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レンピカの心の中で少しずつスイドリームに対する怒りがこみ上げてきた。

自分たちの使命を侮蔑されているかのような気分になってきたためだ。


「そう…、ですか。
 仮にも神々の祝福を授かった私(わたくし)たち人工精霊に可能性など…。
 なんて愚かな…。

 お姉さま…、私(わたくし)と同じ構成因子を持つ双子の姉、
 スート・イファンヌ・ドレア・リリ・ムスカピ・ウラウチェルトよ。
 やはり私(わたくし)とあなたとは相容れないみたいですね。

 そうやってあなたたちはいつまでも夢を見てまどろんでいればいいでしょう。

 ですが、私(わたくし)とシスターは違います。
 シスターが全てのローゼンメイデンを倒し、アリスとなるまで私(わたくし)は共に戦います。
 そう、それが私(わたくし)の『進むべき希望』なのです。

 今まであなたのことを22人の人工精霊の中で唯一の体を分けた双子の姉だと思っておりました。
 これであなたのことをお姉さまと呼ぶのは最後にします。」

レンピカは庭師の鎌を構えなおしてゆっくりとスイドリームの前へと進んだ。

庭師の鎌の刃先が鈍く光る。


「戦うのがお嫌ならば、今すぐここで消えておなくなりになさいませ!」

レンピカは庭師の鎌を高々と掲げ、すぐさまスイドリームに向けて振り下ろした。


キンッ!




その動作は一瞬ではあったがスイドリームも予測していたように庭師の鋏で受け止めていた。

スイドリームは小馬鹿にした目で微笑んだ。


「あら? 気の短いこと…。あなたらしいと言えば、そうかもね。
 でも、そんなに真正面からじゃ不意打ちにすらならないわ。それに…。
 レンピカはまだまだ武器の使い方がなっていないんじゃない。」




レンピカは力で押さえつけていたのを緩め、後ろに飛びのいた。

スイドリームは機を逃さず、飛び込んで真っ直ぐに突いたが、見事にかわされてしまった。

しかし、着地と同時に左へ横っ飛びをし、スイドリームの右手に回ろうとしたレンピカを目で捉える。


「それはどういう意味なのかしら? もしかしてこの身体のこと?」

回り込まれないように注意しながらスイドリームは庭師の鋏を構えなおした。だが…。


「遅いですわ! 見ているだけでは、何も出来ないのと同じでございます。」

レンピカの声と共にスイドリームの右腕の肘から先が鎌によって断ち切られていた。


レンピカがほんのわずかの隙をついて鎌を突き出していたのだ。

もちろんスイドリームもその動きは見えていたはずである。

そのための回避動作も計算に入れて鋏を構えたつもりだった。

いかに借り物のピーチェの肉体であろうとも庭師の鋏を使いこなすには充分すぎる左腕を持っている。

たくましすぎる左腕とは対称的な貧弱な右腕をかばってもあまりあるものだと信じ込んでいた。

それは決して油断でも慢心でもないスイドリームの自信であった。


そして小さな右腕が刈り取られた枝のように地面に落ちた。


「くっ…。」

スイドリームは短いうめき声を漏らして鋏でレンピカの鎌を払う。


「速さでこの私(わたくし)にかなうものですか。お・ね・え・さ・ま。」

レンピカはワザと顔を歪ませてニタリと微笑んだ。

そのまま払いのけられながらも鎌をいったん引いて、横に振りまわす。


「それともいつまで私(わたくし)の攻撃に耐えられるおつもりでございますか?
 もうそのご様子では受けられるのも難儀だと思われますが。」

レンピカは続けて二度三度とスイドリームの首をめがけて鎌を振り回した。


「心配ならいらないわよ、レンピカ。だって、ねー。
 この体ってピーチェの借り物なんだもん。私の本体には何の影響もないんだからね。
 でも、先に右腕を切り落としたのは褒めてあげるわよ。
 さすがにこの腕じゃ魔法は使えそうにないみたいだもんね。」

スイドリームはそれを上半身の動きだけでかわし、時折鋏で跳ね返したりした。


「強がりを言われてもそれが嘘だとわかりますわ、お姉さま。
 意思がそのピーチェのコピーにある以上、痛みは伴うはずですから。
 それに私(わたくし)は手加減いたしませんのでご了承下さい。」

レンピカはそれには動じずに執拗にスイドリームめがけて鎌を振るった。

スイドリームは悪戯っぽく微笑を浮かべて鋏を鎌の動きに合わせた。


「ははは…、ばれてたんだ。実はね、もう痛くって痛くって。
 思わず叫んでしまうとこだったわよ…。なんてね。」

そう言って鋏の刃先を鎌に引っ掛けて真上に上げた。

レンピカの手から庭師の鎌が離れる。鎌はそのまま宙を飛んでスイドリームの後ろに落ちた。


「素手で私と戦ってみる? あまりお勧めはしないけどね。
 でもこのままやられっぱなしっていうのもねえ。一応、私は双子の姉なんだしさ。
 お姉ちゃんが強いところも見せたいってところかしら。うん、それいいなあ。
 こんなチャンス滅多にないわよね。偶然ながらハンデもついてるし。
 ねえレンピカ。どうする?」

               …つづく。





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最終更新日  2007/01/05 03:25:18 AM コメントを書く
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