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2006/11/27
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カテゴリ: Tomoest
 その32 ~人工精霊~


テーブルにお茶を運びながら、ふと考えた。


理紗にベリーベルを見せるのはいかがなもんだろうって。

今さらではあるけれども、普通の人に見せるのは少々はばかられるんじゃないかって。


うーん………。


まあ、事情が事情だしね…。

別に隠しているつもりはないし隠さないといけないものでもないしね。たぶん…。


ただ初めて見たときのショックは大きいだろうな。私だってそうだったし。

ローゼンメイデンみたいなものが存在するからこういうのもあるんだとわかっていても不思議だった。





ドールたちの補佐役にして監督役。または従者。

見た目は直径5ミリにも満たない大きさのはずなのに手でつかむと10センチぐらいのボールの感触が確かにある。

どちらかというと軟式テニスボールみたいなゴムまりよりは寒天に近い感じかな。少し暖かいし…。

そう光っているから霊体みたいなものと認識しがちなんだけど、かなり物理的になってるみたい。

壁にぶつけると跳ね返るしね(あれはちょっとひどいことをしたけど…)。

これもまた人の手に寄りし創られた神秘。


子供の時はそんなに意識していなかったけど、再び雛苺が帰ってきてその存在に気づいた。

現実にこんなものが存在するんだって。


パリの大学図書館で知り合った男性にもらった本に書いてあった。

人工精霊とは『進むべき希望』そのものなんだと。

意味は今でもわからない。でもそれはとても大切なことなんだって気がする。





私は魔術師でもないし錬金術師でもない、ただの一般人だ。

なりたいと思ったことはある。でもなれないという事実を教えられた。

だからそういうことは本の中の知識でしかありえない。

ありえないけど貪欲に知識を求め続けた。

今では知識だけでいうと上級の魔術師並みだと自分でも思う。




でもどんなに知識があってもまったく実用的でないのが悲しい現実なんだわ。

毎日の暮らしではまったくといっていいほど役に立たないしね。特に普通のOLには…。


そんな感じで冗談半分に試した呪文。人工精霊の実体化。

どうせ使えないんだから禁忌でもなんでもやってみようと軽はずみな気持ちだった。

結果としては大成功のはずなんだけど何だか複雑な気持ちになったのだけは覚えている。

あーこんな人がベリーベルだったんだって。

私よりも雛苺のほうが驚いていたっけ。何百年も一緒にいて初めて見る姿だったらしい。

それ以来、雛苺のベリーベルに対する態度が少し変わったのは反省すべきことかもしれない。

結果オーライと言えばそうなんだけどね。より親密そうだし。

でもローゼンさんには謝らないといけないかもしれない。

あなたの作ったドールとそれに与えた人工精霊の関係が変わったのは私のせいです。ごめんなさい。

雛苺のマスターがやったことだから許してください。



…って、私、なんで謝ってるんだろ?

そうじゃなくてベリーベルのことだったよね。

どうせ二人とも酔ってるし、後であれは夢だったっていうオチにしとけばいいかな。


でも理紗のことだからなぁ…。誤魔化しきれないような気がする。

うん、酔った頭で考えるのはやめよう。どうせなるようにしかならないよね。

あー、なんて無責任。笑っちゃう。


「はははは…。」


本当に笑ってしまった。


「ともちゃん、なんだか楽しそうかしら。」


しかも金糸雀に指摘されて気づくなんて…。


                       …つづく。





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最終更新日  2006/11/28 05:38:06 AM
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