加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

May 28, 2005
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カテゴリ: 音楽
 オペラツアー4日目、2つ目の目的地のチューリヒにやってきた。


 今日はそのお気に入りのチューリヒで、大好きなヴェルディの「仮面舞踏会」を観た。
 流麗な旋律がふんだんのこのオペラ、けっこう人気もあるし、欧米ではよくやるのだが、なぜか日本ではあまりやらない。ヴェルディ作品のなかで一番好き、というひとも少なくないのだが。

 ウィーンに続き、残念ながらここでもキャストに変更があり、リッカルド役がマルセロ・アルバレスからマルコ・ベルティに、アメーリア役がパオレッタ・マッロークからミシェル・クライダーに変わっていた。好不調のあるマッロークが、最近大活躍のドラマティック・ソプラノ、クライダーに変わったのはまあそれはそれでよかったが、アルバレスは期待していたのでちょっとがっかり。ベルティは、最近ヴェローナなどにも出ているが、声は美声だけれど声量ばかりで押すタイプで、1300人の劇場を考慮した歌い方ではなかった。ブラボーも出ていたが、ブーイングも一部あり。
 歌手で一番よかったのは、大ベテランのヌッチ。やっぱりすごい。さすが。劇場中がうなった。詳しくはコンサート日記(番外編!2005年5月オペラツアー)を見てくださいね。

 だが今日一番面白かったのは、ユルゲン・フリムの演出。イラク戦争反対の急先鋒にも立った彼は、徹底的にアメリカを風刺。クリントン風の赤いネクタイを締め、ロ-ルスロイスで登場するリッカルド、レーガンの奥さんの占い好きを揶揄した、占い師ウルリカのシーン・・・暗殺場面の舞踏会は、ホワイトハウスを模した半円形に並んだ白い円柱がステージの中心に据えてあった。
 そんなこんなでも不自然ではないのは、音楽をこわしていないから。現代的な演出がしばしば批判されるのは、演出家の主張ばかりが際立ち、音楽がこわれる場合だと思う。再来年からザルツブルク音楽祭の監督にもなるベテラン、フリムは、さすがにそのあたりはよくよくわきまえている。3月の「ポッペアの戴冠」でも同様に感じたけれど。

 大満足で劇場を出て、あまりの興奮をさまそうと、有志で近くのワインバーに行った。

 今回は劇場のすぐ裏の、「ホテル・オペラ」に泊まったが、このホテルのある通りにはホテルやレストランが軒を連ね、道端にテラスを出している。ホテルの斜向かい、通りの角にあるそのひとつに陣取ると、交差する通りのどんづまり、わずか数メートル先に湖(チューリヒ湖)が横たわっていた。水をわたってくる風が気持ちいい。こんな贅沢は、東京ではとてもとても。
 チューリヒの醍醐味である。

 ところでとうとう、この劇場が来日するという噂をきいた。来日していない最後の大物歌劇場、ついに陥落か。恐るべし日本!





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最終更新日  June 5, 2005 03:11:25 PM


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