あぶくおやじ事変


50歳代の男性がまさにそれ。
この年代の方々は、会社でもある程度の地位を持ち、
仕事も家庭も成功を収めたという自信が高いプライドを生む。
(実際には娘は家出なんかしちゃったりして大変だったりする。んでもうちの子に限って!と現実を認めなかったりする)

若い頃にスポーツをしていた人なんてもう大変。
若かりし頃の体力イメージでトレーニングを始めちゃう。
「この程度でくたばるか~!!」 って。
でも体力、筋力は確実に落ちている。でもその現実を認めない。
指導員の言葉なぞ絶対に聞かない。
「貴様のような若造に何がわかる!」 って。
あーもう、これが一番危険なのよ。もう慣れたけど。


そして今日、惨劇が起きた。

最大下作業テスト、と呼ばれる持久力の測定方法がある。
いわゆるエアロバイクに被験者を乗せ、漕がせながら徐々に運動負荷を上げていくのである。
無論、心拍数は上がり、息も切れる。どの程度の負荷をかけた時にどの程度心拍数が上がっているのか、そこを見て心肺持久力を測定するのだ。当然、つかれる。

おやじは、55歳だった。
開始10分、相当重くなっているペダル。
おやじは必死に漕いでいた。
たれこお 「きつい様であれば、停止しますから言ってくださいね~」
おやじ 「ばかもん!!!きつくなどないわ!!」

でも心拍数は正直におやじの限界を示している。

たれこお 「 あっ、もう限界近いですね、停止しますね~」
おやじ  「ばかもん!!!ここで止めたら


男がすたるわい!!!

・・・そーいう問題ではないのだが・・・


もうだれもおやじを止められない。制止しようとする僕と女性スタッフを払いのけ、あぶくを吹いて、おやじ、爆走。

しかし、なにがここまでおやじを奮い立たせるのか。
過去にエアロバイクに苦い思い出があり、今ここでその悪夢を断ち切ろうというのか。
であれば応援しなくてはならない。たとえそれが些細なことでも。
おやじにとっては人生の転機になるかもしれぬ。
ゴーゴー おやじ

などとくだらないことを思っているうちに、おやじはくらりと倒れてしまった。限界に達し、急に足を止めたために軽い脳貧血を起こしてしまったのだ。

あぶくおやじ、撃沈。


あらかじめ用意しておいた看護婦さんに来てもらい、医務室にさようなら。

ふう、全く・・・
今回はメディカルチェックで問題が全く見られないお客だったのでまだネタで済んだが、これが心臓等に疾病疾患がある場合なら、命に関わるのでひきずりおろしてでも中止するべきである。時にプライドは命取りになりかねない。


後日、おやじの奥様からお菓子をいただいた。
同封の手紙にはこう書いてある。

「御迷惑をおかけしました。

今晩は夕食を作りません

では、ごきげんよう。」


おやじの悲劇はまだ終わらないようである



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