ココロの森

ココロの森

2008.08.09
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カテゴリ: 読書・えとせとら
加門七海さんの 『うわさの神仏 2』 を読了。


(←単行本 / 文庫本→)
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
「仏には惚れる。神には擦り寄る。妖怪とはちょっと親しくなりたい」
自他ともに認めるミーハー・オカルトオタクの著者が、
北は東北、南は沖縄・台北まで、謎と不思議を求めて、数々の「聖地」に出発。
パート1よりもさらにパワーアップした突撃精神、無謀ともいえる行動力!
果たして道中はドジとトホホの連続、よくぞ無事に戻って来た…。
神仏やお化けにたっぷり接近遭遇できる、類まれな紀行エッセイ。




加門さんの本は、内容というか企画的にはかなり面白いのだけれど
どうもにもこうにも 一人よがり な文体が鼻につくのであまりおすすめではないのだが(爆)
本書の中に出て来る、 『神ダーリ』 という現象がとても興味深かった。



沖縄には、 ユタ ノロ と呼ばれる巫女のような立場の女性たちがいる。

本書中の説明を引用すると、

 - * - * - * -

沖縄の宗教上の二大組織(?)といえば、何といってもユタとノロである。
ユタは…おっと、ムヌシリさんは
(注:ユタという呼称は昔、弾圧されていた歴史があるため、ユタの人にそう呼びかけるのは失礼に当たり、代わりに「ムヌシリ(=物知り)」さんと呼ぶのが適当なのだが、本書では一般的な通称であるユタを用いている)
ひとことで言うなら巫女さんだ。
だけど私達が知っている神社にいる巫女さんとは、ちょっとどころか、かなり違う。
むしろ立場は東北のイタコなんかに近いかな?
占いをしたり、霊を降ろしたり。
一般社会の中にいて、そういった神霊関係に携わっている方々だ。

一方、ノロは公的な立場を持つ女神官を指す。
島によっては、ヌルとかツカサという名称でも呼ばれるらしい。
彼女たちは地域ごとのカミゴト(神事のことね)を担う存在で、いわば霊的村長さんと呼んでもいい人たちだ。
ムヌシリさんは個人だが、ノロは琉球王国の組織の中の一員だ。(中略)
琉球王国廃絶後の今、聞得大君はいなくなったが、ノロは村落を中心に今でも世襲で続いている。

 - * - * - * -




加門さんは沖縄に出向き、
このムヌシリさんやノロさんにお会いして、お話をきいたりしているのだけれど
その前に、沖縄の信仰の研究をされている高橋恵子さんというかたにお会いして
ノロやユタについて話を訊いている。



 - * - * - * -


「沖縄の人にとって、実際のところ、ユタとはどういう存在なんでしょ?」

私は質問を切り出した。

「医者半分、ユタ半分と言われるように、ユタは社会に浸透しているんですよ。
彼女達はノロのような組織は持っていませんけれど、
生身(イチミ)の相談を受ける人とか、カミゴトにのみ携わる人とか。
御願は分担されてます」

「ユタは『神ダーリ』によって、なるって聞いたんですけれど?」

「ターリは自分に関わる神が認識できなかったり、みつけられなかったりするときになるの。
 病気になったり、神経衰弱になったりね。
 神に仕えるべき人が、それを拒否した場合にも、神ダーリという病気のような状態になってしまうんです。
 ユタが知るべきことを知れば、それはちゃんと治りますよ」

「神ダーリって端から見れば、一種、気が変になるみたいな状態だと聞いたんですが…。
 精神科のお医者さんのお世話になることはないんですか?」

「病院には行かないですね。
 周りがちゃんと、ああ、あの人は神ダーリだなとわかってあげられるので、温かく保護してあげるんです」

「それでちゃんとユタになる?すごいですねえ」

神ダーリの症状は人によってそれぞれらしいが、寝たきりになったり、食事がとれなくなったりするほか、幻視、幻聴、幻覚、あるいはいきなり踊り出したりと、いろんなことがあるらしい。

(中略)

(内地でも不定愁訴の人とか、抗鬱剤飲んでる人とか…。
 実は神ダーリになっている人が案外いるんじゃないの?)
心理学者に言わせると、そんな彼女らの「症状」を認めてあげる事もまた、治療の一手段という話である。
が、それと、回復の後に霊力がついてしまうことは、私には一括りには理解できない。

「やっぱり霊魂の問題ですかね」

腕組みをして、私は唸った。

「女性は生まれながらに、男よりチジが高い(霊格が高い)んですよ。
 その中でもチジが高い人が、ユタになっていくんですね」(中略)
「びっくりしたり、あるいは気が抜けたりすると、魂…マブイが、肉体から落っこちてしまうんですよ。
 すぐに気づいた時には、本人が落ちた魂を拾って、戻す動作をするんだけど、
 気づかないうちにマブイがなくなってしまったりすると、病気になってしまうのよ」

「げ…。そういうときはどうするんですか?」

「ユタに頼んで、マブヤー乞いをしてもらい、魂を戻してもらうんです」
まさにド肝を抜かれる事実だ。


 - * - * - * -




学者である高橋さんは、こうおっしゃっているけれど
この後、実際に加門さんが話をうかがったムヌシリさんは

「(周囲の人は)ターリになったのと、ゲレン(病気)になったのと、区別はつかないよ。
 なったことのあるひとは、ターリだなとおもうけど…病院に行ってしまう人もいる。
 でも、一度薬を使われたら、もう神サマは来ない」


とおっしゃっていて、当事者と研究者との見解は、やはり全く違うのだなと複雑な気持ちになる。









加門さんは「内地でもターリになっているひとがいるんじゃないか」と書いているけれど
別に、神懸かりとか、そういった宗教的・心霊現象的なことだけではなくて

「自分に関わる神が認識できなかったり、みつけられなかったりすると」「病気になる」

というのは

自分の生き方や目標を見つけられなかったり見誤ったりすると、生き難くなる





私の語彙が貧弱で、上手く言えないけれど、
何と言うか、結局、神さまや霊魂といわれる、目に見えない域も
結局はすべてが日常生活に直結していて、
ひどく乱暴な言い方をすれば、
『あちら側』である霊界も、『こちら側」である人間界も、
みんな、おんなじなんじゃなかろうか。と
思ってしまったりもする。





沖縄の神事については
大好きな池澤夏樹さんの小説にも度々登場して興味深く読んだのだけれど
『マシアス・ギリの失脚』 など)
もう少し詳しく知りたくなった。




『マシアス・ギリの失脚』 池澤夏樹

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
南洋の島国ナビダード民主共和国。日本とのパイプを背景に大統領に上りつめ、政敵もないマシアス・ギリはすべてを掌中に収めたかにみえた。日本からの慰霊団47人を乗せたバスが忽然と消えるまでは…。善良な島民たちの間でとびかう噂、おしゃべりな亡霊、妖しい高級娼館、巫女の霊力。それらを超える大きな何かが大統領を呑み込む。豊かな物語空間を紡ぎだす傑作長編。谷崎潤一郎賞受賞作。






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最終更新日  2008.08.09 13:44:04
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