2009/11/20
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種は言った。「僕には少し、解りかねマス」
磔にされたまま待つ素振りも見せずに淡々と過ぎ去るものを見据える目はやがて虚ろに霞み始め、それはお世辞にも"見ている"とは言えないながらも瞼は決して閉じずに、仕舞には死んだ魚のように一切の生物的な動きを止めた。
時は歩くのを忘れて彼を興味深く見つめたが、いつも通り彼や他の雑多な障害は微動だにせず、断たれた彼の視線の先には何も見つけられなかった。
時が歩き始める。
煩わしそうに足を動かし、在るべき筈の過去における生産物を怪訝な顔をしながら手で除けつつ(虚空を掻きつつ)、贖罪の旅を続ける。
つくづく運が悪い、と小さく愚痴を漏らして前を見るが特に何かあるわけではない。
後ろを振り返ることは禁じられていなかったが立ち止まると明らかに嫌そうな顔で色々なものがこちらに歩いてくるのであまり止まらないように後ろを見やる。
彼は何故あのような場所にいたのか、不思議でならなかったが今となっては唯一の生産物と一緒になってしまっていて経過を見るどころではなかった。
ただそれだけであって、何の解決もなかった。

時は耳を傾ける。
前からは何も聞こえないのだがそれもそのはずで、後ろから雑音めいたクラシックが大音量で響いているのだ。
どうやらこれでは聞こえないな、といったところで雑音を探すのを止めて、今が機会ではないと自らを納得させて歩くことに集中する。
種は囁いた。「貴方が何故歩き続けなければいけないかは存じませんが、僕は貴方がするべきことは分かります。」
私は生まれて初めて疑問を抱いたことに、気付いた。
そして種に問うた。何をするべきか。
種は答えた。「生きてください。貴方が生きることで、あらゆるものが変化し、生産します。貴方が生きなければ、貴方にとって何も変わらないのです。貴方が死ぬならば、貴方は貴方でいられなくなる。貴方が貴方でいるために貴方は生きるべきです。」
時は歩きながら聞いていた。
何もない道を歩き続け、いつしか目も虚ろになり、その目は何も映していないようだった。
しかし、今まで何もなかった道に磔台と磔の小さな子供を見つけると立ち止まって子供の縄を解き、おもむろに自分を磔台に縛り始めた。
種は問うた。「何故ですか?」

子供は真っすぐな目でそのやりとりを見つめていた。
目は鏡のようにその光景を写していた。
磔の彼は種に他のいくつかの言葉を吐いて、うなだれた。
種は言った。「僕には少し、解りかねマス」






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Last updated  2009/11/24 03:04:28 AM
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bo0113 @ Re: 〉 肉体的負担はないのだけど精神的負担…
Noir@ (non title) 新しい環境に為って 苦労しているのは皆…
bo @ mob@ Re: >せーし お腹壊れるよ!いや確かに痩せる…

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