音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年09月27日
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テーマ: Jazz(2003)
カテゴリ: ジャズ




 ドナルド・バード(Donald Byrd)は1932年デトロイト出身のジャズ・トランペッター。1955年以降、ジャズ・メッセンジャーズへの参加(ケニー・ドーハムの後釜)など本格的な活動をし、ブルーノート・レーベルを中心に様々な作品を残した。その後、1960年代には、実験的な作品を試みたり、1970年代に入ると、フュージョンの先駆けといえるような作品も手がけた。

 そのようなわけで、一口にドナルド・バードといっても時代とともに大きな変遷があるわけだけれど、1950年代のハード・バップ期の彼の代表作としてよく言及されるのが、この『フエゴ(Fuego)』である。ちなみに、日本語では『フュエゴ』の名で通っているけれども、スペイン語で“火”を意味するこの語は “フエゴ”と読むのが正しい(いつまでも“フュエゴ”で通っているのは何とかならないものだろうか…)。

 本盤の最大の特徴はメロディのよさである。テーマ部分は一度聴いたら耳に残るものばかりで、その意味ではキャッチーと言ってもいいかもしれない。それと同時に、ドナルド・バードのソロは概ねどの曲においても、ひたすら美しい旋律を奏でる。本盤をしてファンキーという表現がなされることもあるけれど、ドナルド・バードの音色には常に一抹の物悲しさが同居していて、筆者にはこちらの印象の方が強い。つまりは、ただ明るくノリがいいことをやっているのではなくて、そこに情緒があるわけで、だから日本でよく受けるということになっているのかもしれない。

 もう一人のフロントとして参加しているのは、アルト奏者ジャッキー・マクリーン。けれども、彼は本盤ではあまり目立たず、比較的単調な演奏に終始している。これは欠点というよりも本盤のよさにつながる意図的プレイのように感じる。どちらかと言えば抑揚のあまりないマクリーンのアルトにバードのトランペットの憂いを湛えたくすんだ音が寄り添うことで、全体の厚みを保ちながら物悲しさを滲ませるという絶妙の効果を発揮することにつながっている。

 というわけで、本盤では、上で述べたような印象的な旋律の曲が並べられているが、いずれもがオリジナルというのも大きな特徴である。独断と偏見で収録曲ベスト3(順不同)を挙げると、1.「フエゴ」、4.「ロウ・ライフ」、5.「ラメント」の3曲。いずれの曲もとっつきやすさと哀愁に満ちたトーンが特徴的。これら3曲はあくまで筆者の好みなので、別の好みを聴き手もいるだろう。例えば、6.「エイメン」などは非常に人気が高い。こちらの方はいわゆるファンキーな曲調であるが、上で述べたような情緒感を多分に含んでいる点が実はいいという感想を個人的には抱いている。




[収録曲]
1. Fuego

3. Funky Mama
4. Low Life
5. Lament
6. Amen


[パーソネル]
Donald Byrd (tp)
Jackie McLean (as)
Duke Pearson (p)
Doug Watkins (b)
Lex Humphries (ds)

1959年10月4日録音








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好きなんです  
りゅうけん さん
好きな曲同じです。琴線に触れる哀愁漂う曲調というかフレーズですね。 (2011年01月06日 15時46分44秒)

Re:好きなんです(09/27)  
りゅうけんさん

はじめまして。コメントありがとうございます。

個人的には、今日のようにリラックスした夜にもぴったりですね。

…と言いつつも、いま聴いているのは、マイルスの『スケッチ・オブ・スペイン』だったりしますが(笑)。

(2011年01月06日 20時01分55秒)

Re:ドナルド・バード 『フエゴ(Fuego)』(09/27)  
ようたん さん
 ジャズで表記が訂正されず、まかり通っている他の例がStanley Turrentine(氏)でしょうね。

 本アルバム最初の収録曲「Fuego」の冒頭でめっきり、はまってしまいました。Duke Pearson(氏)が参加しているんですね。


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