文の文

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sarisari2060

sarisari2060

2006.06.12
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カテゴリ: ひとりごと
tatiaoi2


いいよ、と息子は答えた。

近くの運河の河岸に咲く花を眺め
並んで歩きながら思いをめぐらす。

この3ヶ月、いろいろあって
お互いの間の距離を計りかねていた。

ことばは大切だけれど
そのことばが相手をえぐりもする。
発してしまったことばはもう消えない。

母親と長男は互いに感じかたが似ているから
あるとき大きな斥力がはたらく。
大事な存在だからよけいしんどい。

「これがタチアオイ」
「へーそうなんだ」
「コスモスがきれいね」
「あ、これコスモスか」
「これはなんの花かしら?」
「わかんない」

何気ないことばを何気なく話し
同じ曇り空を眺めいっしょに風に吹かれる。

今どんな小説を書いているの?と聞いてみる。
うれしそうにストーリーを語る。
主人公が誘拐されててんやわんやで
物語がころがっていく。
それはたいそう面白そうな話だと、親ばかだからそう思う。
「面白そう!」というとうれしそうに笑う。

公園を抜け、旧道を歩くといくつも鳥居を見つける。
息子は必ず手を合わせる。

「なにお祈りしたの?」
「ないしょ」

わたしがのらねこをみつけて写真を撮る間、息子がわたしを待ち
彼が看板や案内を読む間、わたしが待つ。

何か真剣な話をしたわけではない。
一時間ほどあたりをいっしょに歩いただけだ。

それでもなんとなく
計りかねていた距離の感じが少しわかったような気がしてくる。
おたがいが楽に呼吸できる距離があると思えてくる。

思い通りにならないことは山ほどあるけど
こんなふうな時間を過ごせることは
シアワセなことだと思う。






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Last updated  2006.06.12 22:24:06
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