ココロの森

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2011.02.20
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【送料無料】こちらあみ子

【送料無料】こちらあみ子
価格:1,470円(税込、送料別)





のり君がこぶしで顔面を殴ってくれたとき、あみ子はようやく一息つく思いだった-。

少女の目に映る世界を鮮やかに描いた第26回太宰治賞受賞作。
書き下ろし作品『ピクニック』を収録。





太宰治賞選考委員の三浦しをんさんや小川洋子さんの選評を拝読し、
ぜひ読んでみたいと思って図書館にリクエストした一冊。

期待以上でした。
特に受賞作 「こちらあみ子」 は、徐々に胸が締め付けられ、
切なくてせつなくて、叫びたくなるような、もがきたくなるような
なんともいえないやりきれなさを抱えたストーリーなのに
どこか、全体を通してすっきりと突き抜けた明るさがあり、
その瑞々しい文体がまた主人公あみ子の純粋さに相通じるところがあって



二作品とも、序盤はそれと気づかないけれど、
その後の話の展開で、話の軸となる人が
『個性』と呼ぶにはあまりにも度を超えたものを抱えている事が判明し、
それが判明したあたりから、周囲との関係に変化が生まれ
物語が流れ始めます。




「こちらあみ子」 では
あみ子があまりにも純粋であるがために
自分も、家族も、大好きな人も傷つけてしまい、
そしてあまりにも純粋であるが故に
自分や周囲を傷つけていることにすら気づけない。

幼い頃から、ずっとあみ子の面倒を見ていた兄が

そんな兄に、昔誕生日にもらったおもちゃのトランシーバーで

「こちらあみ子、おーとーせよ、おーとーせよ」

と話しかけるシーンでは
こちらまで胸が苦しくなります。





「ピクニック」 では
同僚の女性の告白の根本が揺らいで来たあたりから

作者に突きつけられているように感じられ、
一瞬、ページを繰る手が止まる程。

自分だったら、主人公たちのように
彼女に接することができるのか。

否、と、答えざるをえない自分の心の薄っぺらさに
かさぶたをびりっと剥がされたような
ひりひりとした痛痒さを感じずにはいられません。





普通の作者なら、
それをいわゆる私たち『一般』の側から見つめ、
話として創り上げていくのでしょうが
本作では、その自分でも持て余してしまう程の『個性』を抱えた人の視点で描くことにより
日常をよりくっきりとあざやかに描き取っているように思えました。


早くも今年のベスト10入り決定の予感がする
「よんで良かった」一冊でした。













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最終更新日  2011.02.20 23:13:44
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