紫色の月光

紫色の月光

勢いだけのおまけ








『なら、俺の考えを発表させてもらおう』

 すると、何故かマーティオはコクピットを開き、その姿をバードンに晒す。

「何、どうするつもりだ!?」

 ゾフィーの問いかけに答える気もないようで、マーティオはがさごそとコクピット内から何かを取り出し、それを腕に装着する。

「行くぜ! ドロー!」

 腕に取り付けているのは何かのプレートのようにも見える。
 だが、それ以上に気になるのはそのプレートに何十枚ものカードの塊、俗に言う『デッキ』が装着されていることだ。
 マーティオはそこからカードを一枚ドローすると、邪悪な笑みを浮かべて周囲の気温を一気に下げる。

「速攻魔法発動! バーサーカーソウル!」

「バーサーカーソウル?」

 状況が読み込めずに唖然とするゾフィー。

「このカードは、手札を全て捨てて、デッキから何枚でもカードをドローし、引いたカードがモンスターカードの場合、そのカードを墓地に捨てることで、攻撃力1500以下のモンスターは枚数分の追加攻撃が出来る!」

 デッキに手をかけるマーティオ。

「先ず一枚目、ドロー!」

 引いたカードを天にかざし、叫ぶ。

「モンスターカード、『クイーンズナイト』を墓地に送り、エネルギーがなくなり、弱ってきた攻撃力1500以下のゾフィーの追加攻撃発動!」

「何、私!? うお、身体が勝手に!?」

 ゾフィーの意思とは裏腹に、Z光線が発射され、バードンに命中。

「二枚目ドロー! モンスターカード!」

「何、また!?」

 再び同じモーションでZ光線発射。そしてそれを受けるバードン。

「ドロー! モンスターカード! ドロー! モンスターカード! ドロー! モンスターカード! ドロー! モンスターカード! ドロー! モンスターカード! ドロー! モンスターカード!」

「ちょ、ちょっと待てマーティオ! 少し止まれ!」

 ゾフィーの声も虚しく、Z光線は捨てられたカードの枚数だけ発射されていく。

「ドロー!」

 恐る恐る横からカードをのぞき見るゾフィー。
 すると、其処には『魔法カード 天使の施し』とあった。

 ほっと肩を撫で下ろすゾフィー。

「モンスターカード!」

「何!? うお、身体が!?」

 再びZ光線を発射。もうチートもいいとこである。

 こうして、マーティオは結局デッキのカードが切れるまでカードを墓地に捨て続け、ゾフィーはその枚数分Z光線を発射。

 バードンは十何回目の光線を受けた瞬間息絶えていたらしいが、極悪非道のマーティオはそんな事知るか、とでも言わんばかりにカードを引き続け、攻撃しまくっていたらしい。

「俺の……ターン……ドロー」

 心身ともに疲れ果てたためか、マーティオは目がうつろな状態でカード枚数0のデッキに手を伸ばす。

「も、もう止めるんだマーティオ……君のデッキは0だ!」

「DA☆MA☆RE! まだ俺のバトルフェイズは終了していないぜ!」



 続かない

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: