おとぼけ香港生活から脱皮

おとぼけ香港生活から脱皮

香港で暮らし始めた家


私が香港に訪れた際にもまだ元彼女の荷物が残っていた。
部屋には元彼女自身が箱詰めしたであろうダンボールが幾つか残っており、
タンス代わりにしていたロッカーにも彼女の服が
彼女が暮らしていた当時のまま、今でも彼女が存在でも
しているかのように整理されて仕舞われていた。

そして、豊は私が再び香港( *参照 )に到着する前に元彼女の荷物を
ダンボールに詰めて送るつもりだった。
私は、色んな思い出のある元彼女の荷物に豊が触るなどとは
許しがたい行為であったが、箱数を減らすために
私もが元彼女の荷物を触ろうなどとは予想もつかず、
毎日嫉妬で怒りに燃えながら詰め直し、自己嫌悪に
陥っていた時期でもあった。

その荷物が船だしで送られた時は、安堵というよりは
フランスの彼女の何年という香港生活、豊と一緒に
過ごした愛の証が
こんな形で去って行く彼女の姿に
私は惨めさを感じ、悲しくなって泣きそうになってしまった。

こんなことになる前に、
2人で結婚という形をとって貫き通してもらいたかったと
嫉妬心で燃えていた私の心とは一転して
そう願わずにはいられなかったほどだ。

2人が結婚していたら
私と豊は出会うことはなかったが
別れた後の哀愁の結末を見るよりは
そちらの方が遥かにいい。
自分の存在をも恨んだりした。





この家にはキッチンも洗濯機もなかったので
ここから5分ほどのパパさんの家に行って
やらなくてはならなかった。

これを、元彼女がやっていたというのだから
私は対抗心からやる気を奮い立たせ
やるしかなかった。
(これが後に私を狂わせることになったのだが・・・)

豊の家族が香港に来た時はパパさんの家で
夕食を作り共にした。
しかし、豊の家族が日本に帰っていない間は
夕飯をパパさんの家で作っては毎日持ち帰って
いたのである。
雨の日も運んでいた自分はえらい?!
↑(両腕に鍋など持っている姿はまぬけです・・)

とにかく私は元彼女に負けない為に
劣等感を感じながらがんばり続けた。




(*続く)

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: