 AM
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