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カテゴリ: Tomoest
その39 ~友情~


これ以上、余計な突っ込みをされるのはたまらない。

冷めかけたジャスミンティを一気に飲み干して、金糸雀の方を向く。


「それで金糸雀、雛苺はどうしたの? こっちに来たのは金糸雀だけ?」


この家とみっちゃんさんの家は距離的にはかなり離れている。

だからnのフィールドを通らなければ絶対に短時間に来れないはずよね。

扉を開くことは金糸雀に出来たとしてもこの家のアドレスまで知っているとは思えない。

雛苺が一緒ならそれもわかるんだけどね。


私の質問に金糸雀は急に元気をなくしたみたいにしょんぼりとする。



 雛苺と喧嘩して、そしたら、みっちゃんが…。
 ヒナちゃんがかわいいって、マサチューセッチュして…。
 カナのマスターなのに…。う、う、うぅ…。
 カナ、ひとりぼっちになったのかしら…。
 それで、それで…。」


確かに…。元気に食べる雛苺はすごく可愛い。それは否定できない。

みっちゃんさんがそうした気持ちもわかる。

私だってさっき金糸雀にマサチューセッチュしたくなったんだもん。

だからそれを責めるわけにはいかないけど…。


「うーん…。雛苺ったら、こまったものよね。」


今頃、心配しているだろうからみっちゃんさんに電話しなくちゃね。




それから雛苺はどうやって迎えに行くかよね。

いくらなんでも今から東京行きの飛行機に乗り込むには、ちょっと無理があるか…。

ふと隣を見ると目を爛々と輝かした理紗がいる。いやな予感…。


「嫉妬? 殺意? 復讐? そうか昼ドラのサスペンスやなぁ。
 それで巴を人質にヒナちゃんに復讐をしようとしたんやなっと…。

 ほー、そうか。なかなか考えたなー。」


ちょっと待って理紗、話を違う方向へ持っていかないで。


「そうよ! このローゼンメイデン一の策士といわれた金糸雀様に不可能はないかしら!
 雛苺のアンポンタンなんて、敵じゃないのよねー!
 まずはマスターである、ともちゃんからジワリジワリと襲っちゃうかしらー!」


えーっ! 金糸雀もどうしてのせられちゃうの!?


「そうそう。なんやったらお姉ちゃんが手伝うたるわ。まかしときー!
 絶対、損はさせへんでぇー。
 そりゃ腕力やったら巴に勝たれへんけど、そんなもんなんとかなるって。
 それに頭も巴の方が賢い。だてに国立大学主席卒業してない。ウチは高卒やけど…。
 お金かて口では言えんぐらいぎょうさん巴の方が持ってる。そりゃ、しゃあない…。
 この女、お金の使い方まるっきりわかってへんしなぁ。
 …って、ウチのほうが負けとるがなぁー! 腹立つー!
 よっしゃあー! カナちゃん、ウチと組も! それで悪の組織を倒すんやー!


自虐ネタの一人ボケ一人突っ込み!? …って、なんでそうなるのよ? 


「ちょっと理紗! 話がおかしい! そうじゃなくって…。」


「おかしかったら笑わなあかんやん。ホンマにこの娘は覚えが悪いなぁ。
 そんなことやからいつまでたっても悪役なんやで、巴。
 正義は必ず勝つんやから!」

理紗はこぶしを振り上げガッツポーズ。私、なぜ悪役?


「そうなのかしらー! 正義は必ず勝つかしらー!」

金糸雀も負けじとガッツポーズ。


「って、ちょっと! 金糸雀まで何言ってんのよ。」

何、この盛り上がりは? なんで? どうして?


「あ、ありがとう。理紗お姉ちゃん。カナ、がんばるかしら。」

金糸雀は涙を拭きながら、嬉しそうにそう言った。


「そうやその意気や! 女の子はな、強う生きらなあかんねんで。
 なっ、美味しいもん食べたら元気でたやろ。よかったよかった。」

理紗は金糸雀の肩をポンポンと叩きながら握手をしている。

いや、元気の意味が違うと思うんだけど…。それに、それに、やっぱり…。

「良くなーい! なんでそうなるの?」

「せやかて利害が一致したんやもん。しゃあないやん。
 これからカナちゃんが、悪の化身人形の雛苺からみっちゃんさんを取り戻すまで、
 孤軍奮闘の盛大な物語が始まるんやで。
 ウチはその孤独に戦うカナちゃんに味方として参戦する同志や。仲間や。相棒や!
 よっしゃあっ! まかせときーっ! お姉ちゃんが仲間集めたるからっ!
 『誠』の旗の文字に集うんやー!」


…って、金糸雀、理紗、あんたたち本気? どうしてそんな展開なの!?

それに『誠』の旗って、新撰組!? どういうつながりでそうなんのよ?


突っ込みどころが多すぎて、もはや手が付けられない二人は仲良く手と手を取り合っている。

よくわからないけど深い友情が生まれたって感じに見える。


ちょっと待って…、理紗って実はまだ酔いが醒めていないんじゃないの?

だってハイテンション過ぎる。うん、絶対そうだ。

だって、私もまだほろ酔い気分だもん。

それにこんな解決の仕方って、ありなの?


                      …つづく。





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最終更新日  2007/02/02 06:54:10 PM
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