加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

August 15, 2005
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カテゴリ: 音楽
 先週から通っているバーニョ・ディ・ロマーニャの外国人向けイタリア語学校には、当然ながらドイツ語圏からきたひとたちもたくさんいる。はっきりいって、大半はドイツ、オーストリア、スイスから来たドイツ語圏出身者だ。

 このドイツ語圏住民の多さ、個人的にはけっこうありがたい。というのも、以前オーストリアに留学していたから、ドイツ語は多少なじんでいるが、やはり日本にいれば使う機会は少ないから、こういうときにブラッシュアップできるのはもうけもの?なのだ。その分イタリア語を話す機会は減るといえば減るけれど、学校のクラスメートたちは外人だからイタリア語はへたなわけで、彼らと話していてもあまり勉強にはならない気もする。

 というわけで、休憩時間など、ドイツ語圏の住民と話す機会が多くなる。音楽好きもちらほらいて、オペラの話もはずんだ。ヴェローナのオペラフェスティバルに行ったという、ドイツ人の先生同士のカップルとか、ドイツ出身で、今はジュネーヴの楽譜屋さんにつとめている女性とか。
 で、昨日マチェラータで見て、演出がスキャンダラスなためにブーイングだった「トスカ」の話もしたのだが。

 どうやら皆、あまり進歩的、前衛的な演出には、抵抗を感じているようすだった。
 先生同士のカップルは、シュトットガルトに住んでいるという。シュトットガルトには有名なオペラハウスがあり、きわめて前衛的、演劇的な演出をすることで知られている。その点で、オペラの専門誌からはきわめて高い評価を受けているのだ。彼らも当然、そのような演出に慣れているのかな、と思ったのだが。

 「たぶん、僕らは古いんでしょうね」
 と、男性のほうが言った。

 とも。
 やっぱり「アイーダ」は「アイーダ」らしく、と、彼らも思っているらしかった。
 「前衛的な演出がいいと思うのは、ファンの一部」だとも。

 うーん、前衛的な演出の牙城みたいなシュトットガルトの一般のファンがそう受け止めているなら、やっぱり演出家をはじめとする専門家は、考え直したほうがいいんじゃないか。今に、ファンに見捨てられるかもしれないよ。





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最終更新日  September 2, 2005 11:11:28 AM


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