記憶の記録

2010.02.23
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まもなく電力が受電され、高山の家は産声をあげた。
すぐにでも引っ越したいという高山の思いを遂げる前に、未だやらなければならない事が二つ残っている。
VOC測定と気密測定だ。
VOC測定とは、住宅内の空気中に人体に有害な揮発性有機化合物がどれくらい含まれているのかを、その建物の内部の空気を分析することで知るための作業だ。
高山家のように乳児がいる家庭では、特に重要な調査だといえる。
赤ちゃんは大人に比べて呼吸量は少ないが、呼吸回数はとても多い。しかも体重が少ないから、体重比呼吸量では大人の数倍になる。空気中の有害物質の影響は大人よりもはるかに大きいのだ。
引っ越す前にVOC測定を行うことで、純粋に住宅の空気に対する影響を知る事が出来る。これで問題が無ければ引っ越した後の家財道具一式から出るVOCの影響と区別して考える事が出来るのだ。新旧の雑多な品物が混合して置かれた状態では、万一の場合の調査が複雑になりすぎるから。住宅を新築したときが住環境を知る上でVOC測定をする最も良いタイミングなのだといえる。

気密測定は、住宅の省エネルギー性能の指標となるものだ。
断熱性は、単純にその家に使用された断熱材の量で把握できるが、気密性能は測定しなければ知ることはできない。

もちろん、気密測定は空気の流れを使って隙間の大きさを知るための測定だから、知る事が出来るのは、その家の空気的な気密だけだ。しかし、高山邸はエンタルピーを意識した気密工事を施してある。水蒸気の漏れに対してもエネルギーコストが大きく影響を受ける事になる事を知っているからだ。高山邸ならば、単純に気密測定をするだけで、内外の蒸気分圧差による透過水蒸気量も算出する事が出来るのだ。
従来の断熱・気密技術は、単に断熱材の暑さや熱伝導率、空気的な気密でしか省エネルギー性能を評価してこなかった。水蒸気に対するバリアは、壁体内の結露さえ防げばよいのだと思い込んでいたのだ。
空気に内在する水蒸気の量がエネルギー消費や体感に与える影響を完全に無視していると言わざるを得ない。
住宅建築にはまだまだ熱力学的な工夫を導入する余地があるのだ。


すでにVOC測定用のDNPHサンプラーと珪藻土捕集管や気密測定器は環境建築研究所から届いている。
僕はVOC測定用の空気を先に採取し、続いて気密測定に取り掛かった。
VOC測定は、室内空気をサンプリングしそのサンプラーを研究所で分析しなければならないので結果がわかるまでに数日を要するが、気密測定は、流量測定だから、その場で結果がわかる。
高山邸の気密レベルC値は、0.18cm2/m2 !!!
超のつくほの高気密を示した。僕がこれまでに測定した中でも群を抜いて高性能だった。
内部にいるときの静けさが尋常ではないと感じてはいたが、まさかこれほとほとは思いもよらないことだった。








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Last updated  2010.02.23 11:47:33
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Re:住宅革命その72(02/23)  
このレベルはどんな世界なのでしょうか。
想像が付きません。玄関ドアの吸い付き
具合が相当なものでしょう。しかし、そ
こはfs先生のことですから既に対策済
み!?ですよね。
(2010.02.23 14:37:22)

Re[1]:住宅革命その72(02/23)  
でら2007さん
減圧で開くのに重くて困るのは
ドアだから
3種だから
ということですから
引き戸にするか
2種又は1種又は1.3にするかで
解決済みです
既に
2種で結露しない方法は完成していて
実行できる物件を待っている状態です。
(2010.02.25 08:05:44)

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