ココロの森

ココロの森

2010.08.12
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たそかれ

たそかれ

価格:1,575円(税込、送料別)




六十年、河童は待っていた。二度と帰ってこない友だちを。
再会した河童の八寸と少女、麻は記憶の中を旅することに。




久々に児童書で泣きました

初読みの作家さん。
「かはたれ」 という作品の続編のようですが
「かはたれ」を読んでいなかった私でもじゅうぶんに世界を堪能できました。

かはたれ

かはたれ

価格:1,575円(税込、送料別)







わけあって家族とはぐれ、ひとりぽっちになった河童の子供・八寸が
ひとりでも何とか生きていける最低限の術(すべ)を身につけるべく
河童の長老に子猫に姿を変える霊力のある珠をかけられ
町に修行に出されます。
そこで、母親をなくしたばかりの少女・麻と出会います。
ところが何故か麻にだけは術をかけられる前の八寸━━
河童の八寸の姿が見えるのでした。
麻と八寸はひと夏をともに暮らします。
                   (「かはたれ」)


それから4年後。
八寸はふたたび長老の命で町に出ることになります。

一族を皆殺しにされ、
中学校の使われなくなったプールでひとり暮らしている
「不知(ふち)」という若い河童を連れ帰ってこいというのです。

不知の一族は見目麗しく才にも秀でており
唯一その血を受け継ぐ不知を自分の後釜にしたいと長老は考えていたのですが
一族の大事にもかかわらず
今まで何遍、誰が呼び戻しにいっても
不知は帰ることに同意しないというのです。

今回も取りつく島もない態度の不知に
必死に説得を試みる八寸ですが、不知はプールを離れようとしません。
それには不知なりの、絶対に帰れない理由があったのでした━━





前半は、いかにも童話の世界というかんじ。
小学生向けくらいの文章なので、
なんとなく、内容も文章も、若干物足りなさを感じていたのですが
後半の、不知がプールを離れられない理由を語る場面からは
ぎゅっと胸の奥をつかまれて物語の世界に引きずり込まれてしまいました。





または親族の死などでひとりぼっちになった子河童たちにや
それを見守り、手助けする麻たちに
これをよむ子供たちは自分たちの世界を投影できるでしょうし

戦争の惨さや、慢心のおそろしさなども描かれていて
教育的童話としても秀作。

作者は教壇に立たれているかたとのことで
それも納得です。





また、

河童の姿が見える人間と見えない人間の描き方、

不知のいる世界とこの世界との差、時空のゆらぎなど

紙一重だけれど決定的に違う、

子供にもとてもわかりやすい言葉で描かれていて
するりと『向こう側』にいけてしまいそうに感じられるあの感覚を
読後に試してみる子たちもいるだろうな、と思うと
なんだかとてもうれしいし、楽しいです(笑)



そうやって

とおもったこと、感じたことを
素直にそのままやってみる、信じることのできるココロ。

それをそのまま、もったまま、
おとなになっていってほしい。










だれにでも見えるものしか見ようとしない人間たちや、
目に見えるものしか信じない人間たちなんだ。

長老はどんな人間もこわいと思っている。
もっとも人間のほうも、河童はみんな人間を川に引きずり込むと思ってるかもしれないけど。
だけど人間の中にも、目に見える姿だけじゃなくて、
目に見えない姿を見とおすことのできる者たちもいるんだ。



             ( 本書より )





見えない世界を「ない」と決めつけてしまうオトナたち。

そんな人間の浅はかなココロが
河童たちを、私たちの周りから追いやってしまい、
「けして」しまったのでしょう。







今、上映されているジブリの
「仮り暮しのアリエッティ」もそうだけど

「ない」よりも「ある」と思った方が
ずっとずっと 周りにやさしくなれる・・・

それならきっと
その世界は「ある」のです。







この物語の舞台は鎌倉ですが
ここはむかし、よく散策もした場所。

私の大好きな佐藤さとるさんの
「コロボックル」シリーズは横須賀だし

あの辺りに
こういった見えない子たちがたくさんいる、と信じるだけで
なんだかわくわくしてきます(*^^*)


あの辺りの山や谷って
なんとなく「いそう」な気がしますよ、
ホントに(笑)



























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最終更新日  2010.08.13 12:49:21
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