豚子の部屋

豚子の部屋

ホッシー


留学して初めてホッシーの存在をしり、そしてレッスンを受けました。


私は学校の寮という名の怪しいボロホテルにでワンルームをシェアしながら
貧乏生活を送っていました。一方、学校で知り合った友人は月$850も
支払ってホームステイをしていました。


その友人は某有名歌手のPV撮影にも使われたという大きな家にホームステイ
し、休日にはサンタモニカにある有名レストランに連れていってもらえると
いう夢の様な生活をしていたのですが、ある日突然、問題が起き、
逃げるようにその家を飛び出したのです。


そして学校が新しく手配してくれたホームステイ先が、バレエの先生の
お家でした。
私がダンスをするために留学していると知っていて、お母さんに
話をしたことから、「今度、ホッシーのクラスをするから、○○○(名前忘れた)
がダンスレッスンをプレゼントしてくれるって言ってたよ。」
と言う言葉を聞き、「私はホッシーがどんなダンスか分からないけど、
何でも経験だよ。」と思って受けることにしました。


学校が終わり、2人で友人の家まで他愛のない話をしながら友人の
ステイ先へ向かいました。
その家はアメリカの中では大きくも小さくもない中流家庭のお家でした。
そこのお母さんは離婚していて子どもも自立してしまい、
空いている部屋を私の友人とその他2人、アメリカ人とアジア人の男性に
貸しているということでした。


彼女の部屋にはいるとびっくり。
思っていたより狭かったのですが、何より壁の一つの面が天井まで
鏡張りだったのです。
「さすがダンサーの家!!」
それだけで羨ましかったのですが、そこの家のお母さんに会うと、
ときめきも少し冷めました。


元バレエダンサーらしく、50過ぎているとは言ってもスレンダーで
明らかに他の人とは違うということが分かりました。
けれど、彼女のこちらのことをあまり気にせず
早口でべらべらと
「あなた達が羨ましいわっ!!だって若いじゃない。
私なんか歳で身体がぼろぼろなのよ!!
今日だって、病院に行って薬もらったけど全然きかないし。
こんなに薬のんでるんだから!!」
といってサプリがぎっしりつまった、サプリ用の戸棚を見せてくれました。


小さな薬屋かと思うくらい戸棚が栄養剤、サプリの瓶で埋め尽くされていたのですが、その驚きよりも、彼女の身体がやせているだけではなくて、
話し方や雰囲気からもぎすぎすした感じがして、
「あぁ、やっぱり寮にして良かったよ。」
とすぐ鏡をみた感動を忘れたのでした。


<つづく>



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: