文豪のつぶやき

2005.07.05
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カテゴリ: 新撰組
結果として、新撰組の池田屋事件は長州の暴走を生む。
池田屋の変を聞いた長州過激派は激怒、事件のあった五日後、すなわち六月十日には来島又兵衛率いる第一軍が長州三田尻を進発している。
第二軍、第三軍、第四軍がこれに続く。この中には坂本竜馬の盟友、中岡慎太郎も幹部として混じっている。
暴発長州軍の事実上の総帥は真木和泉である。
真木和泉五十二歳、久留米水天宮の神職出身で、宮部鼎蔵とともに九州尊攘派の二枚看板といわれた。尊攘志士から見れば神様のような人物である。
これより前、尊攘派の重鎮、真木和泉はひそかに神戸海軍操練所に勝海舟を訪ねている。
勝の高名を聞き、話を聞くためである。
無論、勝は幕臣で真木にとっては敵である。勝つにはそういう魅力があるのだろう。坂本竜馬が師と仰ぎ、西郷、大久保が教示を仰いだ人物である。
勝は順を追って、親切に外国情勢を説き、攘夷の愚なるを説いた。

勝のもとを辞するとき、悲しげに首を振った。
勝もそこは心得ている。
黙って見送った。
真木は尊攘志士から、すでに神輿としてかつがれているのである。
真木は尊攘過激派の巣窟、長州において藩主からも師父のような扱いを受ける。長州に滞在している時のかれの気持ちは複雑であったろう。
とにもかくにも真木和泉は、京に向かって長州を進発する。





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最終更新日  2005.07.06 15:20:17
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