祖母よ
祖 母 よ
祖母倒れ祖母の手握るわれなりし
祖母の手に光は生まれ動く動くあたりまえに手は動く
鼓動のように自然に動く祖母の手よ
祖母の名前は千代乃なり
その意味に訳ありて千代乃よ千代乃わが祖母よ
千代の代までその命運んで生きよわが祖母よ
祖母の精神疲れても肉体よ保て永遠の若さを
祖母よ泣くな 祖母よ死ぬな われら縁者の偉大なる
尊敬を一身に受けるなら今甦れ 活性の気を肉体に宿せ
言わぬ心はわからずも祖母の肉体に知る
人生の重さ悲しさ苦しさよ
悲哀を秘めた全身の垢と弾性のなき細胞の
死骸をいま全部落として身は軽くなろうとも
生きよ 生きよ わが祖母よ
魂に小さな灯りともしつつ 飯を食え 飯を食え
力の限り飯を食え
飯食えば血はめぐる
血めぐるなら活性の気は全身にゆきわたる
動物的なしぐさにも人間として女として
その年輪を飾せ 意気を示せ
乳房たれし白髪の千代乃はいまだ死にはせん
千代乃の代は悲しけれ
子にぞ孫にぞ魂の幾分にたり皮膚の色
色こそにれど艶違い淋しき中の人生に
諸行無常はここにあり
泣くな祖母よ 死ぬな祖母よ わが祖母よ
小さな祖母の心こそわれら縁者のぬくもりで
慰め励まし活性の気を与えよう今ここに
われら縁者の祈りなる
祖母よ泣くな 祖母よ死ぬな 祖母よ甦れ
われら縁者の祈りをば五体の中に受け止めて
飯を食え 飯を食え 千代の代まで飯を食え
飯食えば血はめぐる活性の細胞に血は踊る
飯を食え 飯を食え 祖母の皺が消えるまで
飯を食え 飯を食え 胃よ丈夫なれ飯を食え
祖母よ泣くな 祖母よ死ぬな わが祖母よ
飯を食え 飯を食え
千代の代まで飯を食え
＜ 病 気 で 倒 れ し 祖 母 に 捧 ぐ ＞
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