イヌやネコの検査や治療に関する最新情報(社長の独り言)

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2009.06.26
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カテゴリ: 肥満細胞腫
「いや~、今日も暑いですね!」が朝の挨拶になってきました。
この先3ヶ月予報では、夏の暑さは平年並み、とのことですが、それはあくまで相対的なもの、絶対的に「暑いものは暑い!」ですよね。

さて、10日ほど前になるでしょうか、「イヌの肥満細胞腫に対する抗がん剤がアメリカFDAで認可された」という記事が新聞に掲載されました。
もう皆さんご存知ですよね。
医薬品名は「パレイディア(Palladia)」、ファイザー・アニマル・ヘルス社の製造です。
記事では、がん細胞を殺す効果と共に、がん細胞に栄養を運ぶ血管の新生を抑制する効果もある、と書かれていました。
血管新生抑制効果、つまりがん細胞の増殖に必要な栄養を枯渇させて殺してしまう効果です。兵糧攻めみたいなものでしょうか(余計わからない?)。
新聞情報では、イヌの肥満細胞種の60%程度に効果があったとありました。すばらしい成績ですね。

で、どんな薬かなと調べると、一般名が「リン酸トセラニブ(Toceranib Phosphate)」と出ていました。


で、わかったことは、このトセラニブはイマチニブと同じように、c-kit遺伝子異常で起こるチロシンキナーゼの異常な活性化を抑える作用を持つ分子標的薬だったのです。
それ以外に、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)や血小板由来増殖因子受容体β(PDGFRβ)の異常で起こるチロシンキナーゼの異常な活性化を抑えることで異常な血管の増殖を抑える効果があるようです。すこし難しいですが、詳しくは調べてみてください。(「異常」の繰り返しですが、結局がんは異常が重なって発生するものなのでしょうね)

つまり、パレイディアは今流行の分子標的薬であり、c-kit、VEGFR2、PDGFRβの異常に関連するチロシンキナーゼ活性を阻害することから、「マルチキナーゼ阻害剤」とも呼ばれています。

引き続き調査。すると同じファイザー社の薬で「スーテント(Sutent)
」というヒト用の抗がん剤がありました。化学構造は、なんとパレイディアとほんの一部が異なるだけで、マルチキナーゼ阻害剤です。多分ファイザー社は、スーテントを基本にパレイディアを開発(誘導体)したのでしょう。

次に、スーテントを調べてみました。(ファイザー社HP情報から抜粋)
製品名:スーテント(Sutent)
一般名:スニチニブ リンゴ酸(Sunitinib Malate)
効果効能:イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍(GIST)
     根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
既に日欧米で承認されており、昨年6月に発売されています。


注目は効果効能の「イマチニブ抵抗性の・・・」と言うところです。
GISTはイヌの肥満細胞腫と同じように、c-kit遺伝子変異によってチロシンキナーゼ活性が高まる事が、発症の一つの原因とされており、臨床現場ではイマチニブ(グリベック)が使われています。
c-kit遺伝子変異があった症例では、イマチニブが良く効くことが確認されていますが、耐性の問題も出てきています。つまり、再発の場合などにはイマチニブが効きにくくなります。
このような時にスーテントを使うのですね。

分子標的薬の効果の発現は、鍵と鍵穴のような関係をイメージしてください。


ここまで長々と話してきて思ったことは、これってイヌの肥満細胞腫に応用できないの?、
つまり、グリベックを使って、再発で効かなくなったらスーテントを試してみる。どうなんでしょうか、臨床現場の獣医の先生方。
(ど素人の浅はかな考えでしたら、どうそご批判をください)

でも、パレイディアは来年秋ごろには発売されるでしょうから、最初からパレイディアを使うほうが賢明でしょうか。
でもでも、パレイディアの認可はアメリカのFDAの話。
まだ農水省認可の情報が無いですから、ということは日本での発売はまだまだ後でしょうね。残念・・・。

ヒトの抗がん剤も、効果の高い分子標的薬がたくさん出てきています。
これらの良い所は、効果も高いのですが、副作用がこれまでの抗がん剤と比較すると弱いことです。

また、例えば「c-kit遺伝子変異があるとイマチニブが良く効く」ように、遺伝子変異を検査することによって薬の効果が予測できる、つまり無駄な治療を回避できるので、病気の治療の面でも経済的な面でもメリットは多いにあります。
「遺伝子検査と分子標的治療の一体化」、これからの方向性を如実に物語っている例だと思います。
検査の位置づけも大変重要になってきます!

動物医療もここに来て急速に進歩しています。
可愛い動物たちのために、我々も飼主さんも、情報収集しましょう!

それより、農水省さん、ファイザーさん、パレイディアが早く日本で認可されて使えるようになるよう、お願いします。

今仕事場で書いていますので、可愛いメタボナナちゃんは傍らには居ません。
毎日暑いせいか、家では魚の開きのように腹ばいになって伸びています。これからつらい季節なのでしょうね。
こんなときは水浴びでもさせてやろうかと親切心で思うのですが、実はシャンプーが大嫌い。「風呂・・・」と言うと、逃げていきます。

梅雨もあと一ヶ月くらいでしょうか。
風呂上りにベランダで、冷たいビールと枝豆、ラジオからはプロ野球中継・・・、夏の風物詩ですよね。って、時代が違います?

(今回の情報は、ファイザー社のHPをはじめ、いろいろなサイトから使用させていただきました。ありがとうございました)





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Last updated  2009.06.26 17:11:13
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