ヴェネツィアの獅子たち

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Reiko Fujiwara Marini

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カテゴリ: 歴 史
ヴェネツィア商人に煽動された 第四回十字軍、コンスタンティノープルを奪取」
 「第四回十字軍、ヴェネツィア人は、 封建小領主のような野心を持って、コンスタンティノープルに進路を曲げ、ビザンツ帝国の商業戦略拠点を奪い取った」

と、定義されています。フランス語もしくは英語の原文を、忠実に日本語に翻訳された文だと思います。

 この本の十字軍の記述は、それまでにあった「聖地奪回という、十字軍の純粋な聖なる目的」には、多少疑問を呈しているけれども、「金儲けしか頭にない狡猾なヴェネツィア商人にだまされた」という責任転嫁の被害者意識からは抜け出ていません。



 「常識」というのは、しばしば権威によって作られるものです。例えばテレビというのは、現代の大きな権威の一つで、「テレビで言っていた事」「テレビに出ていた人」は、それだけで説得力を持つものです。たとえそれが事実の中に、無知によるデマや、感情による偏りが散りばめられていても、です。

 ヴェネツィア創成期、ビザンティン帝国の傘下だった時期以降、18世紀にナポレオンに倒されるまで、ずっとどの権力にも属さずに独立と自分たちの主義を貫いてきたヴェネツィア。
 その千年にわたる歴史の中で、フランスは強大な国でありながら、なぜかヴェネツィアに裏をかかれて知恵で敗北するような、苦い出来事が多々あります。ローマ教会にしても、カトリック教徒にとって「死」と同義語の「破門」でさえ、ヴェネツィア人は幾度の破門にもまったく動じない、許しがたい国でした。

 ローマ教会とフランスという国に、結果的に恥をかかせたヴェネツィア共和国の歴史は、現代でも大きな権威であるこの二つの潮流から無視されている。また、イタリア国内では郷土主義が強い上に、歴史を扱う仕事の人、つまり歴史家や大学の教授や作家、いわゆる知識人達は、フランスに顔が向いてる事が多い。

 これらが、ヴェネツィアの歴史をイタリア国内でもヨーロッパでも過小評価し続ける理由、ではないかと思います。(その5に続く)






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Last updated  2008/11/01 03:57:13 PM コメントを書く


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