ボヤキ・ツブヤキ・ヒトリゴト

ボヤキ・ツブヤキ・ヒトリゴト

April 24, 2004
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『婦人公論』も、吉原選手ファンの私としては絶対お勧めしたい一冊だけれども、もっともっとお勧めしたいのが、『甦る全日本女子バレー』という、吉井妙子さんのノンフィクション。

ネットで購入して、けさ届いたんだけども、半日でガーッと読み終えてしまった。
まさに、「W杯のビデオを、最終予選を、10倍楽しく見る方法」って感じの一冊だった。

ここから先、ネタバレになるので、まだ読んでいない方、先入観なしで読みたい方は、ブラウザの「戻る」をクリックしてくださいな。


正直、柳本監督が、この本の中に書かれているような、コンピューターのような頭脳の持ち主だとは、完全には信じられない。
本の中の、吉原選手の言葉を借りれば、「魔法使いじゃあるまいし」って感じだ。
でも現に、柳本監督はW杯で結果を出して、今も色々試したりしている。
・・・・・・もしかすると、本当の本当に、魔法使いのような人なのかな。

あまりミーティングに顔を出さず、吉原選手に任せっきりにしたのも、「選手同士を結束させ、個人個人のモチベーションを高めるため」の“戦略”で、吉原選手と高橋選手をスタメンライトポジションで争わせたのも(書によれば、そりゃあ熾烈な、ライバル心剥き出しの争いだったらしい)、別にどちらがいいかなーと考えていたわけじゃなく、もともと高橋=ライト、吉原=センターで使う気マンマンで、「高橋選手を伸ばすため」のもので、アメリカ戦・第1セットで竹下選手でなく辻選手をスタメン起用したのは、「(言っても聞かない)竹下選手に渇を入れるため」のいわば荒療治、お仕置きで、ワールドグランプリの初戦、熱を出してフラフラになって戦って、惨憺たる結果を出した吉原選手を、みんなの前で「スタメンから外す!」と怒鳴ったのも、19歳コンビを「何で??」という状況でも使いまくったのも、この本によれば全部、アテネを見越した戦略、ということになる。


「まさか、魔法使いじゃあるまいし(そんなことまで考えてないでしょ)」
みたいなコメント。

いや事実、選手達は、吉原選手を含め、これらが監督の戦略だとしたなら、お釈迦様の手の平の孫悟空のように踊らされてきた事になる。
吉原選手なんて、「監督がミーティングしないから自分がやるしかないと思って」必死になってメンバーの士気を高めて結束させて、自分自身も必死になってライトポジション争いして、いつまで待ってもスタメンが決まらなくて、カッカしまくりだったようだし、確かにコンディション調整に失敗したとはいえ、みんなの前で「過去の実績は関係ない。キャプテンだろうがなんだろうが、結果を出せないやつは必要ない」なんて言われちゃあ、プライドも何もズタボロにされただろうし。
一方監督は、屈辱を撥ね返すために、吉原選手がますます奮起するだろうとか、そういうことを全部見越した上で、「トモはちょっと不安な方がうまくいくんです」なんてにんまり笑ってる。

ああでも・・・。
そうか、そういうわけでワールドグランプリは、吉原選手が出たのは初戦のみで、後はベンチだったのか。
そんなことがあったから、指が痛くても、熱があっても、吉原選手は「意地でも誰にも伝えず」頑張りぬけたのかな。
実際吉原選手って、追い詰められてからの方が本領発揮する事多いしな・・・。
それにしても、今まで色々な雑誌・新聞記事を読んで、ワールドグランプリの時の不調の事は知っていたけど、「柳本監督の雷」については、吉原選手、ひとことも語ってなかったなあ。
やっぱりアッタマ来るだろうし、屈辱的な出来事だったろうし、触れたくない、人に言いたくない事なんだろうなあ。

なんて思ったら、吉原選手のちょっとした“ちっちゃさ”に、笑ってしまった。
強くてやさしくて、人間としても“大人物”だと思っていたし、今も思っているけど、やっぱり人間なんだなあ、吉原選手でもそういう“ちっちゃい”ところがあるんだなあと思ってしまって、なんか笑えるし、ちょっとホッとした。

でも、他の選手が語る“トモさん”は、やっぱり凄い人で、本の章タイトルにもなっている「求心力」で他の選手を引っ張り、導いた。
(監督がやらないからキャプテンがやるしかなかった・・・という理由もあるが、それも監督の“戦略”のひとつだったらしいのだが)
他の選手が、こんなに“トモさん”のことを語っている記事を読むのって初めてだったから、なんだか新鮮だった。


「一見怖い」吉原選手は、ホントに怖くて厳しい人で、でも普段はのんびりしててニコニコしてて、ドジだしボケてるし、つまり人間として魅力的、ってことなんだろうか。
(栗原選手と同期で、吉原選手の大ファンの選手、っていうのは、やっぱ東レの荒木選手だろうな。栗原選手が、最初「緊張して(トモさんの)顔も見れなかった」と言ってるのに対し、部屋に遊びに行った荒木選手。恐るべし。)
コートの中と外のギャップが激しいぶん、そりゃあ選手達のいいオモチャにされただろうさ。
オモチャにしつつも、彼女の技術を盗もうと虎視眈々とし、彼女の姿勢に敬服し、自らの闘争心を選手達が高めていったのが、この本からはガンガン伝わってくる。

オフの前日、吉原選手自身は練習する気マンマンだったが、自分が自主練してたら他の子達が休めないと思い、「明日は私は休むからね!」と宣言し、完全オフである次の日、さあ練習しよう、みんなは息抜きに出かけただろう、と体育館に向かうと、メンバーの半数が自主練をしていて驚いた、という。

なんてなんてなんてなんて、青春スポコンドラマみたいなシチュエーションなんだろうと思いつつ、私はバカみたいに感動してしまった。

ええいこのバレーバカどもめ!!(暴言)

バレーが大好きな女の子達、バレーバカになりかけている女の子達を、どっぷりバレーバカにしてしまったのは、この34歳の大バレーバカ(大暴言)のおかげである事は、ある意味間違いようがなく、でもそれも監督の戦略の一つで・・・ううむ、奥が深いなあ。

吉原選手自身、バレーバカと呼ばれる事には抵抗があるらしいし、バレーしか出来ない、と思われる事にも反発を感じるらしいけど、実際、日の丸を背負う、という、その責任、重圧は、「バカ」にならなければ抱えきれるもんじゃない。結果を出せるもんじゃない。

今、最終予選を控えている全日本女子。
15歳の選手が代表入りしたり、リベロで成田選手を使ったり、監督はあの手この手で、一般人も協会も、選手達をも翻弄しているんだろうな。
この土壇場になってなんなのよこの人!!
なんて思ってる選手もいるかもね。
15歳選手の起用に、20代選手達は内心穏やかではなかっただろうし、リベロで成田選手を使われた日には、佐野選手の心の中の嵐は大変なものがあっただろう。
まさに奇策、とよばれるものかもしれない。
選手と監督の信頼関係、というよりは、娘同士がガッチリ結束して、わけわからん気難しい頑固オヤジに立ち向かう、って構図かもしれない。
でもそれこそが、監督の“戦略”なのだ、と、吉井妙子さんは言う。

ダラダラと書いたけれど、この本の感想をひとことでいえば、
全日本最高!
トモさん最高!
柳本監督、うーーーーん、わけわからん!!
でも、あなたは凄い!!(と思う)

ということになるだろうか。
それにしても本のあとがきで、「協会の中で、柳本監督に対するバッシングが起きている」という一文には、腹が立つとか呆れるとか通り越して笑ってしまう。
ナントカは死ぬまで治らないって、ねえ?

監督就任時、「吉原・竹下・高橋だけは使うな」といった協会。
監督就任時、「吉原・竹下・高橋をチームの核にする」と決めた監督。

さあ、正しい答えはどっちだった?





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Last updated  April 24, 2004 01:57:02 PM
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