1台のバスが秋晴れの街道をとろとろとした速度で走っている。
山は赤や黄色などの彩りで紅葉へと変容する兆しがみられた。
いつもと変わらない田園風景が続く秋の午後男は真面目な
顔でニコリともせずバスの座席に腰をかけていた。
乗り合わせた客はみんな田舎風情の老人ばかりである。
しかしその男は妻と子供3人を引きつれ車中では少し
華やかな存在であった。この男の年齢は50代前半だろうか。
白髪の目立つ少したれ目の苦悩を顔にしのばせた男だった。
深く刻まれた目じりや額の皺にそれははっきりと現れ
目に輝きがなく鈍重な感じのする男の姿がそこにあった。
バスは大きな峠にさしかかり眼前には広々とした
盆地が開けた。妻は息子二人・娘ひとりとともに
窓外を眺めてはその視界の展望に大きな声をあげていた。
ほらあそこが中学校なんだよと子供たちに学校の
説明をしたりしていた。
しかしそれは妻にとっては二度と帰ってこれない
故郷の一風景かもしれなかったのだ。
遠い青春の思い出が甦ってきたのか妻の目は
心なしかくもりがちになっていた。
ハイ。ストップ
この家族はこれからどこへ旅立つのでしょうか?
もう若くない夫婦なのに故郷をあとにして・・・
このあとはあなたの想像で物語を綴って下さいね。