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2004年05月30日
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ブルルルル・・・・音の悪い古そうなスクーター音が聞こえてきた。これはきっと・・・。
「この音は、きっと柘榴だわ。」
 ありさはそう言って立ち止まり、後ろを振り返った。俺もそれにつられて振り返ると、ぼさぼさの頭でよれよれの制服を着た男がものすごいスピードで俺たち目掛けて突っ込んできて、二メートルほど手前のところで急ブレーキで止まった。そして威勢のいい声で一言。
 「よっす、調子はどうだい?」
 「まあまあかな。お前は相変わらず元気そうだな。」
 「おはよう、柘榴(ざくろ)。配達はもう済ませてきたの?」
 「ああ、今日は面倒臭かったらそのまま学校来たよ。」
 「今日も、でしょ。」
 「うるせぇやい!」

時々こういった柘榴の思い切りのよさがたまらなく羨ましく思える。俺も自分の存在をはっきり示したかったら家を出て独力で生活してみればいいのだ。それができないのは、どこか矤神の名にすがっている所があるということだろう。だから柘榴の性格は俺に嫉妬の感情さえ抱かせる。それほどに柘榴は自由な生き方をしているのだ。
 「飯は食ってきたのか?」
俺が柘榴に問い掛けてみた。十中八九・・・
 「あ?食ってねぇ。そんな時間がなかったんだよ。」
やっぱり。するとありさはやれやれといった顔をして、鞄から包みを取り出し、それを柘榴に突きつけた。
 「そんなことだろうと思って、今日もちゃんとおにぎり作ってきてあげたわよ。はい、これ。」
 「お、さすがありさはわかってるな~。ありがとよ!」
と言って包みを開け、そのおにぎりを食べ始めた。以前は由香里に頼んで、おにぎりを一つ作ってもらっていた。由香里は人一倍器用で、特におにぎりを作らせると、綺麗な三角形のおにぎり握る。「あたし、おにぎりを作るのは昔から得意なんですよ。」と言ったのを聞いたことがある。しかしいつ頃からか、ありさが自分がやると言い出し、それ以降はその役はありさが行っている。二人は何度か矤神家に来たことがあって、そのときに由香里や沙百合と知り合いになった。特にありさと由香里はすっかり意気投合したらしく、俺が知らない間にちょくちょく会ったりしている。
「他にも、私にしてあげられることがあったらちゃんと言ってね?できるだけ助けになってあげたいから。」
「わかってるよ、困ったことがあったら、ちゃんとありさに言うからさ。」
実はこの二人、結構長い間付き合っていたりする。確か二年くらいは付き合っている気がする。喧嘩もするが、なんだかんだ言って仲が良い。そして間にいる俺はよく相談役になってしまう。

「あ、俺も久々に行きてぇな。」
「明日は・・・何もないし、いいよ。また一日中?もしそうなら由香里と沙百合にお前らの分の食事も用意してもらわなきゃないからさ。」
「おう、わりぃな。じゃあ何か差し入れでも持っていくな。」
「そうね、私も何か持っていくわ。いつもお世話になってるからね。」
この二人と一緒にいると、いつもよりも自分の存在を強く感じられる。ありさも柘榴も俺を俺自身としてみてくれている。ただそれだけのことが、俺はとても嬉しかったりする。三人で今まで色々な思い出を作ってきた。これからもきっとこの友情は続いていってくれるだろう。





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最終更新日  2004年05月31日 21時17分19秒
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