音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2013年07月28日
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急ごしらえながら、新旧入り乱れて楽しめる1枚


 ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)は、1961年結成のアメリカのロック・グループ。大雑把に言えば、ビートルズと同時代に始まったバンドというわけで、実際、60年代にはビートルズとの間に音楽面での相互の影響関係も見られる(過去記事 『ペット・サウンズ』 を参照)。けれども、ビートルズが70年に解消されたのに対し、ビーチ・ボーイズは何十年も続いた。続いたと言っても、メンバーは入れ替わったり、年月とともにオリジナル・メンバーは死去したり、互いにもめごとがあったりといろいろありながらも、一応解散宣言というものはなく、現在まで一部メンバーで活動が続いている。

 本盤『スティル・クルージン(Still Crusin’)』は、1989年リリースの通算35枚目(編集盤含む、オリジナル・アルバムとしては26枚目)のアルバム。上記のような経緯がありながらも“まだやってるよ”的ないい加減なタイトルのアルバムと言えなくもないが、今述べた発表アルバムの枚数を見るだけでも、その芸の長さ(?)がよくわかろうというものだ。

 とはいえ、1980年代のビーチ・ボーイズは順風満帆ではなかった。1980年代に入る頃には、カール・ウィルソンが一時バンドを離脱しソロ活動に専心し、その後、1983年には、デニス・ウィルソンが溺死。一応、脱退したわけではなくバンドの所属となっていたブライアン・ウィルソンは、長年の低迷から抜け出しようやく復活していく時期だったが(1988年の復帰作 『ブライアン・ウィルソン』 )、逆にこの復帰作のせいでソロ活動の方に忙しい状況だった。

 こうした前後の状況だったが、トム・クルーズ主演の映画『カクテル』から「ココモ」という大ヒット・シングルが生まれ、全米1位となる。何といっても「グッド・ヴァイブレーション」(1966年)以来、22年ぶりという全米No.1ヒットとなったシングル曲である。ところが、実際のところはメンバーも忙しく、十分にアルバム1枚が作れるだけの曲は用意できなかったというのが実情だったようだ。そのようなわけで、8.「アイ・ゲット・アラウンド」、9.「素敵じゃないか(Wouldn’t It Be Nice)」( 『ペット・サウンズ』 に収録)、10.「カリフォルニア・ガールズ」という、60年代のヒット曲を採録して全10曲となっている。とはいえ、シングル・ヒットの人気につられる形で、結局はこの急造アルバムも結構売れ、米・豪でゴールドディスクとなった(ただしアルバム・チャートでは全米46位止まり)。

 そのようなわけで、アルバム作品としての完成度は確かにあまり高くないのかな…というのが正直な感想。表題曲の1.「スティル・クルージン」をはじめ、3.「アイランド・ガール」、上記ヒット曲5.「ココモ」といった辺りは、“トロピカルにヴァカンス”といった風情で、この辺りが聴きどころかと思う。まあ、不揃い感は他の映画曲や上記の古い曲を混ぜているからやむを得ないところだが、筆者にとっては、なぜかこのヴァカンス気分に誘われて、夏になると一度はCD棚からひっぱり出して聴きたくなるという1枚だったりする。ついでながら、80年代末には、60年代の彼らのヒット曲を知らない世代もそうとう本盤を手にしただろうから、そういう意味では8.~10.の収録も悪くなかったのではないだろうかと想像してみたりもする。





1. Still Cruisin'
2. Somewhere Near Japan
3. Island Girl
4. In My Car
5. Kokomo
6. Wipe Out
7. Make It Big
8. I Get Around
9. Wouldn't It Be Nice
10. California Girls

1989年リリース。






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Last updated  2013年07月28日 08時40分38秒
コメント(6) | コメントを書く


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こんにちは  
北の小花園  さん
ビーチボーイズに対して、
「レジェンドではあるものの、ちょっと・・・」
みたいな偏見を持っていたので、
「ココモ」がきた時には、ビックリしました。
その時の感動が大きかったのか、
今でも、季節を問わず、時々、聴きたくなります。
(2013年07月28日 17時42分45秒)

初めまして  
せんすん さん
初めまして、せんすんといいます。

いつも楽しくブログを拝見させていただいて
いますが、コメントさせていただくのは初めて
です。

スティル・クルージンは中古でかなり安く出回って
いるので、クオリティはイマイチかなと敬遠して
いたのですが、今回の記事を読ませていただいて
ちょっと興味がわいてきました。 (2013年07月28日 21時24分32秒)

Re:こんにちは(07/28)  
andale  さん
北の小花園さん

コメントありがとうございます。
60年代の名盤に、サーフィン・サウンドのヒット曲から、この頃の復活盤、さらにはブライアン・ウィルソンの『スマイル』まで、考えてみれば、いろんな楽しみ方ができそうなのが、ビーチ・ボーイズってところでしょうか(笑)。
(2013年07月29日 09時51分20秒)

Re:初めまして(07/28)  
andale  さん
せんすんさん

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
実は私もある時、懐かしくなって安価な中古(ブックオフかどこかで)を入手し、その後、時折聴いているといった具合です。
(2013年07月29日 10時06分03秒)

生まれる前のバンドですからね  
地味JAM尊 さん
だからコメントは過去ログからです。
Kokomoのヒットもありましたが、自分はタイトル曲とWipe Out(Fat Boysとコラボしてませんでした?全米12位くらいだった気が)欲しさに、「中古ではなく現役で」買いました。(Stars OnみたいのでBeach Boys メドレーが収録されたアルバムも買った気が・・・)

懐かし編の楽曲は、うちに「ベスト盤のカセットテープ」があったので馴染んではおりました。 (2017年08月09日 00時00分18秒)

Re:生まれる前のバンドですからね(07/28)  
andale  さん
地味JAM尊さんへ

ベスト盤のカセットテープですか。懐かしいですね。
私も元々のビーチ・ボーイズの若かりし頃は、リアルタイムではないですが、『ペットサウンズ』やらその後のブライアンやらとロック史的にも聴いているものは多いですよね。 (2017年08月09日 05時49分22秒)

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