文の文

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sarisari2060

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2011.03.23
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カテゴリ: エッセイ


ご主人のお仕事に要請があったため
週末に自宅へ帰るから、荷物はそちらへ、
とメールがあった。

ええ~、大丈夫なの!?と思いながらも
添付書の住所を書き換え
夕べ、ガムテープで
かっちり封をした段ボール箱に貼付け
あとは、キャリーの用意して
と思いつつ、念のため郵便局に電話してみた。

局留めになるなら、どの局になるのか
訊いておこうとも思ったからだ。

と、オペレーターのご婦人、よしださんは
その郵便番号のところに支店はない、
と繰り返し、言われる。

郵便局といわず、
日本郵便の支店、というらしい。

福島で今、荷物が受け取れる支店は
郡山、福島、会津若松、……
相馬、白石、北方、…ニ本松…三春
とずらずらと並べられるが
そのなかにいわきはない。

こちらの事情を少しおはなしすると
いったん電話をきって
いわき支店のほうへ電話してくださったが
今朝からの大きな余震のためか
不通になっているらしかった。

お手数をかけて申し訳なかったが
なんでやねん、という思いは消えない。

思い切って友人に電話して
いきさつを話した。

ずらりとならんだ支店は
どれも福島浜通りにあるものではないそうで
車で2時間もかかるという。

「もう、のんびりでいい」
と彼女が言う。

思ったより明るい声でほっとする。
子犬の高い吠え声も後ろで聞こえる。
元気そうだ。

お身内が千葉のほうから
すこし物資を調達されて帰ってみえたそうで
安堵する。

こちらはいくらあせっても
どうにもならない。
申し訳なし。



少なからず放射能の危惧があるところへ
自らの意思で帰っていくこと。

まことに、案じられることだが
ご自分達が納得されてのことなら
それはそれで仕方の無いことか、と思う。

もう、若くはない
50代の人間があと何年生きるのか。

放射能の影響を受けて
具合が悪くなって最期を迎えるのと
そのまま生きて最期を迎えるのと
そう変わらないから、

と言われてみれば
その腹の括り方にコウベを垂れ
うなずくしかない。

「主人の仕事を支える」
その言葉のうしろの彼女の覚悟。

そんな彼女をささやかにでも支えられたら…。








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Last updated  2011.03.23 14:27:58 コメントを書く


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