文の文

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sarisari2060

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2010.10.09
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カテゴリ: エッセイ



通学に使っていた京阪電車に乗って中書島へ。
当時、乗っていたのは
緑の濃淡の電車だったなと思い出す。

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中書島。
中学高校大学と
毎日この駅から電車にのった。
周りの景色はいろいろ変わっているが
駅の地下通路への階段は変わってなくて
重い鞄を抱えて
上がり下りしていた自分が浮かぶ。

当時、ここで毎日会うあこがれさんも
いないわけではなかったのだが
今は龍馬さんでいっぱいだ。

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駅を出て、中書島商店街を歩く。
40年近くの時間が流れていて
あたりまえだが
馴染みの風景は何もない。

高校時代の友人の家があったはずだが、と
記憶を手繰るが、あやふやな感覚だけで
定かに思い出せない。

看板に案内されて
船着き場へと足を向けると川にでる。
柳の枝の揺らぎを眺めながら
自分の思い出の中には
こんな風景はなかったよなあとおもうのだが
それも定かではない。

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ああ、船が行く、
NHKでみたのとおんなじだあ
なんて苦笑交じりに思う。

tera2.jpg


向こう岸に渡れば
有名な寺田屋さんだ。

tera4.jpg

この近くの大通りを
毎日バスで通っていたのに
ここに寄ったことはなかった。

tera11.jpg

伏見にいて伏見のことを知らなかった。

tera5.jpg

若い日は自分の時間を追うことだけで過ぎた。
どんなに身近にあっても
歴史はまるで遠いおはなしでしかなかった。

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歴史の歯車を大きく動かしたひとの
生きた時間をはるかな思いで辿る。
志半ば、なんて言葉が浮かぶ。

tera7.jpg

時代がひとを産むのかも知れん、と思ったりもする。

tera9.jpg

過ぎ去った時間が色濃く残る空間は
すこし息苦しい。

tera10.jpg


寺田屋近くの
龍馬通りと名付けられたその小路は
昔学校帰りに親友とよく歩いたものだったが
やはり姿を変えていた。
新京極の土産物屋の雰囲気がして
また苦笑する。

tera12.jpg

もはやそこにはない
昔馴染みの喫茶店を思い描き、
そこで長い時間を一緒に過ごした親友を思った。
「セシボン」そんな名前の店だった。

なにをするでもないのに
いっしょいいると楽しかった。
なにより安心だった。

親友も伏見にはいない。
わたしたちの伏見は
もうないのだなと思ったりした。






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Last updated  2010.10.10 00:40:17 コメントを書く


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