文豪のつぶやき

2006.12.17
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カテゴリ: 歴史の寄り道
毎年12月になると2000年前の西方の人のことを思う。

かれは、そんなに裕福ではない家庭の大工のことして生まれた。
おそらく若い頃は家業を継ぐべく、父の大工の手伝いをしていたのだろう。
土を運び、こね、人の家を作る。
そんな時、裕福な女子のたちのグループが泥まみれのかれのそばを通ったことであろう。
彼女たちは、服を着飾り、手には学校で習う教科書の入ったバッグを持ち、談笑しながら薄汚れたかれの前を通り過ぎていったことであろう。
彼女たちの、あとからは同じ階層の男の子たち、そう、かれと同世代の。
やがて二つのグループは一つになり、突っつきあったり、笑い転げたりしながらかれの前を通り過ぎてゆく。
かれは泥こね棒を強く握り締め、その後姿を哀しそうに追う。

かれは、ふうっとため息をつき、また泥をこね始める。
このときかれはかれの原型となる万人にとっての宗教を考えていたかどうか。

なにげない2000年前の一つの点景である。






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最終更新日  2006.12.17 15:57:04
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