国産純粋はちみつは、日本国内の養蜂場で採れた花蜜をそのまま瓶詰めしたもので、加熱処理を施さずに仕上げられているため、蜂の酵素や微量成分が自然の状態で残る。福岡県八女市のような山間部で生産されるものが多く、地元の雑木林や茶畑の花から得られる独特の風味が特徴だ。

多くの人が蜂蜜を加熱殺菌された輸入品とイメージするが、国産のものは加熱しないことで結晶化しやすく、白く固まる現象が起きやすい。これは不純物ではなく、蜂蜜の糖分が自然に変化した証で、湯煎で溶かせば元に戻る。加熱品に比べて風味が鮮やかで、ヨーグルトや紅茶に合わせるとその違いがよくわかる。

日本では古くから薬用として用いられてきたが、意外な点として、江戸時代には蜂蜜を酒に混ぜた甘酒のような飲み物が流行した記録がある。現代の生産では、養蜂家が50年以上の伝統を守りながら、農薬の少ない環境を選んで花の多様な蜜を集めているため、単一の花種蜜とは異なる複雑な味わいが生まれる。こうした国産品は、輸入蜂蜜の大量生産とは対照的に、季節ごとの気候で微妙に味が変わるのも魅力の一つだ。