文の文

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sarisari2060

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2011.01.01
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カテゴリ: エッセイ


昔の自分が書いたのを、読み直して
いやん、おもしろいやん!
と思ったりするお正月。



2007年03月13日  ぐるぐるまわり

朝、ある柑橘系果物を剥いていた。
メロウ.jpg

それはグレープフルーツに似た新種で
名前はたしか・・・メルロ・・・
ああ、そのさきが思い出せない。
そこまでで記憶が途切れている。

まあ、メルロなんとかで
そのあとがなんであろうとも
食べているこの果物は変わらないのだけれど
それにしても
日々の物忘れ全開状態に
危機感を持つおばさんは
しぶとくメルロなんだったか
思い出そうとした。

片づけをし、食器をしまい
洗濯ものを干しながら
メルロメルロメルロと唱えていると
メルロポンティということばが浮かんできた。

ああ、メルロポンティであったか
と一瞬思ったのだが
なんだか違和感がある。
それは果物の名ではなさそうだと思い至る。

ではメルロポンティとはなんぞ?
こんどはそっちが気になってきた。

メルロポンティメルロポンティメルロポンティ
掃除機をかけながら、
また繰り返し唱えてみる。

わからんが、ひとの名前のようでもある。
が、特定できない。

メリル・ストリーブなら知ってる。
マディソン郡の橋のひとだ。
ああ、それもえらく古びたものに聞こえるなあ。
それにしてもなんで
相手がクリント・イーストウッドだったんだろうなあ。
なんか違う感じがするなあ・・・。

いやいやハリウッドのひとではなさそうだ。

メルロポンティメルロポンティメルロ・・・
・・・メロスは激怒した。

「それだから、走るのだ。
信じられているから走るのだ。
間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。
人の命も問題でないのだ。
私は、なんだか、
もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ」

いや、メルロポンティは走らんな。

メルロポンティメルロポンティメルロポンティ・・・

プレタポルテはフランス語の既製服で
モンテカルロはモナコで
モンティパイソンは・・・可笑しかった。

メルロポンティメルロポンティメルロポンティ・・・

クイックルワイパーで床を拭いてるときに
ふっと思い出した。
この名前、「千夜千冊」で見たような気もする。

そう気づいてみるとなんだか気落ちしてしまう。

ああ、このひとはきっと賢いひとだ。
賢くてその筋ではえらく有名で、
世の中の賢いひとは
みんなメルロポンティさんを知っていて
そして、きっとわたしには皆目わからんひとだろう。

ああ、短いお付き合いでしたねえ。
メルロポンティさん。
さようなら、ごきげんよう。

で、あの果物は・・・
メルロなんだろう。







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Last updated  2011.01.02 02:49:57 コメントを書く


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